初めて会ったのは7月の寒い雨の夜だった。
昨日半年ぶりにLINEが来た忘れ物くん。
会いたいとずっと言ってくれたけど、
LINEが来なかった理由も理解は出来るけど
半年連絡なかった事が引っかかってやっぱりどうしても会う約束する気になれなかった。
とても好きだったから、
だからどうしても。
会えるのが待ち遠しくて、
でもそう思ってるのはきっと私だけなんだなって
来ないLINEで思い知る。
aoiさんも連絡くれなかったって言われたけど、
彼女が出来たかもしれないのに出来るわけないじゃない。
昨日、私の好きなところをたくさん言ってくれた。
君と過ごす時間はいつも本当に楽しかった。
初めて会った日は、7月なのに雨が降っていてとても寒くて風が強い夜だった。
飲んだ後ホテルに着いた時には、素足に履いたヒールは濡れて足の先が冷たくなっていた。
私は君に恋をしていたんだと思う。
君に会う日はいつも少しだけそわそわしていた。
ふざけてたくさん話しながら目が合った時の視線で私の事を好きだというそれは、全く嘘でもないのかもしれないと感じたこともある。
あの時20歳だった彼は、いつのまにか22歳になっていて春から社会人になる。
また会ったとしてもまた連絡が来なくなって、
君は就職して、
私に会う意味もなくなるよと言った私に
〝本当にやめて。そんなことない。aoiさんの好きなとこいくつもある“
そんな風に言ってくれたけど、
じゃぁなんで半年も経ったの?
結局私はそこにこだわってしまうから。
「会っても私になんのメリットもないから」
そんな酷いことを言って
会いたいと言い続ける彼を黙らせた。
私、ずっと待ってたんだよ。
会えない間、何度も思い出していた。
去年の夏の夜、振り返ってキスして、外でしてごめんと謝って駅まで走る君の後ろ姿や、
洗った髪を乾かしてあげた時のサラサラの髪の毛、
夢中になって将来の夢を話してくれた事、
花火の音が聞こえるか窓を開けて2人でベランダに出た事、
好きだよと言ってくれた事。
君が思っている以上に、
私は君のことを待っていた。
だから、だからね、もう会えないの。
初めて会った7月の寒い雨の夜。
あの日から彼に恋をしていた。
バイバイ、忘れ物くん。
サヨウナラ。
雨が降ったらきっと、
またあの夜を思い出すかな。
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