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アートで楽しむ!マジック:ザ・ギャザリング 番外編 Feat.Rebecca Guay

 長いおうち生活の中で、手軽にできる娯楽といえば、ゲーム。
 みなさん、ゲームと言えば何をやってますか?スマホゲーム?据え置き機?それとも家族で輪になってボードゲーム?カードゲーム?
 今回、私が推すのは「トレーディングカードゲーム マジック:ザ・ギャザリング」です!


 どうも、筋トレをスケジュールに組み込んだらへろへろになった私です。


 1993年に発売された世界初のトレーディングカードゲーム、マジック:ザ・ギャザリング(以下MTG)は世界でもっとも多く遊ばれているトレーディングカードゲームとしてギネス認定され、最近ではモバイル化もされてTVCMを打つなど、その勢いは発売から30年近くたった今でも衰えることを知りません。
 このMTGの売れ行きを受けて、多くのメーカーがトレーディングカードゲーム(以下TCG)を次々と発売し、今日ではTCGはゲームの一大ジャンルとして確固たる地位を築いています。
 ゲームの魅力は多岐にわたっていますが、MTGの特徴の一つとして、日本産のアニメやマンガ調のイラストを使用したTCGとは違う、絵画のようなアートワークが挙げられます。ここでは特に「アート」に注目した記事を連載していきますね。

※カードレビュー記事ではなく、カードの金銭的価値を論じる記事でもありませんので、あしからずご了承ください


■Rebecca Guay

 いったんモダンホライゾン2から離れて、今回は絵師のRebcca Guayさんをクローズアップしてご紹介します。
 Rebecca Guay(レベッカ・ゲイ)はアメリカの画家、イラストレーター。水彩のやわらかなタッチと、ミュシャを思わせるデザイン化されたポージング、天使や女性、雲、森などの静謐なモチーフの組み合わせを得意とし、王道のファンタジー世界を描くことで、ロールプレイングゲーム、トレーディングカードゲーム、漫画、児童文学の分野で高い評価を得ています。
 ここでは私が厳選した、MTGにおける20作をご紹介していきますね。



蘇生の天使/Angelic Renewal

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 雲間に隠れる星空を背景に、少女を抱きしめる天使。全体的な色調と天使のドレスが美しく調和し、二人の表情とフレイバー・テキストが物語を感じさせる珠玉の1枚です。私のいち推し。能力からして、死に瀕した者を救助する天使というイメージなのでしょう。ちょっと残念なのは、よく言われているように、Angelic Renewalなら「天使による蘇生」くらいの訳で良かったのではないかな……という点ですね。



星明かりの天使/Starlit Angel

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 星空を飛翔し、発光する雲を眼下に見る天使。両の翼をぎりぎり枠内に納めるデザインが見事で、下からの光の当て方が神々しさを感じさせます。同じマナ・コストで4/4飛行・警戒持ちのセラの天使と比べるとかなり見劣りするスペックですが、人気があるのは絵師の力量によるところも大きいでしょう。間違えられがちですが「スターライト」ではなく「スターリット」。



Sustaining Spirit

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 Rebcca Guayの描く天使はほとんど武装していません。物憂げな表情で座り込む天使は、何を思うのでしょうか。
 これは日本語版の作られていないカードです。訳としては「忍耐の精」あるいは能力からして「支えし者」あたりが適当でしょうか。翼を持っていて天使なのに飛行を持っていません。あとテキスト欄に書いてあることがやばすぎ。



天使の従者/Angelic Page

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 めずらしく山と赤い空を背景にしたアートワーク。少女のような天使は半人前なのか、最低限の力しか持っていませんが、しかし従者らしく戦闘中の他のクリーチャーを支援する能力を持ちます。フレイバーテキストを見るに、戦うお手伝いをするのではなく、情報を届けてくれるようです。



セラの聖歌/Serra's Hymn

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 ステンドグラス風の背景の暖色と、前景の人物の寒色ベースの配色が美しいアートワークです。完全に守りにしか使えないカードなのであまり出番はないでしょうが、Rebcca GuayのファンならばとりあえずBGMのように場に出しておきたい1枚。



暗黙の付添人/Silent Attendant

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 タップすることでライフを1回復してくれるクリーチャーらしく、月夜にそっと見守ってくれる付添人の姿を描いたアートワークです。額に入れて飾っておきたいアートNo.1。



サマイトの祝福/Samite Blessing

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 場面は寝所。立ち上る薬湯の蒸気。眠る人物に、癒し手がなんらかの護法を授けている場面でしょうか。児童文学の一場面に出てきそうな雰囲気がありますね。



セラの祝福/Serra's Blessing

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 夜、白樺の林を歩く女性と、その後に続く牡鹿。よく見ると女性の頭の周囲には後光のようなものが…… 静まり返った雪の積もる夜に吸い込まれそうなアートワークです。でありながら能力は自軍全体に警戒を付与するという、アートとはなんの関係もなさそうな効果が笑えます。



嘆きのスピリット/Moaning Spirit

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 セラの祝福と対になりそうなアートワークです。森の中を浮遊するのは、未練を残して死んだ人の霊魂でしょうか。Rebcca Guayは黒と赤のカードはほとんど描いていないので珍しい1枚です。



旅人の外套/Traveler's Cloak

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 もっともミュシャっぽいかな?と思う1枚。この外套はまとった者の姿を周囲に溶け込ませ、危険から守ってくれるようです。背景をよく見ると、木々が身をよじるようにして中央の人物に道を開けているように見えますね。



ヴォーデイリアの催眠術師/Vodalian Hypnotist

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 光が差し込むのは浅瀬でしょうか。女性的なフォルムを残しつつ、単に魚の下半身と人間の上半身を合わせた人魚ではなく、うなぎやアナゴのように長い胴から伸びる尻尾を画面に収め、人とは異なる美を表現することに成功しています。



羽根の外套/Cloak of Feathers

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 なんと言いますか、外套とかマントを描かせたら一流なのがRebecca Guayです。1ターンだけ飛行能力を与えるソーサリーにもかかわらずこの豪華さ。長さは外套というよりもベール、孔雀の羽根を思わせる刺繍の入ったそれは使い捨てにするにはあまりにももったいない!



春女/Haru-onna

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 日本をモチーフにした次元「神河」のクリーチャーを描いた1枚。サイクル(各色に1枚ずつ作られたカード群)の中の一つで、群を抜いて美しく、当時の販促キャンペーンで原画が賞品になったほど。ちなみに他の4人の「女」はちょっと不気味。
・日光女(白)
・霧女(青)
・煙女(黒)
・雪女(赤)



花の神/Hana Kami

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 不気味さではこちらも負けていない「花の神」。キリスト教圏ではGodが神ですが、日本の神道ではKamiが神。万物に宿る神性ということで、千と千尋の神隠しみたいな異形の雰囲気を持ったデザインになっています。



エルフの笛吹/Elvish Piper

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 Rebecca Guayで検索するとまずこのアートワークが上位にくるという超有名な作品。上質な絵本の挿絵に出てきそうな、それこそ額に入れて飾っておきたい作品です。

○ ○ ○

 以下の3枚は、いずれも死んだあるいは死に瀕したクリーチャーを救済する能力を持ったカードです。なんとなく似たような構図になるのはアーティストの癖と言いますか「再生」という言葉に対するイメージでしょうか。


復活の接触/Renewing Touch

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よみがえり/Resuscitate

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再びの生/Regenerate

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 いずれも勝手に生き返っているわけではなく、自力で死の淵から這い上がっているわけでもありません。必ず善意の第三者がいて、その者から与えられる慈悲の心、愛情、思慕の念などで甦っているところが緑っぽくあり、またRebecca Guay的でもあるところです。


チャネル/channel

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 ライフをマナに変換する、という能力を見事に表した1枚。肉体(ライフ)が自然(マナ)に還ってゆき、それが不可逆な変化であるということを暗示しています。以前の強烈なイメージのアートワークからは想像もつかないほど美しい変貌を遂げました。



髪張りの琴/Hair-Strung Koto

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 外国人、特に欧米人の想像する日本のイメージの中ではかなりマシな方と言えるアートワークです。琴を引く奇妙な髪型?の美しい女性。禍々しい龍の彫刻が施され、髪を弦として張った琴は呪いのアイテムそのもの。弾いてる指から血が!痛い痛い!


☆ ☆ ☆


 いかがだったでしょうか?近年、写実的なイラストを重用する傾向のMTGからは消えつつある、クラシックなファンタジーを見せてくれるRebecca  Guayさん。彼女自身も、今までの作風にあきたらず、さらなる進化を続けています。

 MTGに限らず、TCGは、国内外の未だ見ぬアーティストを発見する恰好のプラットフォームだと思います。実際にカードを買わなくても、オンラインで楽しめるカードギャラリーなどもありますので、みなさんも是非、ごらんになってみてください。なりは小さくとも、1枚1枚のカードにはアーティストの技量と時間、何よりもその表現にかける熱意がこめられています。まさに小さな美術館と言えましょう。みなさんも、おすすめのちいさな美術館的なものがありましたら教えて下さいね!




 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 それでは、ごきげんよう。

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