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交感

さわさわと流れ落ちる陽の中
少年がひとりまたひとりと
青ざめていった

さざ波も立てず
ゆっくりと息をひきとる細胞の
かすかな重みが流れ出す

少女の初潮が陽を浴びて
柔らかく膨らみ
頬がひとつまたひとつと
赤く染められていった

はしばみ色の目がふせられ
うなじの白さが
さらされていく

遮断された光が
屈折することで
たどり着くように
たどたどしく
少女は少年を採集した

細胞を手折る正直な指
その柔らかさに
抗えず
透明な溶液のなかで
少年は年老いていった

何度めかの夏が過ぎ
少女がふいに
振り向いて
少年を森に放つ

ほとばしる
寂しさだけが
木々の間を
吹き抜けていった

陰の生き物となって
少年は
少女を探し続ける

少年の森は果てしなく
少女の森は朽ちている

採集されたとき
すでに
少女は消え始めていた

少年は
それを
うっすらと
わかっていて
それでも
少女のかけらを
求めて
彷徨う


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