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「歴史」という教養の扉を開ける一冊【教養としての歴史小説】

著者は気になってた作家さんです。

第167回芥川賞・直木賞から
受賞、候補作を読むようになりましたが
著者が直木賞を受賞したのは、その前の第166回です。

SNSの読書家さんの間で好評だったので、気になっていました。
まさか「教養」のタイトルが入ってるビジネス書を出しているとは思いませんでした。

歴史小説は、直木賞候補作に一冊は入っているので読むようになりました。
本が分厚いものが多いせいか、少々敷居が高いと感じます。

歴史小説を書いてる著者が
どんなことを語っているのか気になりました。


・歴史を学ぶ利点

著者は冒頭で、教養める最も有力な手段は、歴史に学ぶこと。導入として最適なのが「歴史小説」と語っています。

その理由として、歴史にはこれまでの人類の営みが凝縮されているからと続きます。
政治、経済、芸術、宗教、全て歴史を通じて参照できるとのことです。

驚いたのは、著者が小学生の時に
『真田太平記』(池波正太郎著)を
買ってもらったのがきっかけで
歴史小説にはまったそうです。

これを聞いただけで「著者はただものではない」と感じました。

・歴史小説と時代小説の違い

歴史小説は、歴史的な事件や人物をテーマにして史実を元に書かれた小説です。
それにに対して時代小説は、単に過去の時代を背景にしています。

この定義で行くと
『女人入眼』『極楽征夷大将軍』は歴史小説、
『木挽町の仇討ち』、『しろがねの葉』は時代小説に当てはまるのでしょうか。

・歴史の知識は人生のカンニングペーパー

著者が公園で歴史の話をすると、
「歴史を学んで、何か得をすることはあるのか」
「過去の人のことを知っても役に立たない」と
よく言われるそうです。

それに対して「それはもったいない」と感じるそうです。

歴史を過去の歴史を見れば、似たような境遇に直面した人は山ほどいます。
同じ状況に置かれた過去の人たちが、成功したサンプル、失敗したサンプルが無数に残されています。

現代風に言うと、口コミや体験談に近いですよね。
それを見るのと見ないのでは、見た方が人生のリスクをあらかじめ回避できる可能性が高くなります。

歴史を知るのはある意味、口コミや体験談をチェックするのに近いです。
そう考えると、見ないのはもったいないと感じました。

・タイパはどうなのか

歴史小説はページ数の多い作品が多いです。
手に取る前から、「分厚いなぁ」と圧倒されます。
読む時間が取れない、タイパが悪そうと心配する人がいます。

映画の倍速視聴やあらすじを聞いて満足したりする行為についても触れています。
タイプが悪そうと思われることを認めた上で、
「歴史小説ほど、時間投資によいコンテンツはそうそうない」と主張しています。

一見分厚いので読むまでには時間がかかります。
しかし、小説一冊読めば知の基礎体力は多少付きます。

知の基礎体力をつけた人が30代、40代、50代以降になっても、直面した壁をなんとか乗り越えられるようになります。

読むのに時間がかかったとしても、
後からいくらでも回収できる。
若い人ほど「急がば回れの精神」で触れて欲しいとのことでした。

・感想

ビジネスや実用書を読むときは、
目次を見て気になる項目から読んでます。
この本もビジネス書の位置づけなので、
最初はそのような読み方をしていました。

しかし、著者の文章がよほど面白かったのか、
次の項目に入ってもそのまま読み進めてしまいました。
読者を捕まえたら、読み終わるまで離しません。

著者の小説は一度も読んだことはありませんが、彼が直木賞など数々の賞を受賞したのも頷けました。

「これからも圧倒的に面白いと思える作品を書いていきたい」
そんな意気込みを感じました。

タイパなどのキーワードから、自分より若い世代の読者を意識しているのを感じました。

機会があったら少しずつ読んでいきたいです。

以上、ちえでした。
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