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発達障害児の母があるものを見て気づいたこと【海岸通り】坂崎かおる著

主人公は、老人ホームで清掃の仕事をしています。
ある場所で、入所している女性と話すのが日課です。

その場所を見て、
「老人ホームにもこんなものがあるんだ。
まるで発達障害の子どもが
パニックになったときに
落ち着く場所みたい」と思いました。

長男の教室にもありますが、
去年見学に行った近所の小学校の
特別支援学級にもありました。

その仕組みが「よくできているなぁ」と
感心してしまいました。


・老人ホーム内にバス停

主人公の勤務先の老人ホームの中に
バス停があります。
時刻表まで貼ってあり、リアルです。

実際は、バスは来ません。
偽物のバス停だからです。

なぜ、わざわさ偽物のバス停を
老人ホームの中に作られているのか。
それは認知症の入所者の特性を
考慮しているからです。

・「じゃあまた明日にしましょう」

認知症の方は「家に帰りたい」と言って
バスで帰ろうとする人がいます。

「あなたの場所はここだから帰る必要はない」と
もっともらしい理由を並べて説得したところで
言うことを聞くはずがありません。

言い方によっては、
プライドを傷つけてしまう可能性もあります。

「バス来ませんね。じゃあ明日にしましょう」

子どもだましのようにも見えますが、
気持ちを落ち着ける効果があると思いました。

・落ち着けるためには場所が必要

このバス偽物のバス停のシステムが、
自閉症の子どもがパニックになったときの
カームダウン※のスペースに近いと感じました。

※発達障害、知的障害、精神障害などの障害を持っている人が、外部の音や視線を遮断し気持ちを落ち着かせて、パニックを防ぐためのスペースです。

こちらのリンクより

長男の教室にも、
カームダウンができるスペースが作られています。
パーテーションで仕切られています。

去年、近所の小学校へ見学に行きました。
そこの特別支援学級でも、カームダウンのスペースが設けられていました。

長男の学校とは形は違うとは言え、気持ちを落ち着けられる場所や仕組みは必要と実感しました。

・感想

物語の冒頭で出てきましたが、
「よく考えられた仕組み」と感じました。

入所者が元の家に住んでいた時に
バスに乗る習慣があれば効果がありそうです。
「バスに乗ったら家に帰れる」という感覚は忘れていないと考えました。

物語は進行していたはずなのに、
偽物のバス停の仕組みに目がいってしまいました。

改めて、息子たちを変えようとするより
彼らに合った仕組みを作る方がやりやすいと
実感しました。

以上、ちえでした。
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