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与えられた環境でできること【極楽征夷大将軍】

「このくらいなら何とか読み切れる」
見た目の厚さを見てそう判断しました。
以前読んだ『地図と拳』がかなりの厚さでしたが、
こちらはそこまでないだろうと。

ページも、『地図と拳』は640ページに対して
『極楽征夷大将軍』は549ページ。
見た目も薄く感じました。

しかし、本を開いて唖然としました。

上下2段になってました。

1行あたりの文字数と行数を基に
ざっくり計算したら、1ページ1000文字前後。
短めのネットニュースに匹敵する文章量です。

しかも歴史小説なので、詳しい人を除けば、
読み進めるのは容易ではありませんでした。


・結婚相手すら選べない

時代ゆえ?武士の身分だから?
好きな人と結婚することすら
叶わない様子を伺えました。

尊氏も直義も一族の指示に従うしかありませんでした。
尊氏については、元々別の妻がいたのに、
北条家との関係構築のために、元の妻は側室になった上で別の正室を迎えました。
本人は気乗りしないままにです。

直義は、妻の彰子と良好な関係を築いてました。
40過ぎまで子どもがいなかったのにも関わらず、
側室を迎えることもありませんでした。

自由恋愛とは真逆と感じました。
しかし、彼らが伴侶を自由に選べないからと言って不幸かと言われたら、そんなことはないでしょう。

・その中でできること

尊氏と直義の父である足利貞氏はこう言いました。

「我らに出来るのは、その一分ほどの裁量の中で、出来る限りのことを為すだけなのだ」

極楽征夷大将軍 p59

「一族の生き残りのため」
そのために結婚も出産も手段になると感じました。

そんな中でも、出来る限りのことを為すだけと
貞氏は話します。

「窮屈な身分だなぁ」と思いましたが、
彼らは彼らでできる限りのことをやっているだけと気づきました。

特に尊氏は望んでいなかったのに、
あれよあれよと征夷大将軍になりました。

・対立は不可避

最初は北条家、次は後醍醐天皇との争いになります。南北朝時代もあります。
無事に室町幕府ができたかと思いきや、今度は足利家の内部で争い。
仕えていた高家と上杉家も絡みます。

まずは、新幕府樹立まで共に戦った直義と高師直が対立しました。
次に、仲良し兄弟である尊氏と直義が対立したのは、余計残念な気持ちになりました。

実際に政権運営をすると、それぞれ考えがあるため、味方同士でも対立するものかと考えさせられました。

・感想

正直な話、室町時代は他の時代に比べて、
あまり印象がありません。
強いて言うなら、金閣寺や銀閣寺くらい。

その前の南北朝時代もピンと来なかったくらい。
後醍醐天皇について触れられていて「なるほど」と思ったくらいです。

敢えて著者が、室町幕府の初代征夷大将軍である足利尊氏にしたか疑問でした。

世の中の仕組みまで変わる時代でした。
人間関係も儚さ感じました。

以上、ちえでした。
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