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なぜ子ども時代の遊びが、熾烈な心理戦・情報戦になったのか考えてみた【地雷グリコ】青崎有吾著

グリコ、坊主めくり、
じゃんけん、だるまさんが転んだ、ポーカー。
子どもの頃、遊んでたので
「懐かしい」と感じました。

しかし、作中のゲームは
ただのゲームではありません。
本来はないルールが追加されています。

ほんの少しルールが追加されただけで、
こんなに熾烈な心理戦・情報戦になるのかと
驚かされました。

なぜ、こんなことになったのか考えてみました。


・運任せではなくなっている

まずはグリコやじゃんけんは、
相手が何を出すかで勝敗が決まります。

グリコは、どの手で勝っても
3の倍数進むことに気づきました。
(グリコなら3つ、チョコレートとパイナップルは6つ)
遊んでた当時は考えたこともありませんでした。

神社まで階段が46段あり、
先にたどり着いたほうが勝ちです。

3の倍数に地雷を仕掛けるという話が出て、
「子どもの頃に遊んだグリコのゲームではなくなっている」と感じました。
※地雷を踏んだら10段下がります。

次に、ポーカーや坊主めくりです。
本来のルールは、
どのカードが出てくるかは完全に運任せです。

運任せにするしかないゲームに
ルール追加することで
「相手はこう動くだろう」と予測しながら、
戦略を立てるゲームに変わっていたことに気づきました。

「フォールームポーカー」は、
スート毎に別の部屋にカードを置いています。
互いに「このスートを狙っている」と推測します。
ポーカーで、完成させる組み合わせを考えているのに驚きました。

・相手の心理状態を見抜いた方が勝ち

主人公の射守矢真兎(いもりや まと)は
地雷グリコで対決した椚(くぬぎ)先輩を、
せっかちで合理主義者と判断しました。

「合理主義な人だからこんな判断はしないだろう」と見破った上で勝ちました。

「だるまさんがかぞえた」で対戦した
他校生の巣藤については、
対戦前に少しした会話から、
お気に入りのスマホゲームのイベントが
迫っていることに気づきました。

「早く終わらせたいと焦ってるはずだ」と
見立てを立てます。
実際に巣藤は、真兎の実力を甘く見て、
無茶な条件を呑むことになりました。

「まさに心理戦」と実感しました。

・ルールの穴を突く

「これは、審判は大変だ」と感じました。
真兎も対戦相手も、
ルールの穴を突いてくるからです。

「自由律じゃんけん」では、
グー・チョキ・パー以外に
プレイヤーがそれぞれ独自の手を
決めることができます。

「どの手にも勝てる」という
強すぎるものはダメとはルールはありますが、
「全ての手に負ける」という
弱すぎる手は問題ありません。

「この手で負けた後は、後出しジャンケンが可能」と設定することもできます。

「こんなのあり!?」と
想定していないケースがあることに気づきました。

こんなにルールの穴を突かれたら、
ルールを作る人間は大変だろうと思いました。
法律の穴をつくのと近いものを感じました。

余談ですが、「QuizKnock」が実際に
自由律ジャンケンに挑戦した動画があります。

小説を読んでから見るとより楽しめますが、
未読でも楽しめます。

・感想

子どもの頃遊んでいたゲームが登場したので
懐かしい気分になりました。
「遊び心のある作品」という感想を持ちました。

そのゲームが、単なる子どもの遊びではなくなっていることに気づきました。

連勝してる真兎は、
ボーッとしているように見えながら
よく周りを観察しているように見えました。

「よくこんなことに気づくなぁ」と
名探偵コナンの主人公江戸川コナンや
『相棒』の主人公杉下右京に
匹敵する観察力です。

以上、ちえでした。
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