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一つの出会いのお話

予想や予感の範囲内では、出会い交わるなんて想像もしていなかった人とのほんのひととき出会いと交わり。全ての出会いには意味があり互いに影響し合うことを証明するかのような変化が、私の内側にも起きたけど、私と出会ったことでその人にもその影響が、翌日以降の仕事で日に日に消化され形になっていく変化を目の当たりに出来た事はすごく幸せな出来事だった。

突然天から降ってきたみたいな不思議な出会いだったわけだけど、プロジェクト中その人との個人的な関わりは後にも先にも一度きり、「また会いに来てもいいですか?また来たいです」の言葉を置いて帰っていったその人と、その後プロジェクト終了時まで会うことがなかったのは、プロジェクトの内容的にも立場的にも諸々の責任的なことをふまえても再度会えるわけもなく、互いに言葉にしなくとも感じる責任の重さからの行動だと思えるし、プロジェクト終了時に有終の美を飾って、涙ぐむほどのプレッシャーで頑張ってきていたことを改めて知り、その姿を見て、「会わない」選択は正解だったんだと心からそう思えた。

全てが終了して、私はたった一度の出会いについて感じたこととか、出会う前から仕事を通して感じていたその人への尊敬の気持ちをすごく素直に誠意を持って文章にしてメッセージを送ったら、男としては30点、でも1人の人間としては100点と思える真っ直ぐな返信が届いて、不思議にとても満たされた気持ちになった。男としては30点(笑)それは想定内。その話はここでは掘り下げないけれど。

でも、私の誠意に対してきちんと心で感じ受け止め、短いながら丁寧に考えられた自分自身の言葉で、自らの気持ちの変化や感謝を返してくれたことは、仮に半分社交辞令だとしてもすごくメッセージ性のあるものだったし、ある意味私にとっても大きなギフトで、始まりも終わりもしない「また会える日まで😊」の言葉はやけに心に響いた。返事が来たのは満身創痍のプロジェクト終了の翌日で、私がメッセージした翌日でもあるけれど、それだけでも根っ子の真面目さを感じていたら、その日に、かなり注目される責任あるプロジェクトに休む間なく登壇していたことを後から知って、そんな状況下で送ってくれたお返事に、人として兼ね備わった誠実さ、接した人への誠意を元々持ってる人なんだなって感じて、その人と私が一瞬でも引き寄せ合ったことへの説明もついた気がしたよね。どうして既に輝きを放っているその人が、一瞬でも私という人間に興味を持ったのかが分からなかったけど、なんだか妙に納得出来た。彼自身は意識的にはそれに気づいていない気もするけれど。

言葉を交わすことはなかったけれど、個人的な出会いが降ってくるよりもっと前から、プロジェクト内での関わりの中で彼がこの仕事に感じているプレッシャーは見てきたし、日々トライ&エラーを繰り返しながら着実にステップアップしていく強さ逞しさとしなやかさ、そして陰ながらの努力を感じて、心の底から尊敬を感じていた人だったから、予想も予感もなかったただ一度の出会いへの導きには感謝しかない。

酔って身体に1ミリも力が入らないほどの抗えない脱力感の中で、ただ貪るように求められた「つまらないセックス」は、味わうことも、セックスとしてお互いの存在を感じ合うことすら出来なかったお粗末な交わりで、その行為も触れた感触も温度も表情も何一つ記憶に留めることが出来なかった。それは神様のイタズラ?私にとってはそんなセックスも生まれて初めてだった。でも、「セックスなんて取るに足らないもの」と思わせてくれるそれ以上に意味がある出会いだったのも生まれて初めて。

ゆるやかだったり急だったりする衰えのプロセスの中で自分の中になんとか輝きを見出す段階に差し掛かった年齢にもなってる私と、まだまだ吸収の一途、肉体的にも精神的にも余白と未知数の伸び代がある彼との年齢差はなんと一回り以上。きっと、何年か前でも何年か後でも交わらなかった点なんじゃないかと思う。今だから繋がったご縁。同じループをしたくないと、私が私の意思で今までとは違う方向へ舵を切って歩み出した最中での不思議な不思議な導き。無理せず我慢せずあるがままの私で、それでいて相手の立場や気持ちも想像して相手と自分の架け橋になるために言葉を紡ぎ伝えるとか接する、を試していた中で出会った人。自分が変われば出会いも変わる、なんだなって思ったし、人生にはまだまだ予期せぬ予想だにしないことが身に起きるものなのね。

「全ての出会いには意味があり互いに影響し合う」
彼自身の行動や言葉、それから私が彼に与えたであろう影響を通して、それらは私に、仕事人としても女性としてもまだまだ頑張ろうこれからだ、って思う気持ちを与えてくれたし、ほんの少しの自信を取り戻させてくれた。彼にとってはこの出会いで感じる意味や重みは私とは全く違って記憶に残るようなものではないのかもしれないけど、無意識にも影響を受け、血となり肉となり今回の仕事で得た新たな手応えは、確実に次のステップに生かされていくんだろうって思うと、楽しみでしかない。

今後出会うことがあってもなくても、出会えてよかった大切な出会いの一つとなりました。恋をしたわけでも失恋をしたわけでもないのだけれど、思い返すと胸がほんの少しざわざわして締め付けられると共に、じんわり温かな気持ちになる、これもまた今まで出会ったことのない感情。なんの執着もないけれど、それでいて大きな大きな爪痕を残した人。
友達に話すこともなくじんわり自分の心の中で大事にしたい、神様のイタズラなのか贈り物なのか分からない不思議な不思議な出会いのお話。