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「三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜」監督:豊島圭介/2020

<こんなお話>

1969年5月に東京大学駒場キャンパスで行われた作家・三島由紀夫と東大全共闘との伝説の討論会の様子を軸に、三島の生き様を映したドキュメンタリー。1968年に大学の不正運営などに異を唱えた学生が団結し、全国的な盛り上がりを見せた学生運動。中でももっとも武闘派とうたわれた東大全共闘をはじめとする1000人を超える学生が集まる討論会が、69年に行われた。


<レビュー>

日本でも革命が起きるかもしれない。そんな時代に、繰り広げられた三島vs全共闘の討論会。右翼と左翼が、どう激論を交わすのか・・・文字だけ見るととても危うい状況に思えるけど、意外にも時おり笑いが起こる和やかなムードだったのには驚きました。

三島由紀夫という人間の器の大きさを感じますし、ウィットに富んだ天才的語彙力や軽妙な語り口、また彼が語る「天皇」という言葉の真意や、そこに含まれるアンビバレントな感情などなど、この作品を通して三島由紀夫という人物がさらに魅力的に感じられます。

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三島由紀夫とは、一体何モノなのか。

日本における革命とは、一体なんだったのか。

彼らは誰と闘っていたのか。

そして、彼はなぜ「自決」してしまったのか。

時代に翻弄され、抵抗しようとあがいた人々の姿から、「社会の中で生きる」、そして「変化の激しい時代の中で折り合いをつけていく」難しさ、というものを改めて考えさせられました。

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印象的な場面、言葉はたくさんありますが、個人的には芥氏が放った、この言葉が最も印象的。

人間と人間の間に、媒体として言葉が力があった時代の最後

劇中には「事物との関連性」や「名前の意味」など、「言葉」に関する問いが多くでてくるので、そこはぜひ注目していただきたいところ。


三島由紀夫という人間の魅力も相まって、何度も見返したくなる良質なドキュメンタリー。ぞわぞわする音楽も、いい。そして、これを観た後には、確実に三島由紀夫の作品を手に取りたくなってしまうはずです・・・。

公式サイトはこちら

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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020)

配給:ギャガ
監督:豊島圭介
企画プロデュース:平野隆
プロデューサー:竹内明、刀根鉄太
共同プロデューサー:大澤祐樹、星野秀樹、岡田有正
撮影:月永雄太
録音:小川武
編集:村上雅樹
音楽:遠藤浩二
音楽プロデューサー:溝口大悟
ナレーション:東出昌大
出演:三島由紀夫
   芥正彦
   木村修
   橋爪大三郎
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