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マキネマ〜私的映画感想文〜

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映画好きライターによる、私的な映画レビュー。観た映画のメモがわりにも使います。
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#川島雄三

「しとやかな獣」監督:川島雄三/1962

「しとやかな獣」監督:川島雄三/1962

こんなお話

パートが立ち並ぶ郊外の団地、前田家はその四階の一角を占めている。前田時造は元海軍中佐、戦後どん底の生活を経験した彼は自分の殻にとじこもり、子供たちを踊らせるあやつり師になった。息子の実には芸能プロの使い込みをやらせ、娘の友子は小説家吉沢の二号である。

レビュー

とある団地の一室に住む家族。・・・が、この家族がどうもおかしい。

伊藤雄之助が演じる父、山岡久乃が演じる母、どちらも恐

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「女は二度生まれる」監督:川島雄三/1961

「女は二度生まれる」監督:川島雄三/1961

こんなお話

芸者小えんは建築家の筒井の胸にいだかれていた。売春禁止法も彼女にとってはなんのこうそくも感じさせなかった。
そんな彼女にも心をときめかすことがあった。それはお風呂屋への行きかえりに顔を合わせる大学生牧純一郎に行きあう時であった。
しかし彼女の毎日は、相かわらず男から男へと渡り歩く生活だった。そんな時知りあった寿司屋の板前、野崎にふとふれあうものを感じるが、野崎も将来のことを考え、子ど

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「雁の寺」監督:川島雄三/1962

「雁の寺」監督:川島雄三/1962

こんなお話

京都の孤峯庵と呼ばれる塔頭の和尚、北見慈海は、愛人里子を密かに囲っている。寺の小僧である13歳の慈念は和尚から厳しくあたられる。そんな慈念に里子は次第に同情し歩み寄る。ある日、慈海が碁を打ちに出かけた間に檀家が亡くなり葬儀を行なわなくてはならなくなったが、慈海が帰ってこない。

レビュー

禅寺を舞台に、色欲に溺れた坊主と、その愛人、虐められる小坊主の3人の関係を描いた作品です。

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「洲崎パラダイス赤信号」監督:川島雄三/1956

「洲崎パラダイス赤信号」監督:川島雄三/1956

こんなお話

売春防止法施行直前の東京。梅雨明け前。勝鬨橋の上で「これからどこへ行こうか」と、男と女は思案するも思い浮かばずにバスに乗る。洲崎パラダイスの入口で下りて、求人の張り紙のある飲み屋「千草」に入る。女将は、小学生男児を2人から5人を抱え、4年間行方不明の夫の帰宅を待ちわびている。女は入ってきた客をうまく扱い、住み込みで働くようになる。男は、おかみの紹介で近くのそば屋で住み込みの出前持ちを

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「暖簾」監督:川島雄三/1958

「暖簾」監督:川島雄三/1958

こんなお話

八田吾平が、たった三十五銭をにぎって淡路島から大阪へ飛び出して来たのは十五歳の時のこと。ふとしたことから昆布屋の主人、浪花屋利兵衛に拾われてから十年、吾平は大阪商人の土性骨とド根性をいやというほどたたき込まれた。吾平が二十五歳の時、主人利兵衛から暖簾を分けられた。先輩の番頭をさしおいて。吾平の夢はふくらんだ。

レビュー

他の作品に比べ、毒っ気やケレン味は薄く、際立って目をひくとこ

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