日本といふ文化

日本といふ国は、国ではなく、文化だ。
ユーラシア大陸の西洋や中国といった場所からは決してその姿が見えない「日本といふ文化」は、鎖国をやめて、国際社会とやらに出てしまふと、崩壊してゆく。
国際社会の他の国々の中に入った瞬間から、日本は、或る国家に対するもう一つの国家といふ、another oneになる。さうした連鎖して果てしないanother oneといふ相対的な関係、いはゆる多文化共生の砂漠の中で、有機的な文化はゆっくりと渇き、干乾び、崩壊してゆく。
或いは、
まるで、塩をふられたナメクジのやうに、文化の内部は国際社会といふ濃厚な塩水の中に漏洩してゆく。
次第に縮小していきながら、或る時点を越えると、生命体としての日本の国は命を喪失(うしな)ふ。
残るのは、国民国家(nation-state)といふ無機的なシステムだけだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?