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読書メモ:その落語家、住所不定。タンスはアマゾン、家のない生き方

基本情報

『その落語家、住所不定。タンスはアマゾン、家のない生き方』
立川こしら
2019年1月30日発行

立川流真打の立川こしら師匠のエッセイであり、弟子の立川かしめが大学時代のサークルの後輩ということもあり、手に取った一冊。

こしら師匠が、どのようにして定住の家を持たず生活するようになったのか、また、志らく師匠に弟子入りし、どうやって前座時代を乗り越え(立川流は、入門する際に弟子が一門会費を払う)、真打になり現在に至ったのかが落語家らしい軽妙な語り口で書かれている。
(ちなみに弟子のかしめは、名前だけは出てきたが、ほとんど出てこなかった)

構成

第1章 持たない落語家になるまで
第2章 持たない落語家の1週間
第3章 実践・家もモノも持たない生活
第4章 お金について考える
第5章 持たない落語家の仕事論
第6章 ITと落語
第7章 落語について
おまけ こしらのはんせい

感想

こしら師匠のこと自体は、知ってはいたが、家をお持ちでないことや落語家としての仕事の仕方等今回初めて知った。
定住の家がないこと自体は、落語会を全国でやることため、衣服や一部の荷物の整理がつけば確かに理にかなっていると思った。
(具体的にはアマゾンをタンス代わりにして衣服は対応されている)

特におもしろかったのは、第5章の落語家としての仕事論、ITと落語の結び付け方である。
誰も手を出しておらず、ライバルのいない「ブルーオーシャン」で商売しようというマーケティング理論そのものだが、こしら師匠の仕事の仕方は、まさにそれである。

お金がなかったこともあり、パソコンを使いご自身で落語会のチラシを作りそこから話が広がっていき、落語会で塩の販売をするようにまでなる。

以前伊集院さんが円楽師匠に

「自分の好きなものに少しだけ社会性を持たせると、この商売は食っていけるようになる」

と仰っていたことにもつながるものだと思う。

「落語家」と言っても全ての落語家が落語だけで必ずしも食っていけるわけではなく、それぞれ武器を持って生き残っていくのだと思うが、「+α」というのは、落語に限らずどの世界でも参考になる思う。

これからの時代は、一つのことを極めるという道もあるが、どちらかというと「+α」が求められていくように思う。
たとえとしてよいか微妙だが、最近だとアナウンサーもダンスができたり、ゲームが上手だったりと当たり前のように+αが求められているように思う。

大谷翔平選手のようにどちらも一流の二刀流とまでいかなくても、+αを持ち掛け合わせられることが大事であり、いろいろなことに挑戦しようと思わされた一冊であった。




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