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熊本の大学生によるスポーツ語り!⑤‐2

こんにちは!
今回は前回の続き
「スポーツ✖メディア」というテーマで、スポーツジャーナリズムの現代における問題点を紐解いていきます!


前回までのおさらい

前回はスポーツとメディアの関わりについて、
スポーツを伝えるという動き=スポーツジャーナリズムの歴史と、メディアが大きくかかわる「メディア・イベント」についてをまとめました。
スポーツを伝える手段は大きく「活字」「音(音声)」「映像」に分かれ、色々なルートで私たちにスポーツのリアルな情報を届けています。またメディアが大きくかかわる、またはかかわることで大きくなる「メディア・イベント」というものが存在するなど、スポーツとメディアは密な関わりを持っています。

スポーツ・ジャーナリズムの拡大

そんなスポーツとメディア、「放映権」というキーワードで近年さらに結びつきを強めています。まずはオリンピックをテーマに、近年のスポーツ×メディアの強まりを見ていきます。
ワールドスポーツイベントは、現代において「視聴者」を獲得する中核的なコンテンツです。特にオリンピックは夏季で30憶人冬季で20憶人以上が累計視聴していると言われており、数字にしてみれば世界総人口の半数が視聴者であることがわかります。このオリンピックに転機が訪れたのは、1984年のロサンジェルス大会。それまでのオリンピックは、開催国と開催都市の公的資金によって開催費用が賄われていました。しかしこのロス大会はその援助がなく、開催費用を0から集めなくてはいけない、という状態に陥ったのです。その時に取った手法が「権利ビジネス」放映やロゴ使用の権利特定の企業に独占的に許可することで、資金を確保したのです。それ以降、この「権利ビジネス」はスポーツ界に積極的に導入され、今やプロスポーツでも不可欠な収入源となっています。

メディアが与えるスポーツへの影響

MLBで14憶ドル、NHLで45憶ドル、NBAで26憶ドル。これらは、各リーグにおける放映権収入の額です。
現代、もはや放映権料に依存するスポーツ界。沼に入れば入るほど、スポーツへの影響も大きくなっていきます。
例えばバレーボール。1977年からW杯を日本のテレビ局が独占放映していますが、ルールの25点制(最終セットのみ15点制)は、テレビ放送の時間を気にしたからと言われています。
そのほか、NBAのクォータ制、NHLのコマーシャルタイムアウトは、テレビ放送におけるCMを挟み込むためであると言われていますし、これらは卓球等他のスポーツでも同様に、メディアの都合によってスポーツのルールが変更された例があります。
上記のとおり、もはやスポーツは放映権への依存によって「メディアがつくる」という一面すら持ち合わせているのです。

スポーツとメディアのこれから

前項ではメディアがつくるスポーツについてをまとめましたが、近年では「スポーツを伝える」という行為を、メディア以外の一般人が行えるようになっています。SNSという媒体を通じて誰しもが発信者になれる時代。いわば「素人によるスポーツ実況中継」の日常化は今までにない新しい現象であり、表現の自由度が増す一方、ここにもあらゆる問題が存在しています。
2018年、某大学での悪質タックル問題が非常に話題になりました。こちらも、火に油を注いだのがSNSによる情報拡散。言い方が悪く聞こえますが、SNSによるタックル動画の拡散がなければあれは一試合での「多少乱暴なプレー」でおわっていたかもしれません。それが瞬くまに拡散されることで多くの人の目に留まり、大衆やマスメディアがこぞって、まるで巨悪を裁く「善人」であるかのようにバッシングをしたことで、日本全域をまたぐ炎上事案となりました。この事案については様々な意見があると思いますが、スポーツ動画の拡散が大衆の「感情の拡散」になっていたことは、注視すべきポイントです。

放映権料等でもわかる通り、スポーツにとってジャーナリズムやメディアは欠かせない重要なパーツです。しかし、そこに存在する問題があるのもまた事実であり、ことさら私たちが情報の「発信者」となるときには、その発信がスポーツや社会に与える影響に思いを馳せることも重要でしょう。

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