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認知症の日常 記憶喪失の陰に生きる

 先週ダウンジャケットを買いに行って"Montbell"のことを「モンタボー」と読み、パートナーに指摘された老健看護師綾子です。

今日は、認知症について書いてみたいと思います。

想像してみてください。


あなたは、スーパーで買い物をし、自動ドアが開き、外に出た瞬間
「え?ここはどこ?私はなにをしてるの?家はどこにあるの?私はなぜ買い物袋を持っているの?」
こんな世界が毎日付きまとう世界。考えただけで恐ろしくありませんか?

病院と施設職員の認知症のとらえ方


私が外科病棟で働いていたときは、外来師長から入院のお知らせがくると「認知症はありますか?」「遠い部屋しか空いてないので無理です」「今から部屋移動して、近くの部屋空けるんですか?」などというやり取りが繰り広げられていました。
なぜ?って思った方いますか?
それは点滴をすると、点滴の針を自分で抜いてしまったり、環境が変わった病室でパニックになり叫んだり、帰ると怒ってしまうなど治療がなかなかできないことがあるからです。これが夜勤帯での入院だとスタッフも少なく、認知症患者の対応だけでスタッフが疲弊してしまいます。
(これは私が病院勤務している時代の話です。現在は違うかもしれません)

そのような環境から一転、今の施設で働いてみると認知症と診断された利用者は6割はいると思います。認知症と診断はされていないだけも入れると、7割はいるのではないでしょうか。ですから病院のように「認知症はありますか?」という質問自体ナンセンスだと思うのです。(笑)

1970年代までは認知症は痴呆(ちほう)と呼ばれていた


本屋さんに行くと、認知症関連の本がたくさん並ぶようになりました。
認知症という用語自体は、元々はラテン語の「dementia(デメンシャ)」に由来しているそうです。この言葉は、元々は「精神のない」という意味を持つ「de」(ない)と「mens」(精神)の合成語です。20世紀に入ると、特にアルツハイマー病の発見により、認知症に関する理解が深まり、認知症は多様な原因によって起こる一連の症状として定義されるようになりました。
日本においても1980年代に入ってから、病気や症状に対する認識や表現の変化、および高齢化社会における認知症の増加という社会的背景により、従来の「痴呆(ちほう)」という用語に代わり「認知症」という表現が一般化し始め、現在では当たり前の用語になりました。

認知症診断の評価「長谷川式スケール」

長谷川式スケールとは、認知症の診断や重症度の評価に使用される心理評価ツールです。日本で開発されたこのスケールは、特に日本の高齢者の認知機能を評価するためによく使われます。
テストは30点満点で、現在の日付や曜日を答えること、100-7は?など簡単な計算問題を解くこと、さっき言った言葉を思い出してなど簡単な記憶テストなどが含まれます。
このテストの最終問題には、知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってくださいというものがあります。そこでは
「枝豆、大豆、えんどう豆、あずき、黒豆、うずら豆」など永遠に豆のみを答えていく利用者がいたり
「あしたば、だいな、ふきのとう、たまな」などあまり聞いたこともない野菜を次々挙げてどや顔する利用者。
「じゃがいも、サツマイモ、さといも、長いも、山芋」など少しでも点数を稼ごうとする利用者に対し、長いもと山芋は同じなのではないか、よって1点にされる利用者。
など、テストでもいろんな人生が見えてきます。

さて、ちょっと長くなりましたので、続きはまたの機会に書きたいと思います。

長谷川式スケールテストの様子

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