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[連載小説]第九話犬だけど何? 野良犬の俺がホームレスのアイツと出会ってスミカをゲットする話 / 第二章スカイドッグスター⭐️バンド始動!


犬だけど何?野良犬の俺とホームレスのアイツに出会ってスミカをゲットする話

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第八話




第二章

犬だけど何? 野良犬の俺とホームレスのアイツに出会ってスミカをゲットする話 / スカイドッグスター⭐️バンド始動!

第九話
初めてのイベント前夜
寅造のプレイリスト作成

俺たちは隣りのじいちゃんの家のベルを押した。
「じいちゃん!いる?」
「おう、どうした?まあ、上がれや…ちょうど今メシ作るところだ。食ってくか?焼きそばだけどな…お前の分はこいつな」
ソラには焼きそば、俺の分のドッグフードも用意してくれた。

晩飯の後ソラは、じいちゃんにイベントの話をした。

「寅造じいちゃん、オレ今度、歌のイベント頼まれたんすよ」
「おお!!そりゃ良かったな!…夢への一歩じゃねーか」
「配達で老健施設にしょっちゅう行ってて職員と顔見知りになったんす。『今年は職員、手が回らないから歌える若い子いないか?』って頼まれて……
これが去年のイベントのチラシなんすけど」
ソラは寅造じいちゃんにチラシを手渡しながら話を続けた。
「……『昭和の懐かしい歌を』って頼まれたんすけど。オレ選曲がわかんないんで。それで、じいちゃんに相談したくて…」
「なるほどな…うんうん、懐かしい歌だな…うーん、そうだな…」
じいちゃんは、しばらくチラシを見ながら考えていたけど、何か思いついたのか膝をポンと打って言った。
「そうだソラ!昭和の頃の『紅白歌合戦』みたいな感じがいいんじゃないか?」
「『紅白』って大晦日の番組?…あ、観たことはある。じいちゃんが生きてた頃は一緒に観てた…」
「だろう?昭和の頃は、おらも家族みんなで年越しそば食いながら見たもんだ…年末の風物詩みてぇなもんでな」

「去年のと一緒ってのも何だから、じいちゃんのプレイリスト参考に『セトリ』作りたいんすけど…」
「なんだ、なんだ?その『プレイなんとか』とか、『せとり』とか、何の意味だ?」
「あっ、スマホのサブスクのプレイリストから、当日のミニ・コンサートの選曲決めたいんですけど…」
「なんか、ますますややこしいな…おら、テレビやラジカセでしか聴いたことないしな。スマホで音楽聴けるんか?」
じいちゃんは照れ笑いした。

「そうそう。やっぱスマホ無いとオレなんか焦っちゃうくらい。便利な道具なんすよー。
せっかくなんで、オレじいちゃんのスマホに今アプリダウンロードして、プレイリスト作ってあげますね!」

そう言うと、寅造のスマホにアプリを入れプレイリストの作成をしだした。
「てーしたもんだなー、最近の若いもんは。スマホってこんな事もできんだな。便利な時代だなあ」

じいちゃんの好きな歌手や好きな歌を聞きながら、ソラはプレイリストを作った。

吉幾三  おら東京さいぐだ
矢沢栄吉 
  ファンキー・モンキー・ベイビー
ダウンタウンブギウギバンド
  港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ
アリス  遠くで汽笛を聴きながら
八代亜紀 舟唄
北島三郎 帰ろかな
河島英五 酒と涙と男と女…

歌を入れながら曲に聴き入ってた寅造じいちゃん…

「おら、昔は自分の好きな音楽を、レコードや借りたCDからラジカセに入れたりしてたけどな…
こんなの何年…いや、何十年ぶりだろな。
ラジカセ以来だからなぁ……
懐かしいなあ…懐かしいなあ…」

そう言って、じいちゃんは、ちょっと目頭を押さえてるようだった…。


第十話に続く





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