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2億ドルの無駄づかい-映画「ナポレオン」感想

どうもTJです
今回はかなり遅れてしまったが、12月1日公開、巨匠リドリー・スコットの最新作「ナポレオン」をネタバレなしでぶっちゃけレビューしていきたい
(※歴史上の出来事なのでネタバレも何もないいのだが…笑)

既に観た方もまだ観ていない方も是非とも最後までご覧頂きたい
(前回の映画レビューはこちらから)

あらすじ・キャスト

18世紀末、革命の混乱に揺れるフランス。若き軍人ナポレオンは目覚ましい活躍を見せ、軍の総司令官に任命される。ナポレオンは夫を亡くした女性ジョゼフィーヌと恋に落ち結婚するが、ナポレオンの溺愛ぶりとは裏腹に奔放なジョゼフィーヌは他の男とも関係を持ち、いつしか夫婦関係は奇妙にねじ曲がっていく。その一方で英雄としてのナポレオンは快進撃を続け、クーデターを成功させて第一統領に就任、そしてついにフランス帝国の皇帝にまで上り詰める。政治家・軍人のトップに立ったナポレオンと、皇后となり優雅な生活を送るジョゼフィーヌだったが、2人の心は満たされないままだった。やがてナポレオンは戦争にのめり込み、凄惨な侵略と征服を繰り返すようになる

映画.comより引用

監督は「エイリアン」「ブレード・ランナー」「オデッセイ」など数々の名作を生み出してきた巨匠リドリー・スコット
主演ナポレオン役は「ジョーカー」で狂演を見せたホアキン・フェニックス
妻ジョセフィーヌ役には「ミッション・ポッシブル」シリーズ出演のバネッサ・カビーが名を連ねた

不人気なナポレオン

ここまで書いて来た通り、映画界の巨匠であるリドリー・スコットとハリウッド随一の演技力を見せるホアキン・フェニックスのコンビと聞けば、映画ファンからの期待は高まらずにはいられないだろう
さらに今作が描くのは世界的”英雄”のナポレオン
売れない訳がないし、面白くない訳がない
そう自分も思っていたが、実際の興行収入はあまり芳しくない
制作費はApple TVの協力もあって約2億ドルと巨額の金額が投じられたのにも関わらず、北米収入は公開から5日間で3275万ドルと経済的勝利とは言い難い様子
さらに日本では初週で6位とかなり厳しい幕開けとなった
この理由はおそらく、今作のナポレオンは観客が求めているニーズから大きくかけ離れてしまっているからだろう
ここについてはこの後、詳しく説明していく

求めるのは恋愛ではなく…

ストーリーの主軸としてはナポレオンとその妻ジョセフィーヌとの恋愛を通じてナポレオンを1人の男として等身大化しようとしている
(※ここは北野武監督の「首」にも同様のテーマ性が見られる)

映画.comより引用

それは予告編でも分かっていたことで、別にそれはそれで良い
だが今作の(個人的な)問題点は、あまりにその恋愛パートが長すぎて観客が恐らく1番求めていたであろう大スペクタクルな戦争シーンがほとんどダイジェストのように消費されていってしまっている
例えるならずっとジョセフィーヌとの恋愛を弱火でコトコトと見せられ、ようやく戦闘シーンで中火になったと思っても、すぐにまた恋愛パートで弱火に戻ってしまう
これが158分も続くのは正直キツかった

誤解の無きよう言っておきたいのだが、ナポレオンの戦闘シーン自体は本当に素晴らしく、リアリティも十二分にある
だが、その時間があまりにも短く、戦いの戦況などの説明はほとんどないため、つまらない歴史の授業のような箇条書きの展開に終始してしまっている
ナポレオンが、そして敵が戦場で何を感じていなのかの感情がほとんど描かれていないため、戦いのカタルシスが欠如してしまっているのだ(だからこそ劇中でも強火にはならない)

映画.comより引用

多額の予算を掛けて撮った豪華な映像をダイジェスト的に処理する
これほど無駄づかいはあるだろうか

ジョセフィーヌとの人間ドラマよりも、ナポレオンの戦争伝として振り切った方が大衆ウケはしたには違いない

総評&これから観に行く方へ

ということでTJ的評価は⭐︎3/5

結構な批判的なことを書いて来てしまったが、劇中序盤のマリー・アントワネットのギロチンでの処刑やロシア軍とのアウステルリッツの戦いは一見の価値がある素晴らしい映像だ
ただやはり自分も含めて多くの人が期待していたとされる歴史モノとしては消化不良感はどうしても否めない

これから観に行こうか迷っている方は、ここのところを頭に入れて判断すべきだと思う
また歴史上の出来事はかなり早いテンポで流れていくのである程度の予習は必要だと感じた
ちなみに前述の通り、日本ではあまりウケていないようなので行くならお早めに映画館に駆け込むことをおすすめする


ということで今回はこの辺で終わりにさせて頂く
普段も新作、旧作問わずレビューしているので良かったらスキ、フォロー、コメント等よろしくお願いします

では!

(今までの映画レビューはこちらから)

見返りは何もありませんが、結構助かります。