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映画「終わらない週末」-ネタバレあり感想&徹底考察

どうもTJです
今回は2023年12月8日配信開始のNetflixオリジナル作品、「終わらない週末」をネタバレ有りでレビューしていく

この映画を見終わった大多数の人たちの心の第一声はおそらく「は?」であろう
タンカー、鹿、スペイン語を話す謎の女性、フレンズ等意味の分からないシーンが次々と繰り出されていき、最後まで見終わった後もモヤモヤが残る感覚だと思う(かく言う自分もそうだった)
だからこそ、一般人代表として渡り鳥のように少ない解説記事に飛んで得た知見と自分の考察をふまえながらこれを読んでくれた方々のクエスチョンマークを少しでも取り除くことを目指して書いていきたい

あらすじ・キャスト

アマンダと夫のクレイ、息子アーチーの一家は、のんびりと週末を過ごそうとレンタルした豪華な別荘にやってくる。しかし、到着して早々に世間では不可解なサイバー攻撃によって携帯やパソコンが使えないという事態が発生する。そしてアマンダたちのもとには、別荘のオーナーだというG・Hと名乗る男が、娘を連れてやってくる。彼らはサイバー攻撃から逃れるために、自分たちの持ち家である別荘にやってきたという。世界の崩壊が刻一刻と迫るなか、2つの家族は恐怖と向き合い、自分たちの置かれた状況を受け入れていくが……。

映画.comより引用

監督は「ミスター・ロボット」など人気ドラマシリーズを手掛けたサム・エスメイル
ジュリア・ロバーツ、マハーシャラ・アリ、イーサン・ホーク、ケビン・ベーコンなど豪華キャストが共演した

解説

まずこの映画を見るにあたってのポイントは世界の崩壊の原因はそれほど重要ではないということだ
この映画の本質は世界の崩壊が迫る中で浮き彫りになる現在のアメリカであり、その原因についてはイランだの北朝鮮での仄めかされてはいるが直接的には明示されていない
とにかくキーワードはアメリカ
ここに焦点を当てながらこの映画を読み解いていく

タンカー

https://images.app.goo.gl/UP8wSJsRazJ4fRiy6

まずは物語序盤
アマンダ一家が休暇中に訪れたビーチに突然巨大タンカーが殴り込みに来るが、これは上記の画像にもある通り、初めてアメリカに黒人奴隷が連れてこられたオランダ船の名前「ホワイト・タイガー(WHITE LION)」を意味している
実際にこのタンカーの登場後に、黒人家族のG.Hらが別荘に訪れる

スペイン語を話す謎の女性

次に夫のクレイが情報を得ようと近隣の街に行こうとする場面
グレイは謎のスペイン語を話して助けを求める女性に遭遇する
しかしクレイはスペイン語が分からないという理由から見捨る形でそのまま車を走らせてしまう
これはアメリカに住む白人がメキシコなどからの移民を排除しようとしている構図を風刺したものだろう
実際に2016年の大統領選挙などではトランプがメキシコとの間に壁を作ると宣言して大きな波紋を呼んだ
一方で今作のエグゼクティブプロデューサーにはオバマ元大統領夫妻が名を連ねており、この映画に一定のバイアスが掛かっている可能性を左右のバランスを取るために一応言っておきたい

テスラ

https://images.app.goo.gl/oaaJWebsJv1k1Kfd8

次はこのシーン
アマンダ一家は不可解な状況が続く別荘に耐えられなくなり、脱出を試みるが道路が何百台ものテスラの車たちによって完全に閉鎖
さらにアマンダたちに向かって際限なくテスラの車たちは突入してくる
結局彼らはまたG.Hのいる別荘に戻るのだが、これはテスラ社(自動運転)の危険性を風刺している
実際にテスラ社は2023年12月に自社の自動運転の支援システムが不十分としてアメリカ当局に200万台を超えるリコールを届け出ている

テスラが200万台超リコール 過去最大規模 自動運転支援に問題

カメラワーク

ここで一旦、映画全体の話にピンチインさせてもらう
この映画は見ていてとても不安になる
それはストーリー上に明確な敵がいないということもあるが、もう一つは(良い意味で)気持ちの悪いカメラワークだろう
登場人物を写すカットからそのまま真上から俯瞰したかのようなカットまでシームレスに移動していく
また白人と黒人、2つの家族を徹底的に上下、左右に切り分けて両家族を映し出す
まるで2020年のアメリカ大統領選を経て顕著になった分断されたアメリカの姿を強調するかの様にだ

https://images.app.goo.gl/HySvofPuvFXT16b1A

鹿、そして「フレンズ」

https://images.app.goo.gl/jinDgcof2YGwaQBo8

いよいよ世界の終末が近づく中、妹のローズは家族とは逸れながらも鹿に導かれて地下シェルターを発見
食料も大量にある安全な所で大好きなフレンズの最終回が収録されたDVDを見つけて、鑑賞するというラストを迎えるが、このラストが何とも憎い笑
まずは鹿についてだが、おそらくこれは神の象徴(もしくは使い)を表している
母のアマンダは鹿を追い払うのに対し、妹のローズは鹿に従うことで安全なシェルターを見つける
やはり最後に救われるのは神を信じたもの…ということなのかもしれない

そして妹がフレンズのDVDを観ることについてはやはり最後まで手元に残るのは配信ではなくDVDということを風刺しているのだろう
Netflixのオリジナル作品なのにNetflix批判を行うというこの皮肉
観客に若干の投げやり感は感じるも、個人的には結構好きなラストだった

ちなみにフレンズというのはニューヨークに住む男女仲良し6人組の友情、恋愛、都会的なライフスタイルを描いた超人気ドラマ(らしい)
しかし現実はフレンズのような世界と違って分断と格差のディストピアということを強調したいが為に今作では一つのテーマとして使われているのかもしれない

総評

ここまで解説してきたが、最後に映画というエンタメとして評価させて頂きたい
TJ的評価は⭐︎3.5
確かに現代のアメリカを風刺、予測した作品としてはよく出来ていると思うが、その風刺が様々な角度に散発しているが故に、結局144分使って一番に何を伝えたかったのかが不明
ラストの自らでNetflix批判を行うのは個人的には好きだったが、前述の通り、物語の節々で観客への投げやり感も感じてしまうのも正直なところだ  

ということでいかがだっただろうか
今後も新作、旧作問わずレビューしていく予定なので良かったら過去の分もぜひ

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今回はこの辺で終わりにさせて頂く
では!

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