カウントダウンだから駆け引きなしの本音純愛トーク。浮気じゃないのよ。本気は2人いてもいいんじゃない?
翌朝のラインのやりとりが終わり,夕方待ち合わせることにした。理由は,こうすけが全く前日の記憶が抜け落ちているから教えてほしいということと,記憶が抜け落ちているにもかかわらず
「会いたいという感情だけが残っている。」と言ってきたからである。
まさにシンガーソングライターみたいなワードを投げられたら会わずにはいられない。
私も会おうかと思ったのは,なんせ来週にはその子は日本を去るから。だから,一旦会おうと決めた。
夕方もお酒を出している見晴らしのいいバーにつき,2人とも二日酔い明けの中ビールを頼む。
「え,昨日俺なんか怒らせるようなこととかしてない?」
確実に怯えている。私自身,完全に悪ノリもあったので怒ることは何もないよとちゃんと伝えたらこうすけはホッとしていた。ことの経緯をちびちびと私も覚えている程度に伝えた。
「てか,マジで覚えてないのが無念すぎる。。そんないいことがあったのに。さらに実を言うと,一番覚えていたいところが全く覚えてなくて,律子さんがめっちゃしゅうまいを食べているのだけ覚えている。この脳なんとかしろ!」
と,脳を叱っていた。こうすけには完全にしゅうまい食べる女として深く刻まれた。
「え,機能してた?飲み過ぎだったから無理でしょ?」と聞かれたので,そこら辺は一旦気遣い,「少しばかりは。」と答えてみた。この気遣いが良いのか,悪いのかはさっぱりわからないけど,こうすけは少しホッとしていた。
「あーなんでしゅうまい食べてた姿しか覚えてないんだー,めちゃ悔しい。」
記憶が前代未聞である。私としても不甲斐ない。夜中にしゅうまい食べ過ぎた。ごめん。
そして,起きたらワインで床がびしゃびしゃになっており,残りのしゅうまいが床を転がっていたらしい。そう,貴方はワインをゴボゴボと並々に注いでいたからね。それも一応伝えた。
こうすけは聞いてきた。
「青木さんの女じゃないの?カラオケの時に青木さんいるのに俺の膝に両足乗せてきたから怒られるんじゃないかと思ったら青木さん全然みてなかったから一体なんなんだろと思って。」
「全くそれはなくて,さらに覚えてなくて,,でも興奮した?」と聞くと,
「マジ性格悪いわー。年下弄び過ぎでしょ。」と言われ,初めて歳を聞いた。7歳年下だった。と,年齢のことはもはやどうでもいいのだけど,こうすけに言ったのは,
「貴方,年上に育ててもらった方が男として素敵になると思うよ。」。
そしたらこうすけは「育てて。」私,「断る。」,「育ててー!」この連続が始まる。そう,完全に楽しんでいる。
でも,こうすけが真面目に話してきた。
「いや,俺さ,一年くらいアメリカ行く前に本気で彼女探してたのよ。凄い人数紹介されたんだけど,全く気が乗らなかったわけ。で,カラオケの時あっちゃったじゃん,でもその時は青木さんの女だと思ってたから気にしてなかったけど,なんで昨日会っちゃったんだろって。。。もう日本にいないのに,まじありえないわ。悲しすぎる。ほんとヤバい女だと思ったんだよね。」
確かに,日本生活,残り1週間である。
「完全に沼よ,沼。この1年間ハマることなかったのに,ハマったわ。抜けれないヤツ。ヤバい女だから。もう一緒にアメリカ来てよ。」
私,何もいえないヤツ。ヤバい女を何度も連呼された。
「いや,だからさ,今日は一旦一緒にいるわ。」と,こうすけから謎に一緒にいる宣言。
「あれ?友達と会うんじゃなかったの?」と聞くと,どうやら友人の予定がキャンセルになったらしく,私とユキの夕飯に一緒に行きたいとのこと。まあ,残り少ない日本生活だからそうね,そうしようとなった。
会話は彼女を探していた時の話に戻る。
「なんでそんなに出会って誰もピンとこなかったの?」と聞くと,「みんななんか違うもの狙ってくるのよ。それが怖くて。」とのこと。
あー確かに,なんとなくわかるわけです。勤め先を聞くと,実はハイスペだった。年収も高い某外資系勤務。そりゃあみんな集ってくるわね,というわけ。
「ね,そうなのよ,職業とか年収とかほんとどうでもよくて,相手が何ししててもいいのよ。だから外側だけとか,スペックで好かれるとホント悲しくなる。俺を見て!オーレーヲーミーテー。」
こうすけは嘆いていた。
婚活女子の人がいたら言いたい。
そう,外側だけで判断すると大きな獲物を逃すことになりかねないということを。ガッツかない方がいいということを。何事もそおっとがいいのかもしれない。
「どうしてくれるのよ,この沼。片道のフライト送るからさ。」
「そうね,サンフランシスコ行ったことないから行ってもいいね。でも,往復にして。」
「違うー旅行じゃなくて,俺のとこに来てって言ってるの!なんで旅行なのー(泣)。サンフランのが俺より大事なの?片道でいいじゃん。」
可愛い。ただそれだけだ。
そう,私たちは,今日でもう会えなくなるのだ。困ったことに,飛行機を使わないと会えなくなるのだ。
多分,だからこそ私たちは純粋に思っていることを話し合えたんだと思う。だって駆け引きも何もできない環境だから。
そう,タイムリミットがあるのだ。
色々話しているうちに,なんでもっと早く出会えなかったんだろうと,生まれて初めて思った人だった。
なんでこんなタイミングで,,。と”人生”という謎なゲームに完全に踊らされている気分。
でも,私自身,久々に大事にしたい新しいパートナーができたのだけど,こうすけとそのパートナーが似てることを話した。
こうすけも普通に聞いてくれた。そして「まあ,パートナーは何人いてもいいしね。」とのこと。
先日,温泉の旅先で出会った70代の女性とたまたま話し込むことがあった。その女性はとてもユーモアのセンスに溢れていた。そして恋愛話にまで発展したのだけど,
「ほら,なんか恋愛でこう一途になると(両手で「こうっ」てダチョウ倶楽部みたいのをやってる)辛くなり過ぎて死んじゃう子っているでしょ。だから,一途はダメなのよ。どうせなら沢山の男がいた方がいいのよ。」とのこと。
完全なる恋愛バイブルである。70歳の恋愛バイブルは重みと深みがある。
実は男子はあまりパートナーがいようがいまいがそれほど気にしてないらしい(人によると思うけど)。
それよりも自分が相手を好きっ!と言う気持ちのが大切にしたいのかもしれない。純粋な愛ならそうなのかもしれないなと久々に”愛”という言葉の意味を恥ずかしながら探し出す。
事実,男子も女子から一途に思われたらきっと荷が重いはずである。だから軽くゆるくしておく方が互いに楽しく過ごせるのではと思う。
こうすけは,普通に私のパートナーの話を聞いてくれた。あまりにもピュアで無邪気なところが私のパートナーとこうすけと似てて,こうすけも
「え,俺とめちゃ似てるじゃん!」と。
そう,これはもはや浮気ではない。
どちらも本気なのである。
どちらも好き。それでいいのではないか?とアラフォーバツ2の境地が新たに開拓された瞬間である。
お読み頂きありがとうございました。
続く。
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