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妊娠カレンダー 後編


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妊娠13週

ある日、起きるとなんだか気分がよかった。今までお水を飲んでも美味しくないと感じていたが、その日は美味しく感じた。

そう、つわりがおわったのだ。

突然だった。
しかし、何度か終わったかもと喜んでどん底に突き落とされることがあったから、半信半疑だった。
夜になっても気持ち悪くならない。つわりが始まってから食べれなくなった焼き魚のことを考えても気持ち悪くならない。台所に長時間いられる。


つわりのおわりが確信に変わった。


それからはもう、しあわせいっぱいな日々。
食べたいものを食べたい時に食べられる。スーパーの鮮魚コーナーに行ける。なんと言っても、ご飯が作れる!!!
白米がやたらおいしくてパクパク食べた。そのせいで体重が少し増えた…。

情緒も安定して、ベイビーちゃんをより愛おしく感じた。なぜか夫のこともすごく愛おしく思えて、愛おしい人が家の中に2人!しあわせ☺️といった感じでお花畑に過ごしていた。

胎盤が完成する頃だったので、ようやく食事にも気をつけるようになった。(つわりの時期はマックやらコンビニのチルド弁当やら栄養が偏りまくっていた。)葉酸やカルシウム、鉄分を積極的に取るように心がけた。

14週

ある日おへその下がポコっと不自然に出てて、ベイビーちゃんの存在を外からも感じられるようになってうれしかった。

同時に締め付けが気になって着れる服がなくなってきた。
マタニティウェアはなるべく買いたくなかったから、ジーンズと仕事用に黒いストレートパンツだけマタニティ用のものを買って、あとはひたすらZOZOでウエストがゴムで大きめのパンツやゆるいワンピースを買い漁った。


17週

おへその下の方でポコっとなにかが動く気配を感じた。
寝転がっておなかに全集中してみると、明らかに蹴られている。胎動だ。
最初の頃は集中しないと気付かなかったけど、19週にも入ると座っているときや寝転がっているときは集中しなくてもビンビンに感じた。

か、かわいい…☺️

おなかを手でポンっと叩くと、同じところをポンっと蹴り返してくれて、コミュニケーションが取れてる気がしてより愛おしさが増した。

(アンタ、天才ベイビーだね。)

すでに親バカであった。


18週

朝の散歩から帰り、トイレに行くと少し茶色っぽい血が出ていた。中期で出血することはあまりないらしく、すごく心配になったが、ほんの少量で鮮血でもなかったから様子を見た。その日はもう出血しなかった。

次の日仕事に行くとまた少し茶色い血が出ていた。不安になって涙が出てきた。もしベイビーちゃんになにかあったらどうしよう。他人(血が繋っているから、もはや他人ではないが)のことをこんなに心配するなんて初めてであった。


心配になったので泣きながら病院に電話したら、様子を見てもいいし、心配だったら来てくれてもいいという曖昧な答えだったので、仕事中だしなんだが緊急性のなさそうな答え方だったから様子を見ることにした。次の日には出血はなくなった。
相変わらず元気におなかを蹴ってきたから元気ではあるようだった。


20週

中期スクリーニングをした。
ベイビーちゃんの様子をより細かく調べる検査だ。
心臓のところを先生がずっと見ている。少し不安になった。

終わったあと先生から
「心臓の大動脈が狭い気がする。」
と言われた。

突然のことで頭がついていかなかった。

「まだ発達段階だからそう見えるのかもしれません。でも、もし本当に狭いとしたらお腹の中にいる間は大丈夫だけど、外に出てきたらすぐに手術をしなくてはならないかもしれません。」

「2週間後にもう一度見てみましょう」

そんな感じのことを言われた。


診察が終わった後受付で座っていると助産師さんが来て
「大丈夫?何か聞きたいことはある?」
と優しく声をかけてくれた。
堪えていた涙がポロポロ落ちてしまった。

家に帰るまでの道でも涙が止まらなかった。
無事に産まれてきてくれるかな…。もし、何かあったらどうしよう…。
悪い方にばかり考えてしまって、家に帰って夫に話す前にたくさん泣いた。

家に着くと夫がわたしの様子を見て大丈夫?と抱きしめてくれた。
事情を話して、まだ確定したわけではない。前向きに捉えようと言ってくれた。

母にも連絡したらすぐに電話をしてくれた。

「あんたのお姉ちゃんも予定より3ヶ月も早く出てきちゃってどうなるかと思ったけど、今元気でしょ?だから大丈夫よ。
暗い気持ちは赤ちゃんに伝わっちゃうから、ポジティブにいなさい」

と言ってくれた。
母親が弱気でどうするんだ。
暗い方に考えることはやめた。それからは今まで以上にベイビーちゃんに話しかけて、何度も何度も「大好きだよ。」と伝えた。


22週

大動脈を調べるために、もう一度エコーしてもらった。

ドキドキしながら一緒にエコーを見た。

心臓を写したところですぐに
「あ、大丈夫ですね!ちゃんと通ってます。」
先生がそう言ってくれた。

神様仏様イエス様お父様お母様ありがとう…。

「変な心配させちゃって悪かったね。」

と先生は言い、本来お金がかかる4Dエコーをやってくれた。とってもかわいいベイビーちゃんのお顔を見ることができた☺️
手で顔をこしょこしょしたり、アイーンしたり、完全に「人」だった。寝顔が夫にそっくりでうれしかった。

2週間心にモヤがかかっていたが、一気に晴れて気分がよかった。
何より、4Dエコーでよりベイビーちゃんの存在が現実味を帯びて愛おしさが倍増した。

どうやら、胎児のうちに心臓の疾患を見つけることは難しいらしく、知らずに生まれて急に亡くなってしまうということも中にはあるらしい。
今回は違ったけど、そういう可能性もあるということを知れただけでよかった。この間の先生の診察は無駄ではなかった。

(アンタ、よかったねぇ。このまま無事でいてくれよ)

帰ってすぐに夫に報告した。
「俺、論文とか色々見て調べてたけど、20週の時点で○㎝あったからきっと大丈夫だと思ってた。」

医師か。

たしかに夫がパソコンを見てる後ろを通るといつも心臓の図が開いてあったり、エコー写真をじっと見たりしてた。
わたし以上に気にしてくれててうれしかった。


24週

生徒や保護者に妊娠、休任することを伝えた。
みんなすごくあたたかく「おめでとう」と声をかけてくれた。
デカフェの紅茶や、ベビーグッズ、マタニティーグッズをプレゼントしてくれる人もいてすごくうれしかった。


感謝の気持ちやあたたかい気持ちを直接伝えてもらえるいい仕事だと思った。

生徒も
「おなかに赤ちゃんいるの?いい子だといいね☺️」
「触っていい…?」
「先生、また戻ってくる?幼稚園入れたらまた働けるかな?」
など、声をかけてくれてうれしかった。

またいつか復帰して成長した姿が見られるといいな。


そしていつのまにか後期に入った。
胎動はよりダイナミックに、お腹もどんどん出てきてより妊娠していることをより実感するようになった。
でも、本当に妊娠してる?と言われるくらいスタスタ歩けるし、体力も有り余っていて元気な妊婦である。

それでも手足のむくみがひどくて、履けない靴も出てきて、おしゃれに制限が出てきたけど、あと少しだと思うと全然へっちゃらだし、早く会いたいという気持ちが大きくなった。

インスタで新生児期の赤ちゃんを見て癒されたり、成長過程を見てすぐ大きくなることを知って、一瞬一瞬をそば見守りたいなと思った。



そしてようやく正期産(いつ産まれても大丈夫な時期)へ。
あとは無事に生まれてくるのを待つのみ。



父と母は、君に会えることをすごくたのしみにしているよ。






妊娠カレンダーこれにて終了



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