靴を売る仕事②
革靴専門店で働き始めて約2ヶ月が経った。
クリスマス、年末年始セールの繁忙期が過ぎ去り、平日の店内はゆったりとした時間が流れている。
土日だとしてもお客さん一人一人に向き合える時間がちゃんと確保できる。
クリスマスは購入意欲があって、靴を買う前提の接客であるため当たり前に販売まで繋がる。しかし、今は繁忙期と違ってふらっと入ってくる人が多いため、販売まで繋げるのがすごく難しい。
いかに商品やブランドに対して『ちょっと気になる』人に『買いたい』と思わせるかが真の接客なのである。
平日はとくに来店数もぐんと少なくなるため、1人も買いたいと思ってくれるお客さんを逃したくないのがホンネ。だから今の時期、個人売り上げは接客の上手さがもろに数字に表れる。
ぽんすけは人当たりは良いけど、その先がない。と店長さんに言われた。たしかに。数字を伸ばそう、伸ばそうとして接客の基本『また来たいと思わせる』ことを忘れていた。だから売れないのだ。
だから買う買わないにしろお客さんに気持ちよく帰ってもらうことを意識した。
そんな時ある人が私を訪ねてきた。
『僕のこと覚えてます?』
年末に1度来てくれてブーツは結局買わずに帰った28歳くらいの男性だった。昔格闘技をしていた名残の特徴的な耳で思い出した。
今日は友達と近くまで来たために寄ってくれたらしい。わざわざ友達に車でおろしてもらって、私がいたから話しかけに来てくれたのだ。本人曰く今日は買うつもりがなかったらしいが、結局赤茶のブーツを買って、履いて帰って行った笑
素直に嬉しかった。本業にしろバイトにしろ、私の接客のモットーは会いたいと思える販売員になること。
化粧品もブーツも正直どこでも買うことができる。それこそオンラインとかね。こんな便利な世の中で同じ商品でもこの人から買いたい。そう思っていただけたら嬉しいなと。
昨日はそんな私のファン第一号ができた日です。
忘れずに覚えておこう。
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