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アダムとイブ イザナギとイザナミ

新聞はときおり、出先の公共施設で読んでいる。地方紙だからローカルな話題以外は、共同通信が提供するソースがほとんどと思われる。

共同通信社は、全国の新聞社や放送局などの報道機関に記事を配信している。 地方新聞は海外や首都圏などに取材機能を持たないため、通信社の存在が欠かせない。
他にも時事通信社が存在するが、こちらは企業や官公庁などに対し情報を提供する、商業通信部門が主になる。

読めば相変わらずの偏向へんこうぶりに、毎度げんなりさせられる。
これが朝日新聞なり日本経済新聞なりといった単体であれば、その社が発信する”カラー”を好む購読者に限られているからまだいい(日本のためにいいと個人的には思えないが)。
共同通信になると、その特性からかたよった情報が全国くまなく伝播でんぱするため、影響力は大手新聞社をはるかにしのぐ。困ったもんである。

最近であれば、2024年11月5日に行われるアメリカ大統領選挙。
その選択次第で、世界に与える影響の計り知れない2大政党の存在に対し、我が地方紙(つまり共同通信)のスタンスは、一貫して民主党寄りである。

認知症の疑いから、再選の野望を最後は身内によって引きずり降ろされた現職大統領に対し、「トランプ前大統領の返り咲きという危険から、民主党が米国を救うチャンスを高めた」「バイデン氏は自分のプライドと野心より国益を優先した。トランプ氏が決してやらないことだ」などと、ニューヨーク・タイムズの記事を使って最大限に持ち上げる。
好き嫌いの感情以前の話として、この文章のどこに報道の公平性や冷静な情勢分析があるのか。

「トランプ前大統領の返り咲きという危険」などと、国民の半数が支持する前大統領をあたかもテロリストででもあるかのように表現するのは、同盟国として非礼の極みである。
実際にはその少し前、テロリストによって間一髪かんいっぱつ命を失いかけたのは、前大統領であったにも関わらずである。

日本の中だけ見ていると、現副大統領が大統領候補に承認された時点で、民主党が引き続き政権を担うと決まったかのような報道ぶりだ。
その際、なぜか共和党候補は悪代官で、民主党候補は誰になろうと、弱者に寄り添う正義の味方という図式になっている。
これは報道に限らない。政府や関係省庁においても民主党びいきが甚だしく、共和党とのパイプを持つ人材は、皆無に等しいと仄聞そくぶんする。
この体たらくで”外交”が正常に機能すると、本気で考えているのだろうか。

なぁんて、例によって主題からどんどんれていくのだが、静岡の地方紙を読んでいて、やたら気になる単語が目につくようになったのでそれについて触れたくなった。見出しはこんな感じだ。

「LGBTQ応援 企業を紹介 式場やジュエリー、同性カップルも気軽に 静岡大サークル、プライド月間に合わせて冊子」(2024.6.24/静岡新聞)
「LGBTQ「世界変えた」 NY、バーでの暴動から55年 歴史伝える展示施設も」(2024.6.30/静岡新聞)

どちらも静岡のローカル記事で、共同通信社の提供ではない。それだけに、読んだ際の深刻さもひとしおだった。

2023年6月16日、性的マイノリティーに対する理解を広めるための「LGBT理解増進法」が国会で成立し、23日に施行された。与党内で反対意見が多数を占めたにも関わらず、当時の岸田内閣(今もそのままなのが大変困るわけだが)が強行し、5名の欠席・退席者以外、自民・公明・日本維新の会・国民民主の4党などの賛成多数で可決している。

この時点ではまだ、「Q」の存在は表面化していない。それが1年も経つと地方紙のローカル記事の中に、なんの根拠も注釈も示されないまま載っている。これは大変おそろしいことだ。知らぬ間に、人の感情までを統治しようとする動きが進められている。

僕が普段関わる高齢者にLGBTが何の略か訊いても、答えられる人は一人もいない。LとGを説明すれば「ああなるほどね」となっても、BやTにはついていけず、先方から話題を変えてしまう事がほとんどだ。
まして「Q」が何かなんて、関心の埒外らちがいだろう。一方、欧米ではとうにLGBTQ+が定着している。

実は現状でLGBTQQIAAPPO2Sまで来ているのだが、あんまり人間の細分化が進むものだから、「Q」以下はその他おおぜいの扱いにしたってことか。それって「+」の人に対しての差別にならんのか。
いい加減、アホかって思いませんか?

世界では、宗教上・政治的理由から、同性愛を違法として罰する国が半数以上を占める。
日本が実質的な移民政策を進めるイスラムにおいては、婚姻関係にある者同士(つまり夫婦)の性行為以外は許しておらず、婚前交渉や姦通かんつうと同様、同性愛はイスラム共同体を破壊しかねない重罪とされる。
特に男色については、現在でも死刑となる可能性が高い。

一方で厳格な戒律の人々を取り込みながら、一方で生き物の原則である雌雄しゆうの2つを嗜好しこうや感情によって細分化したうえ「理解」しようとする、分裂の極みにあるかのような政府の政策。
この混沌を今後も推進しようとする、本当の意図ってなんなんだろうか。
(明日に続く)

イラスト Atelier hanami@はなのす





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