【エッセイ】社会人が独学でギターを始めてみてから

アコースティックギターを半ば衝動買いしてから、約1年たった。

1年も立てば、それなりに上達しているだろうと思うことなかれ。お察しの通り、基本で相変わらず躓いている。誰もが通る関門セーハとFコードが上手く鳴らないのである。


Fコードを弾く際、親指に全神経を集中させて力を入れれば、1弦と5・6弦はなんとか音がでる。2弦3弦は特に問題ない。ではどこに問題がというと、4弦の音が上手くでないのだ。

Fコードで調べると5弦の音が出ないというのは検索でかなりの数がヒットする。だがしかし、4弦が鳴らないなんて悩みはyahooの知恵袋にもなかったりする。


確かに、私もFコードを練習し始めた時は5弦が全く鳴らなかった。6弦も変な音がでた。そこから試行錯誤しなから、腱鞘炎になりそうなほど、指に力を入れればなんとか、なんとか音がでるところまでたどり着いたのだ。4弦を除いて。

人差し指や小指が4弦に当たってるのではと何度も確認するのだが、指の位置を調節しても上手くいかない。中指にもこれ以上力を入れるとなるとそろそろ腱鞘炎にでもなりそうである。

教本には、無駄な力を入れないなどとの記載もあり、これでいいのか、いや違うな。などとあいも変わらず試行錯誤の日々である。


時に、私はギターを始めて最初に弾いた曲は「Happy birthday」の曲である。といっても、メロディーを単音で弾いただけ(格好良く?言うならアルペジオ)なのだが、それを昨年母に話したことがある。

それ以来、一度も「弾けるようになった?」などきかれなかったのだが、一昨日急に「Happy birthday」って弾けるのと問いかけられた。練習したのがなんせ昨年のことなので、短い楽譜も覚えていなかった。「楽譜覚えてないけどたぶん」などと気楽な返事をしてしまったが、その晩、布団の中でふと気がついてしまった。


もうすぐ家族の誕生日だということに。


タルトシトロン

我が家では家族の誕生日は自宅で食事会なるものを開催して、祝うのが恒例である。まさかここで「Happybirthday」を弾けということだったのだろうか。

前述したとおり、単音でしか弾けないのだ。夜中ではあったが、いそいそと教本を開き、「ソソラソドシ」をコード変換してみた。

脳内のシュミレーションだけでもうわかる。コードチェンジ間に合わないと。

一応、webで伴奏のコードも調べてみたがFコードが入っている。無理である。

あと、5日でFコードをマスターして、素早くコードチェンジできる自分など到底想像ができない。

そうなると単音で引くしかないのだが、リズム感がない上に、ストロークが下手なので、ちょくちょく他の弦に触ってしまう私のアルペジオでは、小学校1年生の始めての音楽会のような空気になる未来がみえる。

あれは、小学生という可能性に満ちた存在だから許される空気である。とうの昔に成人した人間が、1日15分程度でしかないが、1年も練習したにも関わらず大して上達してない楽器など披露して、「上手だね~」(拍手)などと言われる状況。想像するだけで恐ろしいものだ。

万が一、弾かざるを得ない場合に備えてここ数日は初心に帰ったつもりで、「Happybirthday」の曲を3周ほど、日々の練習にくみこんでいるのだが、音階が上がるときにテンポが遅れるなど、まあ散々である。

どうか、何事もなく家族の誕生日を祝い、ギターの出番が来ませんようにとどこに祈ればいいのか分からないなりに念じているのだが、果たしてどうなるのだろうか。気持ちとしては「私の明日はどっちだ」といったところである。

次の家族の誕生日迄にFコードとスムーズなコードチェンジをマスターしようと心に決めた今日このごろであった。

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