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ロシア経済(8月1日~8月31日)

(6,414 文字)

8月2日:エレベーター市場が崩壊

外資エレベーター・メーカーが撤退したことで、その生産量は2022年上半期で41%減の9,000台となり、エレベーター市場が崩壊した
コメルサントによれば、この市場は、2019年上半期は+16%、2020年上半期は+18%の成長市場であった

米国オーティス社、フィンランドのコーネ社、独のティッセンクルップ・エレベーター社の3社の合計シェアは2021年に20.1%である
オーティスは現地生産を行っており、市場第2位の生産者であった

7月、オーティスはサンクトペテルブルクとシュチェルビンカの工場を、アルメン・サルキシャンが所有する投資会社S8キャピタルに売却した
これらの工場では、今後、新ブランドのエレベーターを生産していく予定である
コーネは露営業を現地のトップに引き渡したが、エレベーターやエスカレーターを供給する計画はないという

8月2日 コメルサントから一部抜粋
撤退した西側企業のエレベーターを完全に置き換えることはできません
ビジネスクラスのプロジェクトでは、建物構造が西側メーカーの特定のモデルが使用されるような規格になっていると、MR Group の CEO Maria Litinetskaya 氏は言う
高速エレベーターを備えた高層ビルの開発担当者は自社製品で置き換えるのは難しいだろう、と Alexey Li 氏も言う
Elena Mironova は、現在、開発担当者は中国とトルコの製造業者に焦点を移していると述べています しかし、FGCグループでは、中国からのエレベーターの納期はずっと遅れている

8月2日:当局は、飛行機のブレーキを節約するように要請した

西側から供給を受けることができないため、大型旅客機の着陸時のブレーキを節約しようと試みている

8月4日:リストラ、給与カット、アウトソーシング

2 月以降、企業の 11% が 30 ~ 50 人、21% は 20 ~ 30 人、27% は 10 人未満の従業員を解雇している

8月8日:ロシアの空をツギハギ飛行機が飛び始めた

Flightradar24のデータに基づく推計では、露アエロフロート社の50機のジェット機が飛行していない

8月11日:露公共メディア:プーチン、地元住民で道路工事をするように要請

プーチン大統領、道路建設に地元住民の参加を呼びかけた マリ・エル共和国代表代行ユーリ・ザイツェフとのテレビ会議で、大統領は道路の状態に注意を促した
これは問題であり、地域住民を建設に参加させる必要がある、とプーチンは述べた
「露の道路建設に参加してほしい
我々は非常に大規模な予算計画を持っており、計画に応じて資金が提供される
しかし、道路工事には、まず地域住民を巻き込むような形で企業と連携するのが必要だ」
プーチンは、ザイチェフの優れた経験と学歴、そして実績について言及した(褒めた)
「(ザイチェフには)大規模な国有財産の管理に携わり、近隣のある共和国の政府を率い、カルムイキアで3年近く働いた経験がある
共和国が直面する目標を達成するために必要なものはすべて揃っている」

今年4月、露連邦当局が「道路インフラの高度な開発」に 1,200 億ルーブルを割り当てることが公表されている
これらの資金のうち860 億ルーブルは、63の地域で受領されている
露連邦では、2500キロメートル以上の道路を修復する必要がある

8月12日:露国営メディア 2022 年上半期、中国への鉄鉱石輸出は、金額ベースで40% 減少、重量ベースで20%減少

8月13日:ロシアの差し押さえられた外貨資産の分布状況(ドル・ユーロ)

8月15日:プーチン、タリバンと100万バレルの石油の「物々交換」を約束

8月18日:露は中国に石炭を半額で販売し始めた

EUで失った需要を補う顧客を見つけられず、企業活動継続のために中印に頭を下げて安値で買い取ってもらっている

8月18日:80種類以上の薬が不足

抗うつ剤、向精神薬、避妊薬、インシュリン、甲状腺ホルモン、抗てんかん薬などが不足している
露の「ジェネリック」は信頼性が低く割高である
人々は海外の薬剤を求め、並行輸入している
法律上の問題でトラブルになることもあるようだ
いずれ、現在行われている並行輸入が犯罪にならないよう法律が変わるだろう

8月18日:ロシアの医療費が削減され、医療従事者も人手不足

コロナ第6波が今後数週間のうちに起こるだろう
露の医療システムは準備がない 軍事費の増加の中で医療費は激減している
西カザフスタンから新しいコロナの波が入ってきているようだ
第6波で死亡率が高くなることは無いだろう
厳格な行動制限がされることも考えにくい
ワクチンは重症化率を下げることが期待されるので摂取しておくべきだ
感染者が増加しても戦争は続くだろう
医療従事者へ支払われる給与や医療全体に割かれる予算が縮小しており、医療従事者の離職率が増加している
既に、地方だけではなく、モスクワでも深刻な人手不足

8月18日:モスクワの取引所で人民元の取扱高がドルの取扱高を上回る

8月19日:年内に、人民元が主要外貨になる

2022 年末までに、人民元が主要外貨になる可能性がある
わずか半年足らずで、人民元はモスクワ取引所の取引で大きなシェアを獲得し、8月18 日の午後、初めてドルでの取引を上回った
専門家は、中国からの輸入により、人民元決済の割合が増加していると述べている
露中央銀行によると、1月の為替取引量に占める人民元の割合は 1% 未満だったが、3 月初旬から人民元に対する積極的な需要が増大した
それ以来、元/ルーブルのペアは 100 ~ 300 億ルーブルの安定した取引高を記録している
そして 7 月末までに、1 日の取引量は 700 億ルーブルを超え過去最高となった

ガスプロムバンク・プライベート・バンキングのマネジング・ディレクター、イェゴール・スシン氏は、現在の人民元のシェアの増加は、予想された通りのプロセスであり、間もなく露で主要な外貨になるだろうと述べる
スシン氏によると、中国からの輸入により、人民元決済の割合が増加しているという
EU が 6 月に 露国立決裁預託機関(NSD) に制裁を課したことにより、National Clearing Center(ノンバンク金融機関向けのルーブル・外貨資金による決済仲介公共機関) に制裁が科される重大なリスクを生み出している

実際、全外貨為替取引にはリスクがあると、Sovcombank のチーフ アナリストMikhail Vasiliev 氏は言う
人民元人気の高まりというよりも、ドルの需要低下によって支えられていると、経済専門家ソフィア・ドネツ氏は言う

また、セルゲイ・ゴレニシェフ氏は、露中央銀行は新しい予算ルールの下、露国民福祉基金を補充するために、友好国の通貨を購入し始めているという仮説を持っている
(注:露国民福祉基金については近日、別にまとめます)

Aliya Zubkova氏によれば、露国民の間で投資するための基本的なオプションとしてのドルとユーロの魅力は低下し、人民元への関心のピークはまだ過ぎておらず、需要は増加傾向にあるという
(注:実際には露国民は外貨口座からの引き出しが制限されており、外貨取引が意味を失った)

人民元もリスクはある
中国経済の減速、不動産市場、比較的高い債務負担というリスクがある、とスシン氏は言います
しかし、債務負担は多くの経済大国の特徴であり、残念ながら「非常に良い」通貨があるとは言えず、リスクは大きくないと彼は結論付ける

アンドレイ・マスロフ氏は、モスクワ取引所での 1 日あたりの人民元取引高は、年末までにドルを追い越す可能性があると考えているが、中国が露市場に完全に参入するには長い時間がかかるだろうと予測している
ソ連の崩壊以来、露証券取引所でのドルのシェアは最も下落し、露経済の米国・欧州資本比率も最も低下している
「しかし、露経済は今も昔も世界システムの重要部分であり、世界の主要な準備通貨と取引通貨を完全に放棄することは経済的な自殺です」とアナリストは結論付けている

8月19日:北朝鮮の労働者がドンバス復興に参加する?

ドンバスに北朝鮮の労働者が参加することは、かなり現実的であると専門家は考えている
DNRとLNRは形式的には独立し、露に承認されているが、国連に加盟していないため、平壌との関係を持つことができるのである
同時に、北朝鮮の労働者の資質や潜在能力も高い、と専門家は言う
これは、露や中国、中東、そして2017年に制裁を受ける前の欧州諸国での長年の経験で証明されているという
専門家によれば、北朝鮮そのものは高度な工業国であり、そこの労働者は有能で統制されていると同時に、比較的安価で生活や労働条件水準は高くない
彼らは海外で安価に暮らし、北朝鮮では任命された先輩に従属する
中央アジアからの出稼ぎ労働者とは異なり、北朝鮮からの労働者はイスラム教の影響を受けていないと専門家は話す

8月19日:ルーブルは北朝鮮ウォンと同じカテゴリーになった

ほぼすべての露銀行がドルとユーロへのアクセスを失った
露銀行システムでは、ドルやユーロでのオペレーションを断ち切る「通貨のカーテン」が急速に降りてきている
露銀行協会リスク委員会のエレナ・ブキナ委員長は、「現在、ほとんどすべての露銀行が海外コルレス口座(注)へのアクセスを失い、通貨取引が不可能になっている」と金曜日に述べた
フォーラム・アナリティカル・センターで、「制裁されいている(通貨取引)と制裁されていない(通貨取引)の区別もほとんど意味を失った」と彼女は嘆いている
現在では、コルレス口座が機能している銀行は、数えるほどしか残っていない
ブキナ氏は、「銀行が制裁を受けていなくても、ほとんどの場合、すでに遊休状態になっている」と述べた(インタファクスより引用)

コルレス口座:海外送金にあたりその通貨の中継地点となる銀行の口座
露であれば露中央銀行に開設している各銀行のコルレス口座を用いて行う

この結果、露銀行が行うことのできる外国送金は、金融部門の需要を絶対的にカバーできない、と彼女は言い、露経済への圧力が強まっていると付け加えた

5月には、ティンコフ銀行などを顧客とするオーストリアのライファイゼンバンク・インターナショナルから、露銀行家にユーロ建てコルレス口座の閉鎖が通達されている

8月に入ると、露銀行には、米国からもコルレス関係解消の知らせが届き始めた
資産規模で米国最大の銀行であるJPモルガンは、ガス決済を行うガスプロムバンクとモスクワ取引所機構のみを例外として、露の顧客にコルレス口座サービスの終了を通告した

9月1日からコルレス口座が閉鎖される中小銀行と大手銀行の両方が影響を受ける

JPモルガンに続いて、シティバンクも露の同業者に対するドル・オペレーションの実施を拒否した
凍結されていないコルレス口座は、プーチンの法令で、露から出国を禁じられた外国銀行の子会社(ライファイゼンバンク、ウニクレディト)に残っているだけである
露経済と世界経済をつなぐ糸がすべて切れたわけではないが、ドルやユーロは徐々に消えていくだろう、とPSBのアナリスト、イェゴル・ジルニコフは言う
従来の世界通貨に代り、モスクワ取引所での取引高が年初の50倍以上になった中国人民元との付き合い方を学ばなければならないだろう

6月18日(木)人民元の取引量が一時的にドル額を上回った(決済「明日」のペアで)
エクスポバンク財務部長エルンスト・ベッカー氏はこの傾向は続くと考えている
「年末までには、人民元取引の回転が一段と高まるだろう」
2023年初めには、露市場において中国通貨の支配的地位が固定化されると予想される

SWIFTによると、7月の人民元オフショア市場では露は三番目で、シェアは3.9%だった
これは、人民元取引に占める割合が0.62%に過ぎなかった4月と比較すると、約4倍にもなっている
GPBプライベートバンキングのマネージングディレクターであるエゴール・スーシンは、「露市場にとってドルとユーロが有害であることを考えると、人民元とルーブルは近いうちに我々の市場の主要取引ペアになる可能性がある」と同意している

8月22日:軍需産業の崩壊

「地政学的大崩壊」 露の武器売却が6分の1に激減
露国防省によると、8月15日から21日までモスクワで開催され、72カ国からの代表団を受け入れた露軍需産業展示会「Army-2022フォーラム」は、失敗に終わった
プーチンが自ら、同盟国に「最新鋭モデル」を宣伝したにもかかわらず、ロソボロネクスポート(露製兵器の海外販売代理店)«Рособоронэкспортом» の締結した海外契約の量は6分の1に減少した

ロソボロネクスポート:露軍需産業の元締め企業である国営企業ロステック«Ростех»傘下の海外販売営業窓口企業

https://en.wikipedia.org/wiki/Rosoboronexpor

RIA Novostiによると、露国防省がフォーラムで契約できたのは3億9000万ドル相当の契約2件のみだという
1年前の同フォーラムでは、20億ユーロに相当する、20件の契約が結ばれた
ウィルソン・センター米国代表で元大使のマーク・グリーンは、ウクライナでの露の武器の活躍が世界で知られたことで需要が減少していると指摘する
「原始的な爆弾がビルを吹き飛ばすのを見て、どの国も『そうだ、これが必要だ』と言うとは思えない」

さらに、武器生産そのものが崩壊寸前である
制裁によって露メーカーは輸入部品から切り離され、さまざまな種類の武器に少なくとも450個の部品が必要であることが、Royal United Services Institutеの専門家の調べでわかっている
ウクライナで鹵獲された無人偵察機「オーラン10」やT-90戦車など27種類の兵器を調査し、海外メーカーの部品数百点が代替不可能であると結論付けている

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、過去5年間で26%のシェアを失った
とはいえ、依然として露は世界第2位の武器輸出国である
主要な買い手は、インド、中国、エジプト、アルジェリアである
これらの国には、露の軍事物資の73%が供給されている
また、イラクとベトナムの武器輸入の半分以上は露連邦からのものである

制裁と装備の損失により、露の武器輸出は減少を続け、モスクワは今後数年で武器輸出額第3位に後退する可能性があると、SIPRIのシム・ワイズマン上級研究員は予測している
見込み客たちは、露が義務を果たせないことを懸念している
「(見込み客たちは)軍事予算も、経済全体も、それほど大きくないからだ」
米国情報機関は、ロソボロネクスポートがアフリカ諸国との契約を履行できなくなると考えている
この戦争で、数百台の戦車と黒海艦隊の戦闘機の半分を失い、ドローンと大砲の備蓄を「焼き尽くす」状態が続いているからだ
「装備品を失っている速度を考えると、供給が追い付かないことが予想できる」と上級情報筋は語っている
新米国安全保障センターのサミュエル・ベンデット上級研究員によれば、主要顧客の契約破棄は、クレムリンにとって「地政学的災害」であるという
だから、露軍に必要な兵器であって、アルジェリア、ベトナム、インドへの輸出を中止できないのだ
参考:

8月30日:ロシア経済失速の深刻度

過去20年間、露経済を襲った経済危機の露GDPの四半期ごとの変化をグラフィック化
- 赤線は、現在の危機
- 紫線はコロナウイルス(深かったが、短かった )
- 緑線は2014年制裁(浅かった)
- 青線は2008年世界金融危機(ゆっくり長かった)

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