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ロシア経済(7月28日)-ルーブルの本当の価値

(4,242 文字)

7月28日 ルーブルの本当の価値

ドルが必要なんだって? 露で闇通貨市場が復活した
露内の為替相場は、戦争が始まって間もなく、ドルやユーロの現金売却禁止、国外への資金持ち出し制限、制裁などで、中央銀行の公式数字は現実と乖離し、意味を失った

その結果、30年前と同じように、地下通貨取引所や露内口座からお金を持ち出す仕組みが盛んに行われるようになっている(ただし、現在は市場や駅ではなくSNSで)
現在、為替市場はどのように機能しているのか、また、現在も海外送金が可能なサービスは何か、本誌は調査した

人為的為替レート

ウクライナ戦争開始後、露におけるドルとユーロの公定歩合は歴史的な高値を突破し、その後、ルーブルは2017年の水準まで急に強くなった
(ドルは56.3ルーブル、ユーロは53.86ルーブルと、2014年10月と同等の安さになった)
7月19日の取引開始時、1ドルは56ルーブルを下回っている
このような為替レートは、露政府によって人為的に通貨需要が制限されたせいであり、市場レートと言えるようなものではない
例えば、まず、2月には中央銀行がモスクワ取引所での為替取引を数週間停止し、3月には外貨口座から1万ドル以上の引き出しを禁止した
(残りは現在の低為替レートでルーブルに換金するしかない)
同時に、露の大手銀行は制裁を受け、SWIFTシステムから切り離され、露人が新たな海外口座を開設することは事実上不可能になった

実際、数日のうちに、露国内で流通するドルやユーロはほぼすべて無くなった
4月18日、露中央銀行はドルの売却を解禁したが、すべての銀行に恩恵があったわけではない
3月9日以降に銀行窓口で受け取った外貨に限り、売却することができたからだ
その結果、同日夕方にはスベルバンクのほとんどの支店でドルは無くなった
同時に、旅慣れた人によると、外国で両替することが困難な、古い紙幣を渡されたことも多かったという
他の多くの銀行では、外貨をまったく発行しなかった
例えば、ライファイゼンバンクは次のように回答している
「露中央銀行が出した規則は、現金通貨を売る権利を与えているが、銀行に外貨販売を義務付けてはいない
現在、ルーブルへの両替業務のみを行っています」

アルファ銀行の大部分の支店では、外貨は販売されておらず、3月9日以前に購入した外貨口座のドルをルーブルに現金化することだけが許可されている
現在、モスクワの両替所で少しだけ外貨を購入することが可能です
どこでもというわけではない
そして、公式レートとは大きく異なる
少なくとも10~15ルーブルは差がある
外貨は引き出しもできないし、ユーロ債や外国株などの資産も買えない、どこにも持ち出せない

しかし、4月から6月にかけて、露の銀行は4000億ルーブル相当の外貨購入を続けた
これは過去4年間で最高額だった
露中央銀行は7月の「金融市場リスクの概要」という報告書でそのように述べている
また、同報告書から、露人は3月以降に購入した外貨を引き出すことができないため、そのほとんどを口座に残していることがわかっている

ルーブルの需要を喚起し、人為的にルーブル高に誘導した第二の要因は、財務省が輸出企業に収入外貨の8割を売却するよう要求し、強制的に外貨を買い戻したせいでもある
5月にはこの割合は50%に引き下げられ、7月にはプーチン大統領によって突然廃止された
現在、ミシュスティン首相政府の外資規制委員会が、市場で売却される株式の量を見て判断することになっている
しかし、これまでのところ、新たな制限は設けられていない

ルーブル高を利用して証券取引所で安く外貨を買っても、銀行から直接引き出せないため、国民の外貨建て口座にはお金がたまっている
このような口座に対し、夏の初めから手数料を課すことを銀行は決定した
7月20日までに、Raiffeisenbank、Rosbank、Tinkoff、Gazprombank、Uralibで手数料が導入された
例えば、ティンコフでは、外貨建て口座(顧客の残高が1万米ドル、ユーロ、ポンド、スイスフラン以上の場合)に対して年率12%のサービス手数料を導入している
イズベスチア誌によれば、PSB、ロスバンク、オトクリティエ、ティンコフ、そして7月からはVTBで、ドルやユーロでの預金や貯蓄ができなくなったそうだ
タス通信によれば、既存の外貨建て口座に手数料を課すことは違法である

外貨交換する方法1

方法1:クリプト(暗号通貨)・フェデレーション・タワーとクリプト(暗号通貨)・ハワラ

いつものように、闇市場が救いの手を差し伸べてくれる
最も早く反応したのは、モスクワに拠点を置く大手暗号通貨取引所だった
彼らは以前から、暗号通貨をルーブルやドルと交換し、海外に持ち出す怪しげな取引をしていた
今回、新たに両替サービスを始めた
ほとんどすべての外国のSNSがブロックされた後、Telegramは外貨交換の主要な宣伝と取引のプラットフォームとなっている
例えば、CentralExchangeは、約100万人の加入者を持つチャンネルを買収し、フェデレーションタワーで両替サービスを提供している
そのチャンネルは、3月26日までは暗号通貨取引所のニュースのみを掲載するチャンネルだったが、買収後、CentralExchangeと改名した

4月4日以降の最低換金額は25,000ドルで、為替レートは露中央銀行の為替レートに近い
取引について問い合わせると、「レジでルーブルを渡し、…他の階のレジで受け取る」
とチャンネル運営者は約束した

この方法で400万ルーブルを外貨に換えることができると説明する
さらに、ティンコフのドル口座預金を18%の手数料で現金化することも提案された
(人々はだまされることを恐れたり、闇市場を利用したくないため、モスクワの両替所は評判が悪い
その結果、一部の外貨の売り手や買い手は、一般市場では取引が行われていないことを強調する)

交換業者たちは、暗号通貨とイスラム教のハワラ制度で海外に資金を移動させるという
世界のある場所の仲介者に現金を渡すと、数時間後に世界の別の場所にいる人がそれを受け取ることができる
ハワラ制度は、近代的な銀行システムが出現する何世紀も前から中東に存在し、利便性と信頼性、そして違法に入手した金銭の取引のために、今日も存在し続けている
現在、イスラム文字を用いたTelegramのチャンネルやチャットルームがいくつか存在しており、取引や送金にスラブ系の名を持つ人々が多く関わっている

自由貿易区に登録されたペーパー会社を通じ、イラン企業とは正式には関係のない企業に支払われる
数十万ドルという金額でも、ハワラ制度は問題ない
イランとの間の送金手数料は1~1.5%程度だ
UAEやトルコの銀行にあるイラン輸入業者の商品代金支払い口座を利用するのだ
露では、生鮮輸入品や中国製品サプライヤーは、長年全く同じスキームを使ってきた
モスクワ最大の市場であるサドヴォドやフードシティでも交換業者が活躍している
同様の仕組みは、個人間送金にも導入され始めている
コールド・クリプトパース(暗号通貨ウォレット)を通じ、世界のどの国へも送金し、提携する両替所で現金化することができる
取引手数料は4%~である

外貨交換する方法2

第二の方法:90年代への回帰

この状況は、銀行や両替所に外貨があるとは限らず、為替レートが常に変動し、市場や駅で個人が両替していた旧ソ連時代、90年代を思い起こさせる
ハードカレンシー、つまり自由に兌換できる通貨に対し、オリジナルな為替レートを提示する方法

21世紀になって、まだ比較的自由なこの市場はTelegramに移った
戦争初期の数週間は、暗号通貨と現金の両方で、さまざまな通貨を売買できるチャットルームが大量に存在していた
暗号通貨を知らなかった人たちも、暗号通貨で海外にお金を持ち出すようになったのだ
夏には、現金交換チャットルームの稼働数は数十に達し、金額を自動計算し、顧客が指定した住所に現金を持った宅配便を送るという、専用両替ボットも登場した

3月中旬、両替業者の一人が、ゼレノグラードのある地下両替所で、200万ルーブル相当のユーロを137ルーブルのレートで買わないかと本誌調査員に持ち掛けてきた
(表の為替相場では1ユーロ=60ルーブル前後)

彼の説明では、両替所は質屋と同じビルにあるらしい
交換は、本物のレジ、計数機、紙幣検知器などを備えた密閉されたブースで行われると約束された
同時に、「取引の間、警察は来ない」と保証された
また、別の業者からは、300万ルーブル分のドルを126ルーブルで買わないかという申し出もあった(表の為替相場では1ドル=60ルーブル前後)

銀行の支店の小切手を使うつもりだったが、売り手が会議のためにモスクワ市内に移動するので、朝早く来てくれと言われた

また、通貨の売買を成立させる「私的交換」のためのチャットルームもある
最大規模のチャットルームでは、数万人の会員がいる
そこでは、露のさまざまな都市からの参加者が、通貨の売り買いを申し出ている

人々がドルやユーロを売り買いする際のレートは常に変化し、だいたい公定為替レートと一致しない
ルーブルが必要で貯蓄から通貨を売っている人もいれば、ドルやユーロを買ってインフレからルーブル収入を補おうとしている人もいる
ほとんどの宣伝は一般の人が書いたものだ
例えば、500ドルずつ入札していた数人は、本誌の質問に対して、ルーブルが緊急に必要で、銀行の為替レートではとても割に合わないのだと回答している
また、闇市で数千ドルを緊急に購入していた男性は、中国のサプライヤーから機器を買い取るために必要なのだと説明した
それまでは気楽にルーブルで支払えたのに、3月に入ってから、取引相手はユーロでしか支払いを認めてくれなくなったと言う人もいた

本誌の計算では、3月末までは、外貨の売却と購入の広告はほぼ同数だった
しかし、5月になると、ドルやユーロの売却広告はほとんどチャットルームでしか出なくなり、一般向けの購入依頼は少なくなった
現在、チャットルームには数万ルーブル以上を交換する人が多く参加しているが、500ルーブルといった少額交換を希望する売り手もいる
また、露の主要都市からウクライナ・フリブニャのオファーが表示されるようになった
(注:ウクライナで略奪されたものではないだろうか…)

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