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6月、ベラルーシ(2)

(4,081 文字)

-戦争に突入して、死体の入った棺桶が戻ってきてどうなったんですか?

ベラルーシ人は棺桶を見ました
「ウクライナの解放」から戻ってきた、ロシア軍の装備から何から、あらゆるものの洗浄をさせられたのはベラルーシ人です
彼らは衝撃を受けたのです

ベラルーシ軍は実はロシア人の葬儀部隊だったので、死体安置所の散乱したロシア兵の死体と、何千人もの手傷を負った「非ナチ化兵士たち」をその目で見たのです
確かに、ベラルーシ人だけでなく世界中が、ウクライナでの今起きている、予期せぬ出来事に凍りついています
当初の、ロシア人達とプーチンは狂ったような行い(比較的少ない兵力で7~8方向に攻撃)と今の非常に困難な状況に驚いています
(2022年6月時点)ロシア軍がドンバスに集中してからは、特に大砲と長距離ミサイルでは優位ですが

プーチンがウクライナで敗北すれば、それが一気にベラルーシの情勢に影響することは明らかです
間違いないでしょう
しかし、ウクライナ指導部が、プーチンを倒すためには、その同盟者であるルカシェンコを無力化する必要があると判断することも起こりうることです
ウクライナには、侵略者の共犯者となったベラルーシの独裁政権と戦う理由があります
さらに、ベラルーシの領土からさらに挑発があったり、新しい戦線を開こうとする動きがあれば、それに対応し、ルカシェンコシストの軍隊と本気で戦うことだってウクライナにはできるのです

これはベラルーシの状況に直接影響します
大多数の国民が騙され、一般にプーチンの帝国主義的な考えを支持しているロシアとは、ベラルーシは違います
大多数の国民はルカシェンコを嫌い、ロシアの一部になることを望んでおらず、ひたすら、政権への反撃の機会を待っているのです

そして、ユーリ・フェルシチンスキーは、ロシアがベラルーシに核兵器を持ち込もうとするなら、NATOには直接介入する権利があるとさえ言ってます
我が国の領土にあるイスカンダルは、最大500kmの距離を飛び、核弾頭を搭載できるからです
フェルシチンスキーは、NATOはベラルーシへの核兵器配備阻止にあらゆる手段を尽くすだろうと言います
だから、ベラルーシの人々の蜂起を支援するために、そしておそらく、プーチンやルカシェンコ政権の侵略を阻止するために、ウクライナの有志や他のNATO諸国の有志とともに、ベラルーシの有志がベラルーシ入りするという状況が起こるかもしれないという予測を、繰り返し、私は表明するのです

-ウクライナではベラルーシの解放を求める声があったが、残念ながらそれほど多くありませんでした
ウクライナにおける、ベラルーシ解放への支持は、いつ主流になるでしょうか?

主流にはならないでしょう
ウクライナでは、少数の人々がそれを決定するのであり、実際には、ウクライナ内で軍事的、政治的な指導力を発揮している人々と同じ人々が決定します
これは別の話になりますが、ベラルーシの民主化運動が支援を得られず放置されれば、「北のバルコニー」からキーウが攻撃される可能性があると、ベラルーシ野党政治家たちはウクライナにずっと警告していました
私(実際には私だけではありませんが)は、ウクライナのメディアで、アナリスト、専門家、ウクライナの政治家との対談で、このことを話しました
ウクライナ人の返事は「ありえない」「ルカシェンコは『お父さん』だ」「ウクライナ人はルカシェンコが好きだ」「ルカシェンコはウクライナにガソリンをくれて、絶対に攻撃しないと約束してくれた」でした

ヘルソンの陥落や、クリミア方面から容易に侵攻できたことについて、「フィードバック」があるだろうと彼らは言っています
きっと、包囲されそうになったキーウについても同様な「フィードバック」がされるでしょう
結局、ウクライナにとって、政治と軍事の中枢のある首都に対する北からの侵略の危険は、ヘルソンより非常にリスクのあるものでした
それでも、決断はウクライナの指導部次第です
ウクライナ軍も欧州太平洋の同盟国もベラルーシの戦略的地位について十分に理解しています

-ウクライナで戦っている、カリヌスキ連隊(ベラルーシ義勇軍)のお話がありました

連隊の実力はどれくらいのものなのでしょう、今、彼らに必要な支援は何でしょうか?

https://kalinouski.org/en/

ベラルーシ連隊の創設者の一人であるカバンチュク(Vadzim Kabanchuk)とは、第一次「自由行進」や、ズブル運動、クライ(愛国政治団体)創設時代からの長い付き合いです

第一次「自由行進」:1999年に行われた民主化のための抗議活動。

ズブル運動:2000年の学生運動

ウクライナで最初の戦争が始まってから、ベラルーシ人の軍隊を作る必要性について、私たちは話し合いました
最初から何百人ものベラルーシ人が義勇兵大隊で戦い、その後、ウクライナ軍の正規部隊に編入されました

ウクライナの指導者は、率直に言えば、ベラルーシ人だけの部隊を作りたくなかったのです
ウクライナとルカシェンコ政権との交渉は続いており、ルカシェンコがウクライナ側にベラルーシ人部隊が創設されることを望んでいなかったのです
ウクライナだけではありませんでした
他の国々の政府も、民主化団体の活動やベラルーシのメディアの移動を、ルカシェンコ政権との取引のために妨害しました
そういうことがあったのです

かつて、カバンチュクに『ピウスツキ』の本を譲りました
その本は、後にポーランド国家の指導者となるピウスツキが、将来の独立したポーランド軍の基礎を作るために、プロイセンやオーストリア、ハンガリー、ロシアのガリシアなどの各地に住むポーランド人を訓練し、さまざまなレベルの将校を養成したことを記した本です
第一次世界大戦では、ポーランド軍団は数百人規模でオーストリア=ハンガリー陣営で戦いました
その後、軍団員の多くは、新興国ポーランドの有力な軍事指導者となったのです
カバンチュクと私は、これがベラルーシの手本になるのではないかと話し合ったのです

ヨゼフ・ピウスツキ:ポーランド第二共和国(1918~1939)の建国の父。

現在、ベラルーシの志願兵は戦闘経験を積むだけでなく、ベラルーシの愛国者の連隊を形成できています
我々には意志とエネルギー、そして組織力があるのです
彼らはこれを達成できているのです
ベラルーシ内外にいる我々は、戦闘員が靴を履き、服を着て、武器を持ち、軍備を整えるように、あらゆる手を尽くさなければなりません
カリノウスキー連隊が真の軍隊となるよう、あらゆることをしなければなりません

そして、ウクライナの指導者たちに、ベラルーシ人志願兵の任務は、困難な瞬間にウクライナの生存を助けるだけでなく、何十年もウクライナ国家と同盟者となる軍隊なのだと理解させることなのです
これは百年に一度、いや数百年に一度の特別な歴史的瞬間です
ウクライナとポーランド、ウクライナとリトアニアの間で新たな絶対的な協力関係が構築されたのを私たちは目にしました
そして、民主的なベラルーシと、英国も参加するような、新しい連合を作る必要性について誰もが話しているのです
これは、欧州全体のパワーバランスを変えることになります
ウクライナの指導者たちが直面しているあらゆる困難とありえない量の日々の業務を分かったうえで、私たちはウクライナの軍人や政治家たちの知恵が頼りです
まだ、一方向だけを狙いを絞り、ウクライナ北部からの脅威がなくなったと考えることはできないとウクライナの指導者たちに理解してもらいたい
ベラルーシに関しても、思慮深く、明確な行動をとる必要があるのです

-今、世界中が、この戦争でプーチンが敗北し、彼の政権が敗北し、帝国が崩壊する可能性について話しています

それに伴い、ルカシェンコ政権も全く成り立たなくなります
全てが自壊するまで待った方がいいのでしょうか、それとも何かできることがあるのでしょうか?

今日、この状況でも観客に甘んじるベラルーシ人は、明日になっても観客のままでしょう
そういう人はもはや、どんな脅威にも反応しないのです
一部の狂った豪農が、誰とも相談せずに戦争を起こし、侵略に加担し、ベラルーシの軍人も一般市民も命を危険にさらしたのです
もう手遅れなのです
早く大人にならなければならないのです
ベラルーシ人はソ連時代にとても貧しい生活を送っていたので、半市場経済でも、ベラルーシ人は起業家としての資質や商業、知的能力を発揮する機会を得ることができました
人々は車があること、携帯電話があること、パソコンがあること、トルコに行けること、それだけで満足していました

しかし、質問があります
もし、間違った色の靴下を履くだけで刑務所行きになるなんて、一体、あなたはどんな国で生きてるのだろう?

注:2021年3月25日、「白い靴下」を履いて抗議活動をしたことで27歳の女性が拘束され、15日間の拘留刑を宣告されている。

そこは誰かの植民地であり、先進国ではない何かです
私たちは、自分たちの国を作らなければならない
しかし、自分の国を作るには努力が必要であり、エネルギーを注ぎ、成し遂げなければいけないことがあるのです

まずウクライナや近隣諸国で起こることに対応しなければいけません
生きる意志、ベラルーシという国家を維持し、ゼロから新しい民主的なベラルーシ国家を建設する意志を示さなければ、取り残される危険性があります
その時、ベラルーシはロシアや他の国々に分割され、ベラルーシが存在しなくなるかもしれません
それもあり得る話なのです
傍観者であってはならないのです
神は、欧州の中心に位置する美しい国を私たちに与えてくださったのです
私たちは、子供たちや孫たちのために、自由で強いベラルーシを守らなければならないのです

見てください
エストニア人は約百万人ですが、彼らはプレーヤーであり、NATOのメンバーであり、EUのメンバーであり、世界標準を満たす先進的な経済を作り上げています
私たちにも同じことができるはずなのです
(終わり)

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