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豆腐メンタルが一番頑丈説

私の人生の大半は病院に通って成り立っている。初めて精神科を訪れたのは小学生だった。明朝体で書かれた精神科のプレートが天井からぶら下がっているのを見て、私、精神科に来るような感じなの?と驚いたのを覚えている。戸惑いすぎて母に病院って精神科だったの?と質問する事も出来なかった。
ちなみに当時は摂食障害を患っていた。入院したり医師に匙を投げられ余命宣告を受けたり。結果自主退院して家のごはん美味しいわ〜とすくすく体重も戻り、途中心不全を起こすことなく体は健康そのものになった。中学に上がってすぐに入院したし、最初の数日でこの場所私無理だ、と思っていたのでそのまま3年間不登校を貫いた。当時熱血タイプの担任を鬱にしたことは未だに申し訳なく思っている。
私が長い間精神科に通って、未だ治らないことに対してやぶ医者なのか、とか治す気ないのか、とか言われたりもする。今まで病院は転々としてきたし、中にはやぶ医者だっていたし、普通に人として反りが合わない医者もいた。
そして、私はずっとうつ病と解離だと診断されてきた。それが違うと気づいてくれ、減薬に尽力してくれた医師に出会ったことでずいぶんと私の生活は改善された。真逆の効果を出して悪化させる抗うつ薬を長年治療で飲んできたので、その分これから長くなるのは仕方ない。セカンドオピニオンと言わず、色々な病院で自分に合っている信頼出来る医師を探すのは大事だと思う。

SNSで病んだ人間らしい発言はしたくないし、別に今も、もぅマヂ無理。みたいな感覚は持ち合わせていない。最近は全てに穏やかに向き合い色々な人に相談されたり愚痴をきいてくれと頼まれる。なんなら
主治医の悩み相談もたまにしている。皆人間だもの。色々ある。ええんやで、とのんびり暮らしているし、そもそも私人間向いてなかったんだよな、って気づいてから人間って大変だね、私には分からないや、的な俗世を捨てたような気持ちで過ごしている。
いつ死んでもいいし、死なないなら生きてくだけだよなー、と思っている。
そんな私を離れて暮らしている家族はまだ知らないらしく、何か些細なことでパニックを起こして暴れたり、リスカやODで迷惑かけたり、自分本位で聞くに耐えないことを喚きイラつかせるのだと思われている。こんなに凪のような気持ちで生きていることを受け入れてもらえない。家族の中の私は迷惑極まりない厄介なメンヘラのままらしい。

母に癌が見つかった。めんどくさくなる前に教えとく、母には連絡するな、と弟からLINEが来たのが数日前。弟の中ではなんで!なんで!そんなの、私が先に死んでやるー!と母にヒステリックに連絡する私しか想像出来ない様だ。とため息がでた。先月会った時の母は元気だったのにな、やっぱり癌って進行が早いな、と父の時を思い出していた。1ヶ月会わない間に別人のように骨と皮だけになっていた父。救急車で運ばれそのまま入院し、もう緩和ケアしか出来ない余命2ヶ月と言われた。急いで駆けつけたけど病室を間違えたと焦るぐらい父の面影すらない管だらけの人。それがつい先月会ったお父さんだった。
こんなにも感情が追いつかない、状況が理解できない時、人は無になるんだな……と思った。仕事はどうだ、とか私を心配しているのは本当に私の父親なのか?とつい疑念を抱いてしまう。そしていつも通り私はヘラヘラと適当に頷く。私は父との関わり方が分からなくなって久しかったので、この人、お父さんらしいけど、話すことが何も無い……と思いながらの面会だった。
わりとややこしい家族の事情や人生を送ってきたので、この話は身内にしても理解されないと思う。
そして検査入院の前に少し会った母のしんどそうな姿はずいぶん久しぶりに見るひどさだった。例えるなら母がキッチンドリンカーで食事をしなくなった頃に似ていた。この例えも身内にも伝わらないな……。
私に遺言めいたLINEを送ってくる母と、私をあまり関わらせたくない弟に挟まれ、どうしろってんだい。と思っている。ちなみに弟たちはかなり参っていてごはんもあまり食べていないらしい。私は大好きなイチジクを買っておいしく食べている。薄情だと言われても当然だろうけど。
私は母が大好きだ。母が助かるなら身代わりになれるし、弟の代わりにもなれる。家族が大好きだし、私は家族だけが大事。それぐらい私の愛は重い。愛って言葉じゃ軽く聞こえるな、と思うぐらいにかなり重い。毎日母がいる病院の前まで行って入れないので帰ってくる、を繰り返している。
こんなに自分が冷静なのは私が世界に何も期待していないからなのか。私に出来ることをひとつずつやって行くしかない。それだけだ。今までこの世界が何かしてくれた事なんてないし、世界は優しくもない。だから私が優しくないと家族に優しさは何もない世界になってしまう。この世界が心底嫌いな私は期待したりしない。私は世界を利用することはあれど、自分の大切な人は自分で愛して守る。これからなんだよ。

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