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インクルーシブビューティーについて考える

母が手足に不自由を感じるようになった。

私もこれまで考えたことのなかった介護について、急に向き合うようになる。

親の年齢的にもまだまだ先の話だと思って、自分にはあまり関係のない話だと正直思っていた。


手先が少し思うように動かなくなり、日常生活での不自由もある。

だけれど今回私が気にかけているのは、メイクをするということ。



少しずつ出来ることが減り、自信も自己肯定感もほぼゼロの状態の母。

メイクは特におしゃれに敏感だった母にとって、不安感や喪失感を緩和するとても素敵な時間だとも思う。

やはり女性にとってメイクをすることは自分の気分を左右するスイッチ。

"しない"のと"出来ない"のは全然違う。

したいのに出来ないのはやっぱり見ていても辛いものなのだ。


インクルーシブビューティーとは、障害や不自由があっても使いやすく設計されたコスメのこと。

メイクは食事や入浴、歩行などと比べれば特に必須なものではない。

だけれど自分で気分の上がるメイクを施すことが出来る、という体験は出来うる限り続けさせてあげたいと思う娘心である。


海外では一足先にインクルーシブなコスメが増えているようだけれど、日本ではまだあまり認知されていない。

しかし調べてみると、SHISEIDOからUNIVERSAL BEAUTY DESIGNとして、全ての人にとってストレスなく使えるコスメデザインというものが出ているようだった。

こういうことって、調べないと気付けない。

SHISEIDOさん、ありがとう。


SHISEIDOのプリオールは主にシニア世代向けのコスメブランド。

ワンタッチで開閉できるジャー容器、開けやすく転がりにくいキャップなど、ノンストレス設計でデザインされています。

出典:SHISEIDO CREATIVE


美白乳液や口紅など、軽い力で開けられるように多角形に設計されているものが多いらしい。

これまでなんとなく、中身の成分でブランドの年代を分けているだけだと思っていた。

大人でも若い人向けのものを使うこともあるし。


ただ、ちゃんとシニア向けのコスメブランドにはそれなりの工夫が施されていて、そこに気付く人はあまりいないのかもしれないけれどすごく大切なことだなと感じた。


企業努力って見えないところに詰まっているんだなあ。

当事者になって感謝の気持ちでいっぱい。

これからも母が自分で出来ることがなるべく減らないように、楽しみがもっと増えていくようにサポートしていきたい。


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