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【マンガ業界Newsまとめ】 小学館・集英社Webtoon専門部署設立、スタジオ設立数も凄いことに!?|4/10-047

マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。

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スマホ向け縦読み漫画に本格参入 集英社と小学館が専門部署

ついにと申しますか、神保町の一ツ橋グループの本丸2巨頭、小学館・集英社からWebtoon参入記事が出ました。具体的な作品や組織の説明はありませんが、敢えて2社まとめてスタートしますよという記事で、巨艦がしずしずと出港準備しているような、満を持した感じがしますね。

ちなみに、両社ともWebtoonを作ったことがないわけではなく、集英社ジャンプ+では話題となった『タテの国』や漫画賞開催、マンガMeeでは『サレタガワのブルー』が映像化されるまでのヒット。小学館でも、中国のヒット作品『ホーンテッドホテル鬼南亭』を日本語訳して販売など、取組そのものは既に複数行われています。

今回は、「専門部署が発足した」というニュースですね。この記事の書き方だと、リリースなどで積極的に発表したというよりは、共同通信の取材の結果出てきた情報とも取れますね。

ウェブトゥーン業界カオスマップ2022年3月更新版

先週わたし個人がジョインを報告したコミチ社の記事ですので手前味噌ですが、年始に出した2021年版のWebtoonマップを更新した四半期経って更新したものになります。概観は以下のような感じです。

https://note.com/daisakku/n/n4241dab84de3

パッと見からして、スタジオが物凄く増えておりますね。このNewsまとめnoteでもはかったように毎週リリース記事を紹介しておりますしね。普通こうしたものは1年おきくらいに更新するものですが、四半期で変化の流れというか物量に我慢ができなくなり、更新した形です。

内容的に間違いがあったりした場合はお知らせください。「ロゴが古い」「こちらの正しいデータを」などとご連絡をいただき、対応をしております。さすがに量が多すぎて、アップデートが大変になっており、すべてをしっかり把握するのは難しくなってきております。


小学館と集英社とFringe、マンガコマを使って広告を配信できる「アテレコ広告」の提供を開始

小学館と集英社の作品を、マンガ広告として「アテレコ」、つまり吹き出しを書き換えるなどして使用できるというものですね。講談社では先行して「AD STATION」という同様の取組がなされていますが、この小集版ですね。

これについては、各社の頑張りもあるのですが、漫画家さんがそうした使用を許諾するかどうかということが重要かと思います。この取り組みが広く進むことによって、マンガと日本社会の融合はより進むと思われます。

むずかしいことも多いと思いますが、できる限り多くの作家さんに許諾いただければよいですね。


同人ショップ「とらのあな」、2021年度上半期決算のご報告

同人ショップの老舗、虎の穴より「上半期の「同人流通事業+WEBプラットフォーム事業」の流通総額が、過去最高を更新」というリリースが出たということです。これは実は、いわゆる同人誌市場がデジタルシフトやコロナ禍においてどう変遷してきているかということを端的に示しているのでご紹介です。

まず、「同人流通事業」とは端的にいうと通販・ECです。コロナ禍で多くの同人誌即売会の開催が中止となり、売る場そのものがなくなっていく中で、ECは紙の同人誌流通において物理的な代替として大きな役割を果たし伸びました。Web即売会の開催や、コミティア、コミケと徐々に開催が戻ってきたのも良かったかと思います。〆切りあっての創作活動ですしね。

次に「WEBプラットフォーム事業」とは、fantiaなどのファンクラブ事業です。同人活動をしている方へのサブスクですね。これが半期で55億円というのですから、非常に大きな存在感を持っています。

虎の穴は、一時期30近くあった店舗が、近年1/3以下に縮小しています。一方で、EC/サブスク事業が伸びて事業としては店舗の代わりとなる規模まで成長しています。これは虎の穴の事業としてもDXが果たされている証左なのですが、同時に同人市場、ひいては同人誌作家の行動も変化していることを示していると思います。

DLSiteやFANZA同人など、いわゆるデジタル同人作品の販売は、古くは店舗、新しくはサブスクなどとは別の文脈として伸びていますが、紙の同人誌を長い間扱ってきた虎の穴が、単純にデジタル同人にシフトせず、一つ飛んでfantiaのようなファンクラブ・サブスク事業にシフトしたのは興味深いです。「紙の同人誌」は「ファンクラブ」と近かったのか、単なるタイミングの問題だったのか。

いずれにせよ、同人の世界は仕組みと言い、背負う業と言い、奥の深いものだと思います。


カヤックアキバスタジオがWebtoon事業に参入

今週のWebtoon新規参入としてもうひとつ目立ったのがカヤックです。
今回は、ゲーム制作やCG制作の請負などをする「カヤックアキバスタジオ」が中心となってWebtoonに進出するようです。

同時に東京証券市場ではカヤックの株価が上がったとか。「Webtoon」進出のニュースは、株価にもダイレクトで影響するインパクトを持ちうるニュースとなっているようです。

しかし、このWebtoon制作のプロセスマップを図にして出すのは、Webtoon系の会社さん皆さん特有の文化ですね。普通のマンガ制作だとあまりなかったものでした。

まぁ実際、打合せの現場などでは、この図が確かに役に立ったりするシーンは自分でも経験していたりします。だいたいみんな「漫画とどう違うか」という、まずマンガがあってWebtoonが新しいものとしてあるという前提で世界観を作ってるような気がします。


海外News

著作権の国際的なルールと言いますと、1886年に定められたベルヌ条約というものがありまして、現在の「著作権」という考え方の原型のようなものを国際的な合意形成していき、改正されながら使われてきました。

一方で、この海賊版対策については、摘発や刑事罰など、より実務的な対応が迫られるため、こうした動きにつながったようです。クラウドフレア社をめぐる、海賊版サイトと国内出版社の攻防などは記憶に新しいですね。ABJやCODAなど、日本でこうした取組に長く携わってきた団体が関わっているようです。

国際的な著作権違反というと、マンガ以上に動画分野のほうが規模が大きかったり、音楽でも様々な取り組みがなされています。是非様々な業界とも連絡を取り合いながら進めていただければと思います。


先日、創業者のキム・ボンス氏がグループ統括から子会社のピッコマの事業に注力すると宣言したばかりですが、ここでは海外売上30%引き上げを謡っています。米国ASEANを中心に150億円以上投資するようです。


コミックフェスタなどを運営し、先日studio73というWebtoonレーベル立上げをリリースした株式会社ウェイブが、海外向けのコミックプラットフォームの立上げをリリースしています。

先行して、Coolmicという漫画配信のWebサービスを英語圏向けに開始しており、それとも連携をはかっていくイメージでしょうか。アプリ名のMangaponですが、最近競走馬としても話題の「オニャンコポン」の影響を受けてるんでしょうか。


国内News

ちょうど、今回のnoteのトップにもある記事を引用して、既存漫画の横白黒マンガを、縦カラーのWebtoonに作り変えるとどうなるかという考察です。

既に事例としても『鋼の錬金術師』やアメコミの『Black widow』などいくつかあったり、実務的にもトーン外しや目線誘導の問題など、いろんな問題がありますということのようです。

個人的には、作品によっての向き不向きがあるでしょうしそこの目利き、および既存の漫画は、Webtoonに対しては「原作」として提供される(要は作り変える)ことが当面は重要だろうなと思っています。


カカオピッコマ社が制作スタジオのDEF STUDIO社に出資ということで、同社がピッコマの中で作品提供を行っていくことが積極化していくであろう記事です。

注目するところとしては、DEF STUDIOはもともと双葉社とエブリスタ社の合弁としてできた会社で、のちに双葉社100%となるも、今回ピッコマが共同出資に名乗り出たということです。つまり、双葉社のWebtoonスタジオにピッコマ向けに積極的に作品提供を行っていくということだと思います。

Webtoonのスタジオ制作は資金がかかるので、こうした動きもあるのでしょう。


カカオピッコマ社による暗号資産、ブロックチェーン技術を持った企業の買収です。先日発表されたピッコバスという、雑誌代替プラットフォームの中などで、NFTや暗号通貨の技術は活きるのかもしれませんね。


もともとアジアなどを中心に内外のIP取引を担ってきたクリーク・アンド・リバー社ですが、韓国製Webtoonの米中欧日など広く展開していく役割を担うようです。コンテンツの三国間取引ですねぇ。


自動翻訳などの技術で注目される東大系ベンチャーMantra社の石渡さんのインタビューです。東大の起業支援エコシステムからの出資を受けたベンチャー企業なのですね。同様の起業として、マンガアプリの開発などに携わるLink-U社も東大発ベンチャーということで、マンガ関連東大強しなのかもしれません。


昨年『ルックバック』で、大変なバズからの読切書下ろし単行本大ヒットという流れをつくった『漫画家藤本タツキ×編集者林士平』仕掛けの予告がなされています。何と前回よりも長い200Pとか。今度はどうでしょうねぇ。でも多分、自信あるから予告したんじゃないかなぁ。


色々なWebtoonの記事がある中で、既存の漫画業界の中にいる方側から見たWebtoonに関する説明というか見方の記事としては、とても判り易くて良い記事だと思いました。

私の場合は外から出版界隈に入ったものとして気を付けて書いたり話したりしているところはありますが、この方のほうが本物というか、中の人に読んでもらうには適切な表現がされていると思います。


記事のみ紹介


告知関連

漫画家のうめ・妹尾朝子さんの活動と言いますか、団地団ということをしてはるのですが、その枠組みでPodCastをされています。そこでテーマが「Webtoon」だったのですが、現役漫画家がWebtoonに対してどのように感じるのか?ということについての本音が聞けて面白いです。


4/21の19時より、IMARTの単発企画IMART+にて「あなたの知らない女性向けWebtoonの世界」というトークイベントをウェビナーで行います。

Webtoonのトークイベント、特にSpaceなどでは沢山ありますが、女性向け作品にフォーカスとなると珍しいかなと思います。

今回は、これまで国内多くヒットしてきた女性向けWebtoonの編集に関わってきた北室さんや、話題のアカツキHykeComicより橋本さん、悪魔合体Minto社より座光寺さんとお呼びし、女性向けWebtoonに特化したウェビナーをやります。

Spaceなどで気軽にやるのも良いのですが、ちゃんと資料用意して「見て」もいただけるものとしてしっかり配信しようと思います。よろしくお願いします。


今回より「マンガ業界News深掘り」として、タイトルだけ生まれ変わっております。

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(編集後記) 忙しくなってまいりましたー。 最近は睡眠中の目薬、磁気ネックレス、足の裏から悪いものを吸い取ってくれるシートなど、健康グッズを適当に買っております。ヤクルト1000はなかなか良さそうなのですが、今日買った「ほうじ茶ラテ」があんまし美味しくなくて、どうしようかと思いながら書いてます。
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