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【マンガ業界Newsまとめ】全国261社の書店経営のうち3割が赤字、アニメ化を待たないマンガ販促、重版出来 など|11/4-175

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。

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逆風の書店経営 全国261社の3割が赤字、半数近くが減収

東京商工リサーチによると、全国の主な書店261社の2023年度の最終(当期)損益は合計17億9800万円の赤字(前期は24億2600万円の赤字)に落ち込んだ。赤字は3期連続で、赤字企業は全体の約3割(75社)とのこと。

小さな書店が厳しいという状況が依然続いているようです。

一方で、老舗書店の雄「紀伊國屋書店」は、2023年8月期決算で16期連続の黒字かつ過去最高益を記録。40店舗を超える海外店舗がその好調をけん引しているとのこと。

TSUTAYAは、旗艦店であるシブツタをIP書店として新コンセプトでリニューアル。

新たな動きを仕掛けることで、この局面と相対しています。

出版科学研究所調べをHON.jpがグラフ化

マンガにフォーカスすると、現在マンガの売上の2/3が電子。紙は1/3程の位置で漸減しています。

電子コミックの市場成長は、2010年代の2ー30%成長から、ここ2年の発表では一桁%成長に落ちついています。オリコン調べによると、課金利用者が引き続き増加傾向とのこと。こちらは堅調です。


各社のアニメ化を待たない、マンガ販売施策

集英社の北米基本戦略は、米国版ジャンプ(紙)を展開するなどした一時期をのぞき、基本的には集英社と小学館の米国現地合弁会社であるVIZ Media中心のものでした。
少年ジャンプ+編集部が2019年に開始した「MANGA Plus by SHUEISHA」の開始以来、直接的な英語圏など海外に向けての作品認知向上施策が目立ち、記事にあるように米国のAnimeExpoやフランスのJapanExpoなどに、海外部門や海外子会社によらないあ直接的な海外出展・展開するなどが開始しています。

また同じ集英社では『週刊ヤングジャンプ』などで連載する『ジャンケットバンク』を、同社グループ内企業の集英社ゲームズが、ポップアップショップの形で出展。「アニメ化以外は全部やる漫画」というキャッチのもと、文字通りアニメ化を待たずに全力で作品を推しています。

連載開始するなり、1話ごとに大きな話題となった白泉社の『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』は、発売前に大きな重版がかかったとのこと。

この作品のコラボや施策が異例というか異色のものが多々出ています。

1巻が出た時点で、大手冷凍食品メーカー「ニチレイ」コラボに、コラボカフェに、中毒的な内容(褒めてます。好きです)のLINEスタンプに、「キャベツ」?など、独特な施策が多数出ています。ニチレイのコラボは、「次に来るマンガ大賞」の特別賞受賞からの流れのようです。カフェはだいぶやばい予感があります。みんな残さず食べれるんでしょうか。私なら前の日からご飯を抜いていくと思います。

これらは、1連載作品の初単行本の動きとしては、仕掛けも大きく多様で、とはいえネット上で大きく話題になった同作に色々なことが、一気に適時付いて来ている新しい形とも見ることが出来そうです。

その『もちづきさん』を連載するヤングアニマルWebでは「ヤングアニマルWebストア」がオープン。Web媒体がそのままグッズ販売サイトとなり、同Webユーザーに直接グッズ販売が出来る体制を整えたようです。

同Webのプラットフォームであるコミチ萬田さんの施策解説記事です。


ネットがある前提でのマンガ販売の形は、紙の書店も電子コミックの書店やWeb媒体も、アニメ化を待たずに積極的な施策を行う形に移行しつつあるように思います。

これまでの流通の仕組みの上でのいわゆる宣伝は前提にしたうえで、編集部や制作現場により近いところからのプロモーションが増えつつあるようです。


私事「重版出来」

僭越ながらわたくしごとですけれども、9月20日に販売した拙書「漫画ビジネス」が、販売約1か月で重版いたしました。我がことながら信じられません。

これはもうひとえに皆様のおかげでございます。
誠にありがとうございます。


国内News

ヒーローズからBLレーベル「Re;zz(リズ)」が開始とのこと。


朝日新聞出版の新レーベル「Melty Night」開始とのこと。シーモア独占先行からとのこと。


U-NEXT Comicよりタイの人気BL2映像作品をコミカライズとのこと。映像で同作の配信を既におこなっており、これを「Renta!」で先行配信ののち、自社などでも配信するとのこと。


オーバーラップHDをMusaという企業が吸収合併とのこと。
このMusa社についての情報が見当たらないのですが、同社は「他の会社の有価証券を取得・所有することにより当該会社の事業活動を支配・管理する業務を主な事業内容としている」とあり、なんらかの買収か、資本政策としてそうした工程を必要とする何かがあったということなのでしょう。


「小説家になろう」を運営するヒナプロジェクトは、同社運営の成人向けイラストサイト「onaco」のサービスを終了するとのこと。

小説投稿サイトとイラストサービスは、少し遠かったかもですねぇ。難しさの方向性が違ったようにも思います。


VISAカードによる決済がECやファンティアなどで停止するなどしていたとらのあなは、以前より運用していた「とらコイン」を、決済方法としての使用可能となる範囲を広げるなどしたようです。


Bookliveのクリエイター向けサービスは、累計会員数10万人とっぱとのこと。この分野は、色んな事がありながらも伸びて行きますね。


写真掲載されてるシャツ、デザインが全てすごくよいですね。説得力あります。


コミケとシティの開催が来年の夏開催で被るとのこと。記事にもありますが、近年コミケは男性・シティは女性と棲み分け進んでいます。同じビックサイト開催なら、まだ相互補完機能もあったかなと思いますが、東京と大阪と距離も離れてしまうため、男性と女性の参加者を東西に分け合ってしまうことが考えられます。

大阪万博の影響で来年夏のみとはなると思いますが、両イベントの関係者頭が痛い所ですね。


オタク市場調査なども行う矢野経済研究所の調査です。

2023年度の個人イラスト市場規模を246億6,600万円(プラットフォーム流通総額ベース)と推計。

内訳は、コミッションプラットフォームが166億6,600万円、ファンクラブプラットフォームが80億円とのこと。なるほど。ファンクラブプラットフォームについては、同人動画や音声などを抜いて、イラストに限ったというところでしょうか。


以前より公開されていた、文化庁によるクリエイター向けの契約書雛形、改訂があったようです。「フリーランス・事業者間取引適正化等法」の施行開始で影響のある点を中心に付記されているようです。


こちらは、アニメの話題ですが『オーバーロードⅢ』の文字起こしサイトなどの運営者を逮捕とのこと。アニメを文字起こししたものを文字で読んでどうするんだ?というのもありますが、これも著作権侵害行為と完全に認定されたわけですね。


Webtoon・ショート動画関連

ジャンプTOON関連記事で責任者の浅田さんのインタビュー記事です。
今週はこれら2つの記事を含めて、久々にWebtoonの導入的記事が多い週でした。


LINEマンガにも掲載する韓国産Webtoon『わかっていても』の実写ドラマ版がABEMAで制作、Netflixにも配信されるとのこと。

韓国でWebtoon制作→韓国ドラマとしてNetflixで映像化→今回は日本でABEMAがリメイクして、同じくNetflixに配信。ということのようです。続編では無くリメイクなんですね。なかなか興味深い道行きですね。


こちらは、韓国Webtoon『異世界剣王生存記』を、ぴえろがアニメ化ということですね。私も読んでたんですけども、なかなか線が太くてあるゴツゴツした力感のアクションもので、これをアニメ化するというのはどんな感じになりますかね。


中国や日本など、内外のショート動画事情のまとめ記事です。
確かに、業界の中でショート動画が話題になると、こういう感じの話を良くしてるような気がします。

「テレビドラマは横長じゃないですか。スタジオも広くないと横が見えちゃう。ショートドラマは縦長なので、横がいらない。人で画面がいっぱいになるので、ロケ地に金をかけても意味がないんです」

記事より

この辺りは、なるほどなーと思いました。まだ、有名な人のキャスティングとかが必要なくて、むしろ忠実にベタな動画を作るのが良い時期なんでしょうね。


*: 以降海外記事の紹介もあります。自動翻訳などご利用ください。

タイトル訳:カカオとフジテレビ、ウェブ漫画を原作としたドラマ「秘書潜入捜査」を共同制作

TV局のショートドラマ参入。先の記事からの流れですが、当然そうなっていきますわね。タイ企業とカカオとのコラボのようで、これは大きな座組ですね。低コストが売りのものですが、この大座組がどこまで回収できるかですね。


SORAJIMAの「打ち切り漫画コンテスト」ということで、なかなか大胆な取組ですが、当初の座組の中にあった「副賞には打ち切り漫画プレゼント」が特に炎上してしまいました。ですが、すぐにこのプレゼントについては、上記のポストのように謝罪と訂正文が出ています。

個人的には、こうした思い切ったことをする姿勢は良いと思うのですが、確かにちょっとやりすぎちゃいましたね。すぐに訂正したところは良かったのではないかなと。

そして面白いのは、同じ「打ち切り」という言葉遣いでも、プレゼントの方はまずかったですが、本体の漫画賞そのものは、すでにハッシュタグに多数投稿されているようで、これはまた人の心理が興味深いですね。

それでも、まだ抵抗あるというコメントもあり、人の興味を引きつつもセンシティブな言葉なのだと思います。おそらく作家さん的には、自分で言う分には良いけど、人に言われたら腹が立つよってことなんだと思うのです。


海外News

米国版マガポケ、「K MANGA」が、英語圏を中心に4か国展開です。去年のIMARTで、Web出稿を中心とした展開を考えてると責任者の平岡さんがおっしゃっていたのですが、この辺り目途がついてきたのやもですね。


独西伊仏/ベルギーの5か国連携で、漫画雑誌が始まるそうです。これ、流通はEU横断ってことなんでしょうかね。すごいですね。


集英社が、海外の海賊版サイト運営者の開示請求をしているのですが、Google、Paypal、VISAなど、決済関連事業者に対して請求を行っているとのこと。

記事の先にある英語の元記事をたどると、まず海賊版サイト運営者について、サーバー事業者のCloudflare社に開示請求をしたところ、その中で件の運営者たちが、VISAやPaypalで決済したり、GoogleAdsenseで広告収入を得るなどしている痕跡を発見。同時にメアドなども入手しているとのことで、ここをたどって運営者の情報を明らかにしていくということのようです。

正に開示請求に継ぐ、開示請求ですね。手間がかかりますね。これは動向に注目したいところです。IMARTでも聞いてみたいです。


タイトル訳:国連の新報告書は、マンガとアニメがジェンダーの固定観念や女性や子供に対する暴力を助長していると主張

これはちょっと、だまし討ちのようなものですね。


タイトル訳:労働争議の渦中にある韓国のウェブトゥーンエンターテインメント

上場後、株価の下落が続き、内部でも労働争議があるなど、WEBTOON Entertaiment社は正念場を迎えているようです。こういう時、雰囲気を変えて行けるのはやっぱりヒット作品の出現なんだろうなと思います。色んな事を一気に吹っ飛ばせるでしょうね。


タイトル訳:ウェブ漫画や小説を原作としたドラマ化が増加傾向

Webtoon発の配信映像化が増えていることは、言われて久しいですが、そろそろ実数が欲しい所ですね。


この指標だと、韓国の若者の半分弱がWebtoonを読んでいるということですね。なんとなくもっと多いんじゃないかなという気もしますが。それと、ついに韓国はWebtoonを読むことを「読書」と定義したみたいですね。国策で推進してますもんね。


ドットが絵の形で浮き出ることで、イラストを視覚障害者の方でも手で触れることで読み取れるという、点字の絵版みたいなもののWebtoon対応です。

もともと、視覚障害者向けに、絵本をこういった装置で見せる取組は昔からありましたが、これは見た所タブレットなどから直接読めるみたいですね。シンプルな作品ならいけるでしょうね。興味深いです。


libroさんの北米エンタメニュースです。
私も最近別の調査で数字を見て驚いたんですが、アメリカで『進撃の巨人』がホントに人気なんですよねー。


ニューヨークコミコンのフォトギャラリーです。味わい深いです。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

新書館・大洋図書・フロンティアワークス・リブレの4社BLコラボセール


記事のみ紹介


告知関連

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菊池健
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