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【マンガ業界Newsまとめ】AIマンガ制作まずジャンプ+から・米国でアメコミより日本漫画が売れる理由 など|5/21-102

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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アル、少年ジャンプ+編集部と共同でマンガ制作サポートAI「Comic-Copilot」(コミコパ)の提供開始

先週も速報的な記事でお知らせしましたが、情報が少し増え、結果が報告されているのと、何度お知らせしてもし足りないくらい、かなり凄い取り組みですのでもう一度ご紹介です。

アル社が、少年ジャンプ+編集部と共同で、マンガ制作をAIがサポートするサービス「Comic-Copilot」(コミコパ)をリリースしました。マンガ投稿・公開サービスの「ジャンプルーキー!」「マンガノ」で動くサービスとのこと。

この担当と思われるジャンプ+副編集長の籾山氏も、実際に漫画家が創作に役立てているようだとツイートしています。

AIとマンガ制作という観点で言うと、特にイラストに関しては複数のクリエイター向けサービス上で、AI作画を使用した作品アップの使用を停止したり、マンガ制作ツールとして最も普及しているクリップスタジオのAI機能実装に対してユーザーから強い反発があり、実装が見送られるなどと言うこともありました。

一方で、ストーリー作りなど絵に関わらない部分については、いち早く取り入れる作家の出現などもあり、好意的に受け止められているようでした。

そして、このタイミングでマンガ誌No1のジャンプ+による、ChatGPTベースの創作支援ツールの登場です。マンガづくりのアイディア出しについてAIが「相談にのって」サポートしてくれるというものです。

ポイントになりそうなのは、絵ではない部分もそうですが、このシステムが漫画家ではなく、編集者と相談して、その編集者の役割を一部代行するようなしつらえとなっていることだと思います。

記事より引用 https://creatorzine.jp/news/detail/4320

作品作りに関わる部分はもちろん左下にある「とにかく励ましてほしい」「..話をしたい」というあたりは、漫画家やその普段の暮らしを熟知した、心憎いばかりのサービス構成になっています。

私も以前はトキワ荘プロジェクトという漫画家支援の事業に携わっていましたが、新人・プロ漫画家と相対する中で、「3日ぶりに人と話しました(うちシェアハウスなんだけど??)」とか「あまりに寂しくて、某カスタマーサービスに電話して励ましてもらった(お勧めしません)」とか「会社員とか、知らない業界の専門知識を教えて欲しい(普通!大歓迎!)」とか「あなたが味方になってくれなかったら、いったい誰が私の味方になってくれるんですか?!(激高?!)」など、とにかく色んな事を言われたというか、色々ありました。(恐らく、今の運営ではそんなことは無いと思います。10年以上前のまだ私たちも慣れてなかったころの話です。)

孤独に作品を作り続ける漫画家にとって、だれかと相談や話をできるということ、ましてや励ましてくれるとなると、これは大変貴重なものだと言えると実感しています。

コミコパは、本当に良くわかってらっしゃるサービスだと思いますし、No1のジャンプがこれをやるというのは、やっぱりNo1だからなのだなぁと思うところなのでした。現時点で、現実解かつ漫画家にとって実際に役に立つAIサービスなのではないでしょうか。


なぜ日本のマンガが欧米でアメコミより売れているのか(Why Japanese Manga Is Outselling American Comic Books in the West)

*:英語記事です。自動翻訳をおすすめします。

アメコミより日本漫画が北米で売れてます。米国の立場で言えば、輸入品が国産より売れているという状況です。しかもそれがコンテンツのこととなると、どういう状況なのは気になるところです。これを米国目線で解説している記事です。曰く、

・価格が安く、消費者の利便性が良い
→日本のマンガは、単行本(10話前後)1冊10‐12ドル、アメコミは1冊数ドルだが基本は1話分、という単位で売られています。日本で言うと、いわゆる「薄い本」くらいの分量ですね。しかも、この日本の単行本のような連番ではなく、長い目で見た「続き」を追う際に、あちこち探さないといけないとのこと。

・見つけやすい
→アメコミは所謂コミック専門店でマニア向けに販売、それに対してマンガは一般的な書店などで広く販売しています。だったらアメコミも本屋で売ればとも思いますが、このあたりは大きな流通慣習の違いがあります。米国のコミック専門店は、日本で言うアニメイト・とらのあなと言うイメージと違い、もうちょっと小規模で個人店主が経営するイメージです。

・日本のマンガは新規読者にとって入りやすい
→日本のマンガは基本、単行本で1巻から読むものであるのに対して、アメコミは作品が点在しているため、買い初めに途中から入らざるを得ないということがあるようです。これもちょっと日本では考えにくいですね。また、割と重たい話の多いアメコミに比べ、日本のマンガは内容が親しみやすく、バラエティも多いとあります。

もう少しアニメの話やコンテンツの内容に触れるのかと思いきや、ビジネスモデルの差から来る、本と言うブツの使い勝手みたいなところが多かったですね。以下の記事は、この話題についての「読者の反応」まとめです。なるほど。


国内News

アルファポリス社の2023年3月期決算が発表、売上92億円、経常利益は24億円とのことで、いずれも過去最高。来期は売上100億円を目指すとのこと

https://ssl4.eir-parts.net/doc/9467/ir_material_for_fiscal_ym/135218/00.pdf

↑が決算資料なのですが、カラフルでしかも作品書影が沢山載っていて面白いです(と、毎四半期で同じことを私も書いていますが)特に、ラノベ・マンガの売れ線が見えるのが面白いです。少し言いにくいのですが、いわゆる賞レースに強い作品は部数のわりに少ないのですが、それが底堅く売れているところは、作品選定や営業の上手さを感じます。

また、ちょっと界隈がざわついて話題になったのが、出版社として印税率について明示しているところです。各社あまりやりたがらないことですが、このタイミングで段階的印税率を撤廃して、全て10%にしたとのこと。


こちらはBooklive社が運営する創作系個人誌展開「ブリック出版」が、運営5年3か月で累計作家還元額を11億円に乗せたとのこと。これは大きいですね。


とらのあなfantiaが、チャージ式のWebマネーの販売を、英語圏の日本カルチャーファンが多いTokyo Otaku Modeと連携開始とのこと。

こうしたサービスで海外のユーザーが国内同様クレジットカードで決済する際に、簡単にはいかないケースもそれぞれの国状などである中で、現地で既に決済方法を確立している企業に、サイトで使用できるポイントを購入できるように連携するケースがあります。今回はその英語圏向けと言うことですね。


アニメイトによるこの言語化は興味深いというか、実感がこもってますね。正に、推し時代かつSNS時代。


電子書店大手のシーモアの記事です。会社のキャラ的に、中の人がこうした取材に出てくるのは珍しいかなと思います。シーモア社は出自がNTT西日本と言うこともあり、手堅くすべきことをして成長している企業と言う印象ですが、記事を見ると確かにちゃんとやってる感がありますね。


講談社のIP開発に関する記事なのですが、普段のマンガ文脈からはあまり接点のできにくい新しい取組が紹介されています。こういうこともされていたのですね。


こちらはコロコロの取組です。愚直に子供向けの面白さを追求する姿勢が記事からにじみ出ております。


サミットでG7首脳が原爆ドームを訪れてなんとも言えない表情で出てくる中、読まれるべき記事になりましたね。


昨年の10月に開催したIMART2022のセッション「Webtoon販売セッション: 海外との比較から考える日本市場の課題とこれから」の記事です。

日中韓企業のWebtoonについての取組を、飯田一史氏が聞いています。


海外News&WebtoonNews

これはやっぱり、時間が経つと変わっていくものなんだなぁと思います。


『神之塔』ですが、Webtoon→アニメ→Gameと、3段階目のGameへのIP展開に進んだようです。どれくらいの経済規模になっているのでしょうね。


*:ここから英語記事になります。自動翻訳をお勧めします。

NAVERが買収して、北米向けのコンテンツ提供プラットフォームとして期待されるWattPadですが、CEOが交代したようです。もともと小説PFだったわけで、その小説PFビジネスを創業した方から、Webtoon側の人材がTopについたようですね。着々と動いてますね。


先週北米向けにサービス開始した、集英社・小学館中心のVizMediaと、講談社のK MANGAのサービス比較です。両方ちゃんと比較したうえで、リーズナブルなのはVizMediaだけど、広く読むならK MANGAとまとめています。


翻訳すると「あなたを韓国の漫画に変えるAIウェブトゥーンフィルター」ってことなのですが、確かに使ってる人も結構いますよね。

作品の面白さ以外の所でも色々と勝負しようとする姿勢って、ネット時代には割と真摯な努力みたいな感じになってきているかもですね。絵柄を多くの人目に触れさせるみたいなことは、初見ユーザーの多い海外進出においては重要かもしれません。


記事内容的にはシンプルな作品紹介なんですけど、原作Webtoonと映像化キーピクチャーの並びが沢山あって、参考になるというか面白いです。


海賊版対策話の際に「海賊版は違法で悪だが、一方で日本作品の認知を広げた(ファンを増やした)面がある」という議論がありまして、身も蓋も無いのですが、確かにそうして出来たコミュニティに対して何か手を打つべきと言うのはあったのかと思います。

そうしたことへのカウンターが、ジャンプ+海外版のManga+や、今週リリースされたサービスなのでは、などとは思うのですが、横目で眺めておくくらいでしょうか。


ちょっとビジネスから遠ざかりますが、ピカソがアメコミから影響を受けていたという記事です。そうなのかー!ってなりました。


AIイラスト・画像生成関連

今週一番興奮したAIニュースでしたが、ヤンマガWebのハンチョウ最新話、AIでストーリーを考えたとのこと。これ以上はもう見てもらえればと思うのですが、これは未来にマンガを考える際に2023年5月時点のAIとマンガの関係って意味でも金字塔になると思いますので、まずは皆さん読んでださい。(課金が必要です)


先週もお伝えした話題ですが、そのビジネス的観点の分析とのこと。個人的には、やっぱり最優先は利用者・クリエイターのことだとは思いますが。実際の中の方々はそういうところに腐心してますし。


それを受けて、新しいサービスも始まるのですね。これ、ユーザーがつくのでしょうか?


これはある意味、イラスト屋のゲーム化と言うか映像化というか、すごいですね。喋るこのイラスト屋さんのお馴染みの顔は斬新です。


これはかなり凄いですね。リアルタッチですが。


ヤスに人格が与えられたのかとも思いましたが、そう簡単にはいかないようですね。


記事のみ紹介


告知関連


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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。

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