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【マンガ業界Newsまとめ】CCCと日販GHD 共同事業会社立上げ、体験型書店拡大へ など|7/23-111

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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CCCと日販GHD、FC事業と卸事業を統合し、共同事業会社「カルチュア・エクスペリエンス株式会社」を2023年10月より始動
~「地域に交流を生む新しい時代の体験型書店」の拡大を目指して~

CCCと日販が新たな共同事業会社「カルチュア・エクスペリエンス株式会社」を10月に始動とのこと。日販社Web上のニュースページには、TSUTAYA主語のテキストが置いてあります(CCC側と同じ文章でした)

今回の打ち出しでは、地域に根ざしたコミュニティで体験(エクスペリエンス)できる書店に進化することを目指すとあります。TSUTAYA単体で言うと、2017年以降、レンタル店舗を閉じ、書店に事業転換するという動きがありました。

同時に、銀座や北海道などはじめ、いわゆる漢字の「蔦屋」をコンセプトショップとしてオープン。本のみならず、お酒や芸術品、書店の枠にとらわれない様々なグッズを販売すると同時に、イベント開催など「体験」による話題作りに注力しています。

少し前の当まとめでも、漢字蔦屋の取組の多さにも触れています。

ここまでのメッセージを読み取る限り、そうした取組が増えていくことが予想されます。

こうした書店流通に詳しい永江朗さんによる記事ですが、これまで「プロダクトアウト」であった出版流通を「マーケットイン」にする取組と論じています。方向性としてはそうですね。確かに。

とはいえ、トラックが物理的に足りなくなったり、結果的に紙書籍の流通が首都圏より3日遅れる地域が出来るなどなど、出版流通には課題が山積しています。必要な変化が、今まさに起こっている歴史的転換点を迎えているといえるのでしょう。


国内News

ここ最近、日本漫画家協会理事を務める森川ジョージさんを中心に、不健全図書規制についての行政と業界の向き合いが活発化しています。難しく、嫌な役だと思いますが、現役週刊誌連載作家の尽力には頭が下がる思いです。

記事の内容を鵜呑みにして良いかということもありますが、審議会委員の都公立中学校PTA協議会顧問の方が
「ニュースでも(報道されているように)青少年が人を傷つけたり、殺害したりしています。僕らが若いころに比べると、青少年の事件が非常に多くなっているように感じます」
ということを話されております。

記事中でも訂正されていますが、事実誤認なのか数字が読めないの人なのか判らないのですが、相対する勢力のおひとりとして危うさを感じます。本気でおっしゃってるのだとすると、解像度が低すぎますね。判断能力以前の問題です。

ただ、行政との向き合いは、得てしてこうしたことが付き物で、やはりしっかり対応することが必要だったのだなと実感するところです。森川先生や、取り巻く専門家の方々には頑張っていただきたいなと思っています。


そんな森川先生ですが、著書の『はじめの一歩』が1億部突破でキャンペーン中とのこと。買って応援したいところです。


メディアドゥの1Q決算ですが、LINEマンガ移管の影響についても触れています。ebjとLINEマンガの統合から、この減益そのものは避けられない事象だったと思いますが、全体の業績としては微増と堅調に推移し、その影響範囲が2022年から2023年の2年間で影響を失くすとしています。


この10年、静ドンがウケて来た経緯を考えると、動画も良いのかもしれない。どうでしょうか。

白泉社の夏の学生マンガコンテストの取組です。こうした発掘は地道に毎年続けていくのが大切ですね。


今年10月から所謂ステマの規制が始まりますが、この際、

・施行前に掲載されたものであっても、10月1日以降は規制の対象になる(5年前だろうが10年前だろうが関係なく)
・規制対象は広告主で、インフルエンサーや一般の投稿者は処分されない

などとあります。このあたり、色々深刻なことが起きそうにも感じます。


今週のWebtoonNews

data.ai社が集計した「2023年上半期モバイルアプリマーケット、ゲームを含む全カテゴリーの消費者支出ランキング」で、漫画アプリ・ピッコマが1位となったことが発表された。単純に、日本の漫画アプリ市場シェアでも50%とのこと。


動画見るとイメージつきやすそうですが、Webtoon素材を活用してアニメを作るということのようですね。キャラクターや背景の3Dモデリングなど進むと、かなり共通化できそうです。現状の見た目は、なるほど新しいリミテッドアニメですね。十分見れるなと。


少年サンデーとLINEマンガで、横漫画とWebtoonのサイマル連載を伝えられていた、YLAB×Boichiさんの『スーパーストリング -異世界見聞録-の背景ともなっている「スーパーストリングス」について詳しいnoteです。同一世界観というか、同じレーベルのアベンジャーズ的なことを目指してるとのことなんですが、既にこんなに色々作品が絡んでいるんですね。


海外News

*:ここから英語やフランス語などの海外ニュース記事が増えます。自動翻訳などご利用ください。

ちょうど、先週末にフランスパリでJAPAN EXPOがあったので、フランスの記事が多い週でした。

タイトル:NAVER Webtoonはフランスでナンバー1のWebtoonプラットフォームとなった

記事としては、7月13日から16日に行われたAmazing Festival というイベントで、NAVER Webtoonがフランスナンバー1プラットフォームとして認められたというものなのですが、ちょっと前提の説明が必要になります。

この同じ時期に、今年22回目を迎えるというJAPAN EXPOがパリで開催されています。ただ、このJAPAN EXPOはその成長に伴い、韓国や中国のコンテンツも内包して行われるようになっていました。一部で問題視されていました。

イベントタイトルに「Japan」と入ってしまっているため(個人的にはAzia等と混ぜてみても面白いのではなと思うのですが)さすがにそこは変えられず、「Amazing」エリアという、日本以外のポップカルチャーを扱う場所も出来たということなんですね。

そこで、売上高やMAUなどでNAVERがフランスで一番であったということのようです。フランスにはピッコマも上陸しておりますので、ここでも熾烈な戦いが起きているようですね。


タイトル:ジャパンエキスポ:イル・ド・フランスの若者の物語をユーモアを交えて語るウェブ漫画作家、ナターシャ・ラット

そのAmazing Festival内での、フランス版Webtoon制作についての、フランス人作家による講義のようです。ちゃんとフランス人Webtoonクリエイターが生まれてるんですね。


タイトル:デジタルから紙へ、ウェブトゥーンが書店に定着

日本漫画のフランス展開と言うと、日本での出版社やレーベルにこだわらず、現地出版社が担ぎたい作品を買い付けて、どんどん仏語化出版していますが、Webtoonでも同じように紙単行本化が進んでいるようです。この辺りは、北米市場でもWebtoon→紙単行本化がすすんでいるのに近いですね。


タイトル:Anime Expo: ウェブトゥーンとマンガの相乗効果についての詳細

こちらは、パリより1週間前にロスで行われたAnimeExpoの記事ですね。タイトルと内容に少しずれがあるのですが、Webtoonがスマホをベースとした現在のコンテンツ表現として優れている点について語られています。

個人的には、紙コミック販売した後の行く末が気になりますが、恐らくこのあたりの結果が決着するのに、もう1‐2年はかかるのでしょうね。


タイトル:WEBTOON がブランドが Z 世代にリーチするための新しい方法であるトレジャーハントを発表

NAVERはホントにいろんなことを次々やるなぁと思うんですが、ファンがトレジャーハントクエストというものに参加すると、コインがロック解除されて、Webtoon作品の先を読めるというもののようです。

これはソーシャルゲームだと一般的な手法ですので、そうしたことも取り入れていくということなんでしょうね。


これは、マンガを英語圏に輸出する際は、左読みにしないと売れないのではないか?という4-50年くらい前からある古の議論のまとめですね。結論、ファンが望むのは日本同様右読みだったというお話ですが、コンパクトに経緯がまとまっていて良いです。

この分野に新規参入される方には、とても良いまとめだと思います。文中の「TOKYOPOP」とか、派生で調べてみると、日本の海外マンガ輸出の歴史が紐解けたりします。良くも悪くもです。


タイトル:Wattpad Webtoon Studiosはオーストラリアの拠点拡大に「非常に熱心」

NAVERグループのWattPadがオーストラリアのクリエイター支援などを強化するということですね。記事中では触れてないですが、北米で様々なアワードを取った『ロア・オリンポス』は、ニュージーランドの作家さんだったという話ですから、それもあってのこの地域のドミナント戦略なのかなとも。


台湾のLINE WEBTOON(LINEマンガ台湾的なことかと)が、9周年とのことです。しかし、ちゃんと地道に続けてますねぇ。


AI・画像生成関連

全米作家協会が、AIのトレーニングに作品を無断で使うべからずという書簡を発表。8500人以上が署名しているとのこと。
宛先が、OpenAI、AlphabetおよびGoogle、Meta、Stability AI、IBM、Microsoft各社のCEO宛とのことで、相手がまたでかいですね。

背景には、米国でこのAIをめぐる訴訟が相次いでおり、ついには大統領レベルでIT企業首脳と協議の上「AI製」のクレジットを義務づけするなど、一定の制限の方向に向かっているようです。


Appleも参戦とのこと。


画像生成AIの発展において、インパクトのあった、StableDiffusionがモデルチェンジをするようです。


国内では、有識者の委員会を立ち上げ、生成AI開発支援スキーム検討委員会を立上げとのこと。少し遅れつつも動いてる感じですね。


記事のみ紹介


告知関連

ちょうど公開作業をしている、今やってるんですが、こうしたこともしております。


Webtoonの広告の最適解はどこにあるのかということで、話題は尽きないと思うのですが、ナンバーナインの新作『ラッシュナイト』では、エスカレーターのベルトに広告出稿したようです。多分、早過ぎて読めなくて、そのあとスローの動画作るところまでセットですw

こうした「面白いリアル動画/画像広告」は、それを後でネットに貼るところまでセットですね。おバカ高度な戦略だと思います。好き。

ころくさんがnoteにもまとめてくれています。


これは楽しいやつですね。7/31から。


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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

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