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【マンガ業界Newsまとめ】紙取次・書店の苦境と新たな取組→マンガのデジタルシフト など|6/11-105

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。

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紙の流通、取次・書店の苦境と新たな取組

【出版時評】大手取次の本業が大幅な赤字に

紙の大手取次2022年度決算は、日販が20億円赤字、トーハンが10億円赤字と苦境に立たされています。続き、大手書店丸善ジュンク堂書店、イオン系の未来屋書店も最終赤字、8月決算の紀伊国屋書店も直近2期は赤字決算でした。

この状況に対して、日販取締役兼文具雑貨商品本部長の野口瑞穂氏は、24年稼働予定の新たな物流センターの話題にも触れつつ「縦横無尽に取り次ぐこと」をキーワードにすると語っています。なるほど縦横無尽。

この状況に対して、様々な論考や取組が見えてきています。

大手出版社は絶好調なのだが…日本全国で「書店がひとつもない街」が増えているアマゾン以外の要因

大手出版社は好調、EC企業も好調で、取次・書店が苦境で、政府もその支援に乗り出しています。この辺り、手詰まりのような書かれ方もありますが、頑張ってるところは頑張ってるという話もあります。


“閉店ラッシュ”の中で増加する書店の“特化型”。

カリスマ書店員が推すセレクト型書店や、読書系Youtuberによるレコメンド、IT企業が開始する新業態型書店など、活路の一つと言えるようです。


漢字「蔦屋書店」の圧倒的手数と個店自由度が凄い

ひとつ、このNewsまとめを書くために、毎週Newsを追っている人間らしいことを書かせて欲しく、個人的にはやはり強いのはCCC/TSUTAYAで、中でも漢字「蔦屋」だなと思っています。

上記は、漢字「蔦屋」書店関連ニュースですが、ここだけ別世界なのかと思うほど多くの取組が毎日発信されています。
以下は、6月に入ってから特に多いなと感じたのでまとめてみたのですが、漢字の「蔦屋書店」名義で発信されているニュースの本数です。

漢字「蔦屋」書店が発信するNews記事数(筆者調べ、一部更に重複抜け漏れあるやも)

左から、私の調査方法で目に入っている「Newsの本数」「重複を省いたネタ数」「本やその著者に関わるイベント数」です。毎週1週間分のNewsを一気に舐める作業をしてる身としては、今週は蔦屋やたらと多いなと感じていたのですが、可視化すると本当に多い!

捕捉範囲で記事数27本、ネタ数20本程。ほとんどの記事が、函館、奈良、梅田、上海など個店でのリリースでした。

また、その内容もユニークで、ざっと「買収ド派手な新店オープン環境保護活動家シェアラウンジオープン芸術家グループ展クラフトシロップワイヤレスホン刺繍海外出店ロボットモチーフのアクセサリー」と、取組は良くわからないレベルで多岐に渡っており、恐ろしいことに、直接的に本や著者を前面に出す企画は一つだけでした。本屋なのに。。

蔦屋が選んだ道行きは、そういうことなのでしょう。
過去の仕事で、銀座蔦屋でコロナ前に2つほどの新商品展開やイベントなどをさせてもらったことがあります。内装もユニークで、常にお客さんがたくさん来ていて「賑わい」があることに価値があるのだろうとは感じていました。

先日、コンビニが雑誌棚を撤去するというニュースに対して、マンガ業界はデジタルシフトしているという事例を複数紹介しましたがリアクションも沢山もらえました。書店も大きく変わり時と言うのは、単純な危機感の醸成のみならず、多くのアクションが顕現する段階に来ていると読み取れます。


国内News

小学館決算です。コミック(紙)が-10%でデジタルが18%伸びて、トータル売上+2.6%とのこと。電子コミックはデジタルと言う見方のようですね。一つ上の書店の状況ともリンクしています。

様々な施策を、、ともありますが、先週スタートしたビッコミなどもその施策のうちのひとつなのかなと。今週は以下のような記事で、筆者も関わるビッコミの施策も紹介されました。

*:ビッコミは、筆者が業務で関わる取組です。ご了承ください。


こちらも続きますが、小学館によるECです。既にマンガ誌編集部なども同じような取組を開始しており、いわばIPをグッズ化して読者に直販する体制の準備が進んでいるというところですね。


新連載を即ボイス化というのも面白いですが、リリースの出元が小学館集英社プロダクションというところがユニークですね。この会社は小集両社のライセンス事業や映像化関係に関する業務をする企業です。名前は2社冠してますが、資本関係的には小学館に近い会社です。


先週、ヒットWebtoon『氷の城壁』の横読み単行本化を発表した集英社ですが、今度はアニメ化もした『タテの国』の単行本化ですね。


このタイトルはちょっと、編集部が実際に言いたいこととは違うかなーと思いつつ、一般の記者さんの記事だとこうなるかなーと言う感じですね。話題になることそのものは良いことですもんね。


ジャンプラ同様、ジャンプPAINTも社内他レーベルとのコラボ。雑誌というより、集英社のブランドとしての動きですね。


こちらは、最近公開された集英社のマンガアプリ4つの媒体資料です。なかなかリアルな数字が書かれています。


ビーグリー社の北米向け取組『yomoyo』提供開始とのこと。グループ内のぶんか社作品の翻訳販売を同時に行っているとのこと。ユーザー獲得側でどう勝ち筋を作るか注目したいところです。


ブシロードから、更にアンソロジーレーベル登場です。コミックシーモア独占先行で、『幼馴染×初恋×体格差 BLアンソロジーコミック』の【LatteComi-ラテコミ-】開始とのこと。


一迅社のWebサービス「一迅プラス」に話単位販売が実装と言うニュースなのですが、ちょっと珍しいのは、プラットフォームであるブックウォーカーがこのリリースを出していることですね。

一迅社は講談社系音羽グループですので、KADOKAWAグループと言うことでも無く、ブックウォーカー社が「システム・機能の開発を受託しているマンガ連載プラットフォーム」とありますので、系列と言うことでも無くシステムを提供しているということになります。


ピッコマ4000万DLで、4000万人に対して4億回総覧にチャレンジとのこと。大きい数字が並びますねー。


LINEマンガの梅雨時特集。梅雨でマンガの特集とは珍しいですが、雨の日は電子コミック売れますもんね。施策的には合理的かと。


マンガワン、MangaPlusなどのPF提供ベンダーLink-Uですが、個人向けマンガ・雑誌読み放題サービスのビューン社の株式をソフトバンクから49%取得とのこと。個人的には狙いの見えにくいアクションでした。深謀遠慮があるのかしら。


これは、デジタル同人周辺界隈では、なかなか驚きのコラボなのですが、とらのあなのFantiaと、FANZA同人が、ギフト券プレゼントのコラボです。なるほど。積極的ですね。次の動きとかもあるのかしら。

こちらは、とらのあなグループ内のシステム会社「虎の穴ラボ」の求人ツイートですが、ここにさらっと「とらのあな と サークル様をつなぐポータルサイトの完全リプレース開発!」と書いていあります。

これは、ECで流通総額100億円を優に超える虎の穴の紙同人誌販売システムのことで、多くの同人作家が使用してきたCMSのことです。このシステムを通して入稿事務や支払い手続き等をする巨大システムで、数多の壁サーや無名の同人作家までが、このシステムで虎の穴と長きに渡りやり取りをしてきました。ECも往年の店舗向けも、全てこのシステムを介します。

一企業のシステムとはいえ、長年同人文化を支えてきた非常に大きい、かつ重要な実質「基幹システム」ですので、これもリプレイスされるんだなと思うと、同人界隈的には大きなニュースかなと思いました。自社開発なのが気合入ってますよね。


端的に言うと、もう性別や年齢で作品や嗜好が括られることは無いのではないかということですね。

ネット上でのユーザーを属性で見た場合、静的属性として、性別・年齢・国籍などがあり、動的属性として、視聴履歴、流入元、購買履歴などがあります。

NetFlixなどのグローバルの大手動画サイトなどは、早くからユーザーデータ上でのこうした静的属性を追わず、ユーザー行動の動的データ分析に注力したと言います。日本では、割とこのユーザーの静的属性を追う所が強固だったのですが、だいぶ変わってきているというのは言えるかもですね。


今週だいぶ界隈で話題になりました、CyberZ村松さんのnoteです。とても面白かったです。漫画編集者の頭の中シリーズですね、なるほどと。

しかし、村松さんはnoteでの話題作り本当に上手ですね。noteを長くしていると、いいね数などでPVなんかもある程度予測できるようになってくるのですが、この反響はホントにすごいと思います。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

小学館のWebtoon連載、マンガワンでスタートですね。
これは、ちゃお編集部がバンダイと連携して開始し、先日エコーズ社が作品をリリースした「TOON GATE」関連とは、また違う制作ラインのようですね。純粋に、小学館オリジナルのWebtoonとなっていそうです。一先ず、アプリ「マンガワン」内でスタートと言うことのようです。


フーモア社の韓国GOLEM社との共同作は、韓国配信からのスタートのようですが、KakaoPage上で好調にスタートしたようです。


スマートゲート社、Webtoon新規参入ですね。編プロさんかなと思ったのですが、デジタル周りで色んな取組をされてる会社さんなのですね。

池袋の会社さんのようで、ロケットゥーンとかStudio73のウェイブなどの近隣ですね。サンシャイン通りそばがWebtoon集積地帯になりつつあるような。あの辺りは映画が見やすくてご飯が美味しいです。(地元かつ近所)


comico開始から10年、『ReLIE』連載開始からも10年ですね。
夜宵草さんは、現在LINEマンガにて『ツギハギミライ』を連載中です。


海外News

ここからほとんどの記事が、英語、フランス語、スペイン語などの海外記事になります。自動翻訳をご利用ください。以降タイトルは自動翻訳です。

NAVERウェブトゥーン、AI生成アートへの規制制定を検討中

NAVERのWEBTOONは、各国に展開する際に、それぞれの国での地域生え抜き作家を育成することを戦略としており、投稿サイトの充実や取組を多く行っています。

そのため、その投稿作品にAIが介在することには慎重にならざるを得ないというころなのでしょうね。


営業赤字がカカオエンターテインメントのIPO計画に影を落とす

大きな資金調達を行い、スピード早くヒット作品を作っていく姿勢をとるKakaoとしては、ヒット作品を作るにあたって短期的に大きな投資を行う必要に迫られ、その道半ばで高収益を出していくことも至上命題になります。

日本でも業界だと、こうした先行投資を行う赤字期間を「いつまで掘れるのか?」というような言い方をしたりしますが、難しいところですよね。

大手出版社のほとんどが非上場企業で、株主にうるさ型の少ない日本のマンガ制作スタイルは、作家の個性や多様性を重視して作品作りをじっくり行うところがあります。それにに対して、スピードを求められ、売れ線寄りの行動を取らざるを得ない中で、どうしていくかというのは課題です。

もちろん、彼らも日本の研究は十分しており、わかったうえで挑戦されておりますし、そうしたこともあってか、KakaoはKADOKAWAの筆頭株主だったりもします。(市場流通株をコツコツ買った結果)


とはいえ、市況として投資環境が難しい中で、まだまだK-コンテンツへの投資は集まっていきそうです。


先週発表された集英社のジャンプTOON開始ですが、海外でもニュースになっています。アプリ開始や、アワード、アメコミのWebtoon進出やAppleの進出など、そうした背景あっての集英社の進出と見ているようです。


NAVER WEBTOONによるフランスのWebtoonコンテストが今年も7月に開催されます。毎年開催されるJAPAN EXPOと同じタイミングですね。フランスでは7月がそういう季節となっているのだろうなと。


南米のコロンビアでのコミコン情報です。今年は6月9日から12日間開催とのこと。ちなみに、場所はここです。カリブ海の南側。
アメリカ合衆国のコロンビア州SodaCityでのコミコンと、南米コロンビアのコミコンがそれぞれあるようです。


イギリスのポーツマスでは、6/3‐4でコミコン開催とのこと。

コスプレ写真なども記事になっています。クオリティの方向性が日本と大きく違っていて楽しいですね。生々しい意味でのリアリティの求道なんでしょうね。ちなみに、知らなくて調べちゃったのですが、ポーツマスはここです。


タイトル直訳「スパイダーバースのアクロス - スカーレット・スパイダーのコミックの歴史を解説」

映画「スパイダーバース」が物凄く好調な中、アメリカの激ヲタが、めっちゃ大好きなスパイダーマン語ってる感があって、好感が持てます。日本中で、先日のスラダンを見た人が談義を咲かせていたのに近いものがありそうです。わかる。わかるよ。


https://www.cbc.ca/news/canada/manitoba/depression-new-comic-depth-of-mind-1.6858317

サムネイルが出ないので、画像リンクにて。
タイトル直訳が「ワークライフアンバランスが新たなウェブコミックを生み出す」という記事なのですが、アメリカにおけるコミケ参加者みたいな雰囲気の人たちが、個人的にとても親近感があって好きです。彼らと一緒に好きな漫画の話をしたら、地雷にさえ気をつければ楽しそうです。

ロスのAnimeExpoなどに参加して、ArtistAlleyと呼ばれる、いわゆるサークルスペースみたいなところにいくと、嬉々として楽しそうな彼らに会えます。


北米「AnimeNewsNetwork」というサイトにKADOKAWAの資本が入ったのですが、そこが企画する日本旅行パッケージツアーがあるそうです。聖地巡礼的なものですね。一時期、中国のビリビリ動画がメインの事業の一つとして取り組んでいましたが、巡礼ツアーは洋の東西を問わない感じですね。


AI・画像生成関連

これはEUらしいといえばらしいですね。


日本政府は高い関心を持って推進に積極的、文化庁は少し規制寄りに踏み込んでいるようにも思えます。海外から見ると、これらの姿勢は積極的に見える?という指摘もあるようです。


Webtoonニュースでも触れたNAVERの動きもありますが、韓国はクリエイターサイドからAI規制の声が強いようですね。


今週日本で話題になった「さつきあい」ですが、これは色々と波紋になりそうですね。


そんな中で、またひとつAIイラスト販売サービスが、サービス停止したようです。


Adobeのツール側として、上手く取り入れる方向を模索中のようですね。学習画像を限定することにより、ソフトウェアが権利侵害知財の混入がないことを担保し、商用利用OKを保証する仕組みを開始とのこと。なるほど、これはクレバーですね。


記事のみ紹介


告知関連


https://tver.jp/episodes/ep1ai9fodj?utm_campaign=ep1ai9fodj&utm_medium=web_lp&tkn=565c2276-9cd0-4ee0-ba93-ec8afd6164ca

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