【マンガ業界Newsまとめ】コンビニ雑誌棚も年内撤廃か?出版業界構造の変化へ各社の対応続く など|5/28-103
マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。
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コンビニ大手、今期中に雑誌棚の完全撤廃検討…週刊誌1000円時代へ突入「文庫は1600円、新書は1200円」いったい誰が買うのか
長く低迷の続く紙の雑誌ですが、部数減を因果として、それを置く場所も減っていきます。コンビニ大手は「今期中に雑誌棚の完全撤廃検討」とのこと。
出版流通は、これまでの事業構造では立ち行かない状況になりつつあります。そんななかでマンガ業界がどうかというと、そのアンサーとも言えるニュースが今週は多数出ました。
出版社、プラットフォーム勢ともに「事業構造の変化」に具体的な対応多数。
「日本のマンガ」をもっと世界へ…新たに始動した「K MANGA」が見据える挑戦
講談社がK MANGAブランドで海外進出するところは既報ですが、こちらの記事では、「K MANGAは、日本でわれわれが運営しているマガポケの機能や仕様をほとんどそのまま横展開します。」とあります。
「マガポケ」という少年マガジン由来の名前ながらも、提供作品数、多数の広告出稿などの力の入れ方から「ALL講談社」とも言える立ち位置の枠組みを、そのまま海外展開するという点は、講談社の本気度合いと見て取れます。
これをもって、大手マンガ出版4社は先行していたKADOKAWA(BOOK WALKER)、集英社(MangaPlus)に加え、ほぼ同時期開始となっていた小学館系VizMediaとともに、講談社も直接海外進出という4社揃い踏みとなります。
au、使い放題&コンテンツセットの料金プランに「ピッコマ」を追加
ピッコマが、auのセット料金でピッコマを月額利用可能となるサービスを開始。ガラケー時代はこうしたセット販売は一般的でしたが、クレジットカード決済が難しい若年者に対して、いわゆるキャリア決済の形を提供する狙いという所でしょうか。保護者も定額ならOKしやすいのかもしれません。
「LINE MUSIC」と「LINEマンガ」の合同キャンペーンを開始! LINEマンガコインがもらえる限定キャンペーンを開催
LINEマンガは、同じLINEサービスの中からLINEミュージックとのコラボを発表です。LINEマンガが力を入れるWebtoonにおいて、韓国ではOST(オリジナルサウンドトラック)と、作品のコラボが盛んですが、LINEという同PF内でコラボを進めていくということなのでしょう。
海外向けマンガアプリ 「MANGA BANG!」 Android版もリニューアル
MANGA BANG!は、国内に比べると海外では強勢となるAndroid版をリリースです。海外向けの作品ランナップとして、中国「快看漫画」の英語版Webtoonも、国内作品と合せて提供するようですね。
出版社から続々増える新レーベル
出版社の施策として目立つのが、新レーベル創刊と、雑誌のWeb化です。
今週は、白泉社LaLa、祥伝社、スターツ出版、一二三書房と、次々と新たなレーベルがスタートしています。出版業界全体では、中でも雑誌が厳しいと言われている中で、マンガ業界では次々と紙の雑誌発行を起点としない新レーベルの創刊が続きます。現在のマンガ市況では、電子コミックが出版社の外の電子書店やマンガアプリで多く販売され、このインパクトがマンガ全体の売上の半分を超えるため、新しい作品を多数作ることに、活路を見出しているというわけです。
また、紙の雑誌をWeb化する施策も進んでいます。
今年3月には、老舗出版白泉社、秋田書店両社から、ヤングアニマルWeb、ヤンチャンWebと、一昔前ならアプリであったところが、Webマンガ誌としてスタートする取り組みも続いてます。実は、来週また大きな動きをご紹介できる予定です。
BookLive制作、初のタテヨミマンガ『移植転生 レジェンダリーハーツ』、総合電子書籍ストア「ブックライブ」、マンガアプリ「ブックライブ fun」で先行配信開始
同じく中国Webtoonの日本ローカライズに力をいれているBookliveですが、今度は国産Webtoonにおいて、著名原作者を迎えて新作リリースを実施、オリジナル作品の厚みを持たせていっています。
viviONグループ、2022年度の総売上高は昨年度から100億増の454億円に。
近年『DLsite comipo』の投入で、成人向け中心から一般向け作品の提供も開始。集英社をはじめ大手出版社作品提供開始のたびに、かなり大きなキャンペーンを続けてきたDL Siteですが、そうした大きな動きも奏功し前年比で100億円増とのこと、3割弱増くらいですか。すごいですね。
出版不況とは申しますが、マンガに関わる事業者は、出版社、プラットフォームともに、周辺とのコラボ、新レーベル創刊etc.、海外展開と、各社の具体的施策が目立ちます。そうした流れで、各社未来を見据えていると言えるのでしょう。
国内News
スクウェア・エニックス社の「ゴブリンスレイヤー」、同じシリーズでコミック4冊同時というのは、凄い量ですね。
1970-'80年代の米国ファンタジー小説界で「シェアーワールド」という概念がありまして、同じ世界観を共有しつつ、違う作家が作品を書いていく形です。国や文化、種族、武器防具や道具、魔法の体系など、同じ設定で違う著者が違う物語を書くということですね。2次創作とは違って、原作や著作権者による監修や、あるいは全般的なコントロールが入ることもあるのが特徴です。
その後、テーブルトークRPGの世界観と相まって、ちょうど先日映画になった「ダンジョンズ&ドラゴンズ」なんかでも、そうした世界観で沢山作品が出来ました。日本に入ってきて「ロードス島戦記」を産み、ソードワールドという世界観が日本のテーブルトークRPGにも広まりました。
講談社の『進撃の巨人』『はたらく細胞』『転スラ』『カイジ』や、秋田書店の『バキ』などなど、マンガ内のIP展開として強いですね。大型タイトルの周辺では今後も増えていくでしょう。
各作品でおおよそ目は通しているのですが、「ゴブリンスレイヤー」は他作品の展開に比べると、サイドストーリーというよりは、全く違うお話を描いているところが特徴なのかもですね。
ピッコマのアワード2023の発表です。日本漫画は『片田舎のおっさん、剣聖になる』『極限夫婦』『大蛇に嫁いだ娘』の3作品とのこと、ドメジャーじゃない線ということで、これはなかなかという作品ラインナップでした。
単純な売上指標の選定では無いとは思うのですが、この「おっさん剣聖」という作品は私も好きで、このマンなどでも投票しつつ、売れた理由のパターンをこれまで作品と比べてなかなか見つけにくい作品でして、そうした意味でも各社から注目されていることを感じる作品です。
LINEマンガのキャンペーンなのですが、「あぶないヤツら特集」「恋愛マンガ詰め合わせ特集」という2つの詰め合わせを、わざわざ並べて訴求していて、その切り口がユニークだなと思いました。きっと沢山分析をしているであろう同社のことですから、この並びにも狙いがあるのだろうなと。興味深いです。
今週のWebtoon新規参入・新たな動き
本場韓国で研修をしてWebtoonを作る。という流れなのですよね。興味深いです。記事中の写真の中に、元竹書房の竹村さんがいらして「おぉ!」ってなりましたw
GIGATOON Studioの新作ですが、ギークピクチャーズ系のギークトイ社が制作とのこと。SNS寄りの作りのようですね。
海外News & AIイラスト・画像生成関連
*以下、英語記事になります。自動翻訳するなどで記事をご覧ください。
TikTokなどでも使用される、写真をWebtoon調のイラストに変更するものですが、色んな要素がありますね。
・基本は、NAVERでのWebtoon作家のイラストを許諾を得たうえで使用
・公開1週間で2000万人が利用
・韓国語のみのサービスなのに、80%が海外から利用(マジかー)
・その間、NAVERの新規ユーザー増は約5倍弱
・フィルタリング技術で、不適切な画像を排除する機能がある
すごいですねこれ。広告費を考えると、1週間でかなりの結果を出しているのではないかと。(クリエイターの同意とれて無いんじゃないか?という記事も別にあったりしたのですが、真偽不明なので一旦この通りに)
ひどく生臭いAIの具体例ですが、韓国Webtoonスタジオが、アニメ『無職転生』の画像を下敷きにして作品を作っていると告発を受けたそうです。ひとまず、スタジオはそれに対処したようですね。この件そのものについては、真偽はまだこれからだと思いますが、こうしたことはこれから増えそうですね。
日本ではサミット話題でしたけど、そこで議論されるくらい大きなイノベーションだったんですねぇと。
PixivのAI規制、より強まったようです。技術志向の企業ですから、なかなか難しい決断を迫られているのだろうと思います。最早、やり過ごすとかそういうレベルは軽く超えてますものね。
ツール大手のアドビ「版権作品は作れない」「爆発シーンは作れない」など、AIツールに制限をかけているとのこと。
これは凄いなぁーって、今週なった新しい機能です。マンガ作画にも効きそうです。例えば2次元絵のビルを起こして動かせたら凄いですね。
これは、あーってなりますね。
記事のみ紹介
告知関連
■オンラインセミナー情報(JEPA)
Florian Rivoal氏: W3Cとは?ーーその誕生から新しい体制まで
2023年6月23日(金) 16:00〜17:30
高見真也 氏: W3C標準「EPUB 3.3」 とアクセシビリティ対応
2023年7月12日(水) 16:00〜17:30
W3Cとは、EPUBの規格を作るなどしている、グローバルの出版系団体です。
「はじめてのBL展」
会期:2023年5月20日(土)~7月16日(日)
時間:日曜日~木曜日10:00~18:00、金曜日・土曜日10:00~21:00/最終入館は閉館の30分前まで。
休館日:第1・3・5火曜日
会場:角川武蔵野ミュージアム(メイン会場:4F エディットアンドアートギャラリー、サテライト会場:4F エディットタウン-ブックストリート)
こういう楽しそうなことは、司会でもなんでもするので呼んでください。
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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。
コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。
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