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【マンガ業界Newsまとめ】 NAVERウェブトゥーンがアジアのディズニー目指す36年の計は、世界征服の半分ほどに到達 など|6/19-056

マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、短時間で情報を得られることを目指しています。

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NAVERウェブトゥーンの「36年の計」

非常に興味深い内容で、NAVERはWebtoonの事業を、12年を3回区切った36年間計画で考えているというものです。

1つ目の12年が無料のユーザー獲得期から始まり最終的な「有料化」まで
2つ目の12年が「IP拡張」ということで、制作会社やプラットフォームへの出資や買収などで現在進行中
3つ目の12年がアジアのディズニー化の仕上げ「オリジナル制作」ではないか?とのこと。

この大計は隣接国の同業としては色々と考えさせられるところです。

なぜ12年区切りで3ブロック36年なのかとか、最初からそんな計画だったのか?というのは気になるところですね。ちょうどNAVERがWebtoonを開始した2004年から、レジンが「待てば無料」を確立し、課金が成立してきた2016年までが12年かかったので、以降12×3の36年となったというところでしょうか。とすると、途中でタイムスパンは変わるかもですね。

とはいえ、確かに第1期のユーザー拡張も有料化も振り返ればしっかり行われており、最早世界に億を超えるユーザーを抱え、10億も見えてきているというNAVERです。第2期の中で、制作会社への出資や、海外企業の買収によるユーザーや原作の獲得などは、着実に見えます。

ユーザーを知り、売り場を持ち、何を作れば良いか見極めてから、第3期で最高のオリジナル作品を作るというところでしょうか。ディズニーにせよピクサーやマーベルにせよ、その本質に制作者の作家性が強く根付くところを見るに、それをNAVERがどうやって実現していこうとするのか、興味深いところではあります。作り手の裾野をいかに広げ、取り込んでいくかというあたりでしょうか。

ともかく、この記事は長いですが、Webtoonの歴史を俯瞰して読み解くには、おおもとの記事も含めて一読は必須と思いました。


大ヒット作が続々誕生「少年ジャンプ+」 編集部が明かす、面白い作品の共通点は!?

良い記事でした。

『とんかつDJアゲ太郎』は、画一的だったWebマンガの人気傾向を突き崩すエポックだったのでは?というのは確かにそういうタイミングだったかもと思いました。

そうして、少しずつネット上で支持される作品の幅を広げ、「作家の味わいや美学を感じる作品をジャンルにとらわれることなく掲載。」していったことが、現在のジャンプ+の勢いや幅広さに繋がっているのだろうなと、読み取れました。

文中、「ヒットしそうな作家」について、現在の名編集者の一人である林士平さんの言葉で抽象化した「塩梅」の話をしていますが、とても味わい深い言葉だなと思いました。ライターさんGJな記事でした。


「キャプテン翼の違法NFTが売られている」 高橋陽一さんと公式アカウントが注意喚起

今週、これはなかなか衝撃的な出来事だったのですが、Football MetaverseというNFTのサービスが、許諾無しでキャプテン翼のイラストを配したNFT商品を売り始めているというものでした。

あまりにあけすけな姿勢に対して、公式アカウントが購入をしないように呼び掛けるという事態に。無許諾でイラストを出してるわけですから、画像そのものも盗用と考えられますので、お粗末を通り越して凶悪ですね。

ただ、このFootballMetaverseなるTwitterアカウントは、公式の固定ツイートで「現状のトラブルを認識している。こうした版権には難しい問題が、、、」というツイートをしており、今後の対応が待たれるところです。

ちなみに、このサービスのメインサイトと思しき、f.ccのドメイン.ccは、オーストラリア領ココス諸島の国別ドメインとのこと、国を悪く言う気はないですが、このドメインは多くが国外のサービスによって使われているそうで、なかなかのパイレーツ感を醸し出しております。


今週のWebtoon新規参入

今週の新規参入は、楽天とトゥーンクラッカー社による参入です。楽天は電子書籍サービスkoboも持っていますので、コラボも考えられます。

なお、トゥーンクラッカー社は今年4月に設立された会社で、代表の桑田栄顕氏は、サイバーエージェント系企業のご出身のようです。


海外News

北米最大のアニメイベントAXもリアルで復活ですね。こうして、日本から海外のイベントへ出展する機会も増えてくるでしょう。


現在日本でも多数のWebtoon企業が立ち上がり、クリエイター、編集者、プロデューサー、あらゆる分野で人材が求められ採用されていますが、これはWebtoonで先行する韓国でも変わらないようです。

ここでは、KIDARI、LEZHINといった韓国の強豪企業が、勤務環境に「ワーケーション」導入するということをニュースにし、この勤務形態をもって、多国籍なスタッフが雇用されている実績があるそうです。グローバル展開対応ですね。

Webtoonにおいては韓国で起きてることは後に日本でも起きることと予想され、およそIT業界では良く起きているこの現象が、もしかすると日本の現場の未来なのかもと想像されるところです。


タイトルで「2強に委ねない」とありますが、この2強は勿論、緑と黄色の両グループでしょう。

販売プラットフォームのことを考えると、この両社の庇護は重要とは考えますが、活況のWebtoon業界新規参入の流れの中、資金を出す側も、投資を受ける側も、両社から離れた独立した動きをとりたくなる流れが出来ているというところでしょうか。


Google翻訳をかけたリンクはこちら

内容的には、MangaPlusを運営するジャンプ+の副編集長モミー籾山さんのインタビューで、日本にいる身としては新しい情報はそれほどないのですが、海外メディアの方が直接インタビューしているというのが新しいですし、MangaPlusが海外でも支持されていることがわかります。


国内News

株式会社ブックウォーカー 代表取締役社長 橋場 一郎氏が語る 「電子書籍が鍵となった出版業界の再興と面白い作品が生み出される世の中にかける想い」

国産電子書籍プラットフォーム(PF)の雄で、海外進出についても積極的なブックウォーカー社ですが、同時にKADOKAWAグループ他の電子書籍取次という機能も持っています。

出版社に近い大型PFとして、独特な道行きをとってきた同社ですが、この強さにはインタビューされている橋場社長の力も強く影響しており、橋場さんは2020年にはKADOKAWA全体の執行役員Chief Digital Officer(CDO)にもなられています。

今後の注力分野は海外であると説明されていて、ここはブレずに続けていくであろう姿勢が読み取れました。


トレンド・プロが制作を担当するドリームインキュベータのオリジナルマンガ『ビジネスプロデュース!~DI式 3000億円事業の創り方~』が連載開始!

ちょっと珍しい取組でしたので取り上げさせていただきます。

広告マンガ大手のトレンド・プロ社が、大手老舗ベンチャーキャピタル「ドリームインキュベータ(DI)」社の「ビジネスプロデュース」をテーマにマンガを制作したというものです。

私も以前所属したITベンチャーで、DIからの出資を受けておりまして、浅からぬ縁があるのでイメージがついているつもりなのですが、「ビジネスプロデュース」という分野を敢えてマンガにするというのは、ちょっと興味深いところです。

一般に、マンガは難解な内容を絵とストーリーで見せることに優れているため、難解な内容を文章やチャートなどで読んでくれない相手に対し、読みやすく、意味をわかりやすくするために使われるかなと思います。

ここでは「ビジネスプロデュース」とありますが、そうしたことに取り組む人は、企業の中では本なども当然読み、難解な情報も読み解ける人が携わるものというイメージがありました。自分にはですね。

ただ、多くの方が事業に関わっていく現在の環境では、現場は勿論意思決定者においても、こうした読み解きが重要になってきているトレンドがあるのかなととらえました。

同社が制作した伝説のB2Bマンガ『Webマーケッター瞳』を彷彿とさせる趣というか座組の重みですが、こうした分野も漫画化されていくんだなぁ、作られるからにはニーズもあるんだろうなぁと色々感慨があります。


20年前の『テニミュ』を皮切りに、多くの作品が2.5次元化されたジャンプ作品ですが、それを現ジャンプ編集長の中野さんと振り返り掘り下げている記事で、良い記事だと思います。

『ハイキュー!!』『ワールドトリガー』『バクマン。』と、工夫されているシーンの写真が入ってるのですが、これは確かに面白そうな演出ですね。



B Dash Campは、出版やコンテンツというよりは、「インターネット業界」向けの招待制カンファレンスです。そこでWebtoonテーマでセッションがひとつもうけられたようです。

LINEマンガ運営のLDF社、ebookjapan関係者に、そのホールディングカンパニーである、LINE・Zホールディングスからも一人ということでセッションが作られています。2つの大手電子書籍プラットフォームを抱えるLINE・Zホールディングが、Webtoon文脈でIT業界内でも注目されていることがわかります。


記事のみ紹介


告知

ちょっと溜まっちゃった、業界News深掘りのVoicyなのですが、Newsまとめ51回~53回の分を公開しています。今回の記事でも沢山引用させていただいている、WebtoonInsightJapanの福井美行さんにゲストで来ていただいています。

物凄く濃い目の仕上がりですが、そこを敢えてリモートワークの合間にラジオ的に聞き流していただくと良いかと思います。

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