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【北米エンタメニュースまとめ】映画「犬王」北米映画館へ、NFT市場OpenSeaがSeaportに移行、キャプテン翼の違法NFTに作者らが注意喚起

※「北米漫画市場まとめ」あらため、「北米エンタメニュースまとめ」といたしました。漫画だけでなく、アニメ・ゲーム・音楽そしてそれらを支えるテクノロジー(主にWeb3、NFT)についての北米発のニュースをまとめ、解説していきます

北米エンタメ市場のニュースなどのまとめです。拾い切れていないものもあるのでぜひリクエストお待ちしております。感想も歓迎です

業界ニュース

世界の配信アニメーション、日本番組シェアは24%で国別第2位

非常に面白い分析の記事でした。フランスの映像文化・産業の振興団体ユニフランスによる世界のSVOD(定額課金見放題)配信事業における各国別のアニメーションのシェアなどを明らかにしたものです。Netflixなどだけでなく、日本からはdアニメストアやAmebaTVなどが分析の対象になっています。

調査によれば、SVOD全体に占めるアニメーション番組の割合は全体の7・7%。このうち、日本のアニメーションは24・2%と国別ではアメリカに次いで2位です。かなりシェアが大きいですね。もちろん背景には、日本式の「約30分番組を週間で制作」という大量制作があると考えられます。

「ワンパンマン」、ソニーが実写映画化

日本のマンガは前述のアニメの原作というだけでなく実写映画にもなっています。こちらはONE先生のヒット作「ワンパンマン」の実写映画化を伝えるもの。ソニーが集英社から権利を取得し、監督が決まったといいます。ファンが楽しめるものだといいですね。

映画「犬王」、8月に北米の映画館へ

以前の記事で、「アニメ映画の海外進出が早まっている」と書きましたが、こちらの「犬王」も早い。先日日本で上映が始まりましたが、8月には北米の映画館に進出ということで、英語字幕付きのトレイラーが公開になりました。こちらは英語圏で注目されている湯浅監督というのも進出の背景にありそうです。


テクノロジーニュース

女優がクリエイターと組み、アニメや漫画を発表する企画「Armored Kingdom」立ち上げへ

こちらは米国の女優がインドのアニメ制作会社のクリエイターと組み、NFTカードゲームやアニメ、コミックを発表する一連の企画を立ち上げるというもの。いろいろなニュースでは「Web3 Entertainment」と称されています。ブロックチェーン上で様々なエンタメを立ち上げていく方針とのことで、このプロジェクトではNFTを利用したカードゲームを中心にするそうです。今後、このような座組は増えていくのだろうなと思える取り組みでした。

そもそもNFTとは?投資家向け資料がわかりやすい

とはいえ、まだ「そもそもWeb3とはNFTって何ですか?」という方も少なくないと思います。いろいろな入門書や入門記事が出ているのですが、こちらの記事の「1」の部分は端的に整理されていて読みやすくわかりやすいものでした。
もともとはファンドがWeb3やNFTへの投資を考えている投資家向けに法律面の課題などを整理したものなので後半からは難しくなるのですが、定義のところだけでも読んでみると面白いと思います。

そもそもクリエイターがなぜWeb3やNFTについて知るといいのか。それは、これらのテクノロジーが、コンテンツの発信者と受け手の関係を変えようとしているからです。それはインターネットの登場や電子書籍の浸透で、漫画家など作り手と読者のかかわり方がかわったようなものです。もちろんまだ黎明期ですし、知らなくても足元の創作は可能です。しかし、SNSや電子書籍の浸透で創作活動が影響を受けたように、これらの新しいテクノロジーの広がりが将来の創作に影響することは間違いありません。今から横目でちらちらと眺めておくことをお勧めします。

カナダの映画会社、NFT戦略のためにWeb3関連のアドバイザーを採用

https://variety.com/2022/streaming/news/bron-studios-web3-nft-1235290663/

もちろんクリエイターだけですべてができるわけではありません。こちらはカナダの映画会社がNFT関連の戦略を進めるためにWeb3に関するアドバイザーを採用したという記事です。


ベストなアニメ関連のメタバース・NFTプロジェクト一覧

特にアニメはメタバースやNFTプロジェクトと親和性が高い。こちらはOtaku向けのNFTプロジェクトの一覧です。すでに数千人を抱えるNFTプロジェクトも出てきているようです。主にはイラストレーションが中心ですがNFTのイラストを活用したアニメ、漫画をクリエイターが作れる仕組みにしているプロジェクトもあります。

NFT×CC0の可能性

NFT関連で気になるのは著作権関連です。NFTとはトークンですが、その本質は同じトークンが好きな人が購入することで「好きなものや関心が同じ人」でコミュニティを作れるところにあります。その輪を広げていくためには、いろいろなところでNFT化されたイラストなどのコンテンツが活用された方がいいのですが、各国の著作権上難しいこともあります。

この中で、NFTとCC0を組み合わせたプロジェクトが出てきています。CC0というのは、非営利団体Creative Commons(CC)が提供するCCライセンスのひとつで、クリエイターが著作権を放棄して作品を誰もが使えるコンテントとして公開するためのツールです。例えば、NFTがCC0となっていれば、著作権者の許可なくNFTの購入者は購入したNFTを改変したり、NFTをベースにアニメや漫画を作ることも可能になるわけです。

これが可能になるのは、NFTはブロックチェーン上に取引を記録したり、それぞれのNFTごとに固有の「契約」を書き込んだりすることができるからです。たとえCC0を適用していても、NFT発行時に二次使用について対価の支払いを契約に組み込んでおけば、買い手による二次使用のさいにNFT発行者に対価が支払われるという仕組みです。もちろん著作権は対価の確保のためだけにあるわけではないですが、「多くの人に自由に使ってもらいつつその自由に使われた対価を確保する」ということがNFTでは可能になるわけです。

この著作権周りについてはこちらの動画も参考になりました。


なぜBored Ape NFTは、映画やテレビ、小説に登場しているのか

こうした商用利用で一歩先が行くのが北米中心のNFTコレクションです。Bored Ape というのは高額で取引される、NFTの中でも著名なコレクションです。このNFTはNFTの買い手の商業利用を認めており、Bored Ape は映画や小説などに登場しているそうです。

NFT連動・次世代型クリエイターネットワーク「AKIBA EDEN」始動、「鉄腕アトム」活用に二次創作も可能

ちなみに、北米発ではないのですが、日本でもNFTを活用し、公式に二次創作が可能なシステムを作ろうという動きは出てきています。創作者とその創作物を活用する二次創作者の両方が楽しく活用できる仕組みになればいいと思います。

NFT電子市場大手OpenSea、「Seaport」移行へ

このNFT市場では動きも早くなっています。NFT市場大手のOpenSeaは新しい「Seaport」にプラットフォームを移すと発表しました。NFTの発行には現在、発行手数料がかかります。多くの人が発行しようとしていることでこの手数料が上昇。プラットフォームの移行でOpenSeaは手数料削減を狙うといいます。

いくつかNFTのトークを聞きに行きましたが、従来のインターネット市場に比べても移り変わりが早い。例えばある成功したNFTやWeb3関連の戦略が、1か月後には通用しなくなっているということも少なくありません。こうしたプラットフォームの移行でも、何が起こるのか見ておきたいところです。

北米発じゃないけど。。。

以下は北米発というわけではないのですが、テクノロジー周りで面白かった話題です。

芥川賞作家・李琴峰、「NFT×小説」に挑む

いろいろニュースをみていて「NFTってイラストが多いな」と思っていたのですが、とうとう小説が出てきました。これが実現すると、例えばNFTで購入して転売もしくは貸し借りしたり、その対価をクリエイターに支払ったりすることが可能になるかもしれません。

Next Commons、小説『僕らのネクロマンシー』のNFT版を発売 独自のコントラクトにより電子書籍の貸し借りも実現

と思っていたら、小説×NFTのプロジェクトはすでにいくつか出ているようです。こちらのプロジェクトは設計がすごく練られていると思いました。
過去の限定で出版された小説を2022年にNFTにすること、さらにNFTホルダーには宿泊プラン付きのリターンも用意して「この小説もしくはこの世界の提供するモノに興味がある人のコミュニティ」を積極的に作りにいこうとしているようにおもえます。(しかしこうしたNFTで出た小説の国会図書館への納本とかはどうなるのでしょうか)

VC、NFTコレクションを買収 、クリエイターと共同運営体制でコレクション運営を開始

これも面白いなと思いました。NFTはコレクションが膨大な数になりやすいのですがそれをどう管理するのかと考えたときに、VCと組むというものです。これであればクリエイターは創作に専念することもでき、コミュニティ運営や活用方法はVC側の人材が担うことができます。

「キャプテン翼の違法NFTが売られている」 高橋陽一さんと公式アカウントが注意喚起

少しツイッターの私のTLがざわついたのがこちらのニュースです。私は最初、NFT発行しようとしている企業の取り組みとして「Captain Tsubasa」とあって「おっ?」と思ったのですがどこにも集英社などの言葉がなく「もしかして怪しいプロジェクトなのか」と思っていたら、公式アカウントから否定のコメントが出ました。「キャプテン翼」の画像を勝手に使ってNFTを発行しようとしているプロジェクトだそうです。

NFTそのものはイラストのイメージさえあれば作れてしまうので、多くのプロジェクトの中には残念ながらこうした怪しいプロジェクトも紛れ込んでいます。アニメ・漫画好きとしてはこういうのに引っかからないようにしたいものです。(逆にいうと、コンテンツホルダーは、怪しいところに先に出されないうちにきちんとオフィシャルでNFT発行をどこに任せるのかを考え始めたほうがいいのかもしれません)ちなみに今回公式がきちんと否定ができたのは、「キャプテン翼」はすでにNFTの権利を持っているところがあったからです。


今週の日本発NFTプロジェクト

https://opensea.io/UNBUILT_VIRTUALGALLERY

追記

https://note.com/lovebeer73/n/nce592137c6ff

毎週参考にしている菊池健さんのマンガ業界ニュースです。NAVERウェブトゥーンの長期計画は読み応えがありました。段階ごとに強力なライバルがあらわれそうですが、強い意志を感じます。

今週はここまで。引き続きよろしくおねがいします。


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