見出し画像

【マンガ業界Newsまとめ】国産WebtoonPF・アカツキ「HykeComic」6月下旬ついにOpen!など|5/22-052

マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。SNSシェアや感想いただけることが最高の喜びでございます。

―――

縦読みフルカラーコミックアプリ「HykeComic」、2022年6月下旬の国内正式リリース決定のお知らせ

ついに国産Webtoonプラットフォーム、アカツキ社のHykeComicが正式なサービス開始を6月下旬と発表しました。運営会社㈱HykeComicを100%子会社として先だって4/1に設立したとのこと。

同社CEOの香田哲郎さんも以下のようにツイートしています。

Webtoonスタジオ参入のニュースが相次ぐ中、プラットフォームとしては外資系企業の存在感が大きく、そんな中で期待される国産プラットフォームの船出です。同社は編集部も組織し、自社製作の作品も掲載するなど、多面的な展開を目指しています。

国内の出版社・スタジオからは、大資本で海外向けのWebtoonプラットフォームとして戦う資力を持った企業として、DMM/GIGATOON、ソルマーレ/シーモアとともに、アカツキ/HykeComicについて、期待の声が上がっています。

日本国内において、アプリの戦いとはそれすなわちWeb広告による広告費の戦いになるわけですが、月間に数億~10億円と言われる国内のアプリユーザー獲得戦、更により複雑な海外のアプリユーザー獲得の戦い、どのような展開になっていくのか注目したいところです。


KAKAOエンター、tapasとRadishの合併を発表

北米のWebtoon市場覇権争いとしえては、NAVERが小説プラットフォームのWattPadを買収し、その先兵やIP獲得先としていたことに対して、KAKAOは、北米で頭角を現していたWebtoonプラットフォーム「tapas」と、Wattpadとはまた違う小説プラットフォーム「Radish」を獲得していました。

今回のニュースでは、KAKAOが既に獲得していた「tapas」「Radish」両社を合併し、Radishが買収していたウシアワールドなどのユーザーも取り込んでいく構えです。tapasやRadishは、ディズニー、DC、ワーナーなどと協業の実績があり、IPバリューチェーンを拡張していくということを述べています。

ひとつ前のニュースで、国産Webtoonプラットフォーム(PF)の海外進出に触れました。国内ではPFがこのようにおいそれと買収されたりはしませんが、海外においてはユーザー獲得やIP獲得にあたって、買収戦略が積極的に使われます。PFの海外展開にあたっては、こうした規模感、スピード感をもった世界戦略が必要となっていくことが、NAVER・KAKAOの動きを見ていると見て取れます。


「日本独自の漫画文化を守るためにも」同人誌即売会コロナ3年目の行方 関係者が課題報告、都は支援策検討

主要な国内同人誌即売会関係者と、ビックサイトなど会場の「地面」を司る東京都や政府関係者が現状報告会をしました。

同人即売会や印刷会社などの現状認識はこれまでも繰り返し発信されてきましたが、今回は東京都の支援策などがいくつか明らかになりました。

・「これまで待機列を作る場合には利用ホールの全てを借りるように案内(中略)画一的な対応は改めようと考えております」
・具体的にはイベントで利用する展示ホールに隣接するホールが当日に空いていた場合、待機列を設ける場として割引価格で利用できるようにする
・東京ビッグサイトに用意された待機場について。(中略)待機場を待機列の場として使う場合には、それに見合う格安の料金に改めたいと話した。
・有明体操競技場が今後、展示会利用できる施設になる

https://www.j-cast.com/2022/05/20437756.html?p=4

具体的な施策が並んでおり、これまでのコミュニケーションがしっかり奏功していると見ました。それと有明体操競技場の展示会利用は新しいですね。どんな感じなんでしょう。


自サバVS真サバ「ワタシってサバサバしてるから」紙版、描き下ろしマンガや新作も

『ワタシってサバサバしてるから』は、DPNブックス社が制作し、めちゃコミックをはじめ多くの電子書籍プラットフォームで大量に広告出稿された、まさに今時の作品です。

Web広告を打つと、その作品は多くの読者に読まれますが、同時にその作品を掲載するプラットフォーム(以降PF)にも新しいユーザーが流れ込みます。この流れの中で、いわゆる「Web広告映え」する作品は各PFとも重宝するわけですが、同作はそんな広告に出てくる作品の中でも、圧倒的に多量の出稿がされた作品です。

さて、そんな中で、このワタサバの紙出版がなされるわけですが、この作品が紙でも売れるかどうかは注目したいところです。以前、別のNewsまとめで説明しましたが、本作のようなボーンデジタル作品は、書店に展開した際に事前に紙雑誌などで書店員が知る機会もないため、書店認知が低く、ポップ一つ書くことから販促が難しかったりします。

しかし本作は、いくらなんでも見たことない人はいなかろうというくらい、多くの人の目に触れたうえで、満を持しての紙出版です。また一方で、認知は高いとはいえ、こうしたWeb広告はいわゆる「こする」といういい方で、十分にユーザーが広告を見たことで飽きられていることを表しますが、本作はとにかくこすられまくっています。

そういった大いにユニークな本作品に対して、紙市場がどういった反応を見せるかは少し興味深いところです。小学館の強広告出稿作品『ゴミ屋敷とトイプードル』については、なかなか売れたとのことで、楽しみです。


今週のWebtoon新規参入他

マンガアプリとしては老舗の域に入ってきているGANMAのWebtoon参入がリリースされました。「G!TOON」というレーベルになるようです。

既存作品のWebtoonリメイク版制作なども含め、2022年内に10作品、23年には30作品連載とのこと。

GANMAは、もともと既存のマンガ好き文脈とは別の路線でユーザー獲得をはかってきたところもあり、そのユーザーといわゆるWebtoonユーザーの相性は良いように思います。手堅い運営をする同社のこと、しっかり作品とユーザーを合わせて進めていくように思います。


今週のWebtoon参入もう1社です。エネルギー事業、Web3.0事業などを手掛けるロクトーナ社が参入するようです。ライブコマースに強い会社のようですね。


こちらは直接的にWebtoon参入というわけではないのですが、まず、クリーク・アンド・リバー社が「漫画LABO」というスタジオで、双葉社の異世界系ブランド「モンスターコミックスf」よりコミックスを販売するというリリースです。

このリリースを読むと「漫画LABO」はWebtoonにもいち早く取り組んでいたとありました。制作に携わっているWebtoonカオスマップからは落ちていたので、今後更新がある際にはC&RさんもWebtoonやってますということで入れさせていただきたいと考えました。


海外News

中国のエンタメ市場において、広告ビジネスの鈍化を受けて、小説を起点としたIPビジネス展開を強化するというニュースです。

日本の単行本・マンガアプリビジネス、韓国の「待てば無料」に対し、中国では小説のサブスクや従量課金ビジネスがありますが、中国テンセントも小説PF「閲文」を起点に、ゲーム化や映像化などに展開してきました。

記事にはありませんが、中国においてこのサブスクビジネスが、小説に留まらずWebtoonの動画化などにも広がっており、テンセントでもこのサブスクの料金アップなど、収益化をより強化していくようです。


国内企業のコリアマーケティング社が、Rockin’KORIA社と業務提携し、同社の作品を日本展開する際の営業、広報、ローカライズをしていくとのこと。

Rockin’KORIA社は、ウェブトゥーン・ウェブ小説のIP制作から、企画・開発・流通、また映像化やメタバース分野に至るまで幅広く事業を手掛けるコンテンツ制作企画会社で、アジア・北米、欧州などに作品を展開、今年10月にはインドでもWebtoon専門PFをオープンするとのこと。手広く、かつアグレッシブですね。


国内News

デジタルコミックがアプリや単行本で広く販売されるようになって以来、連載が終了し、プロモーションをしてない作品でも何かのきっかけで大きく売れることが増えてきました。

アニメ化などの映像化が最たるきっかけですが、例えば『ハイキュー!!』のように根強い作品の場合、こうしたグッズ展開がまた大きく、今回の「ハイキュー!! 10thクロニクル グッズ付き同梱版」については、8000円超という価格にも関わらず、その価格のままアマゾンの中で上位に出てくるというインパクトです。IPの力の作用の仕方が、SNSやネット環境の成熟期を迎え、より深く強力になってきているように感じます。

ちなみに、今回この書籍名を検索したところ、アニメイトの販売ページが一番上に出ました。作品的には、アニメイトで沢山売れそうと思いました。


コロコロが3月15日のオープンしたコロコロオンライン上の「週刊コロコロコミック」の送る異色作『ぷにるはかわいいスライム』の第1巻が7月に発売します。

ゲームなどからIP展開する作品を得意とするコロコロですが、本作はそうしたこれまでのコロコロとは一線を画す、いわば男性向け作品版の大きいお友達方面と申しましょうか。ともかく、かなり異色の作品でした。

幼年誌向け作品は雑誌の販売部数が手堅い裏返しで、単行本の販売には苦戦する傾向がありますが、この作品はコロコロ発の単行本ヒット作品となるかどうか、注目されるところです。


記事のみ紹介


告知関連

日本マンガ学会第21回大会2022/6/18土-19日開催

今回は秋田県横手市で開催。研究大会、シンポジウムともにオンライン配信を予定中とのこと。


マンガの画材<アイシースクリーン>展 6/17-10/3

先日、タモリ倶楽部でスクリーントーンが取り上げられ、浦沢直樹先生と、水瀬藍先生が、トーンの妙技と、作家の感覚を上手く表現されていました。カットも削りも早かったですね。デジタル全盛の中ですが、とても良い取組ですね。


―――追記:
以下ツイートにある、BLと不健全図書指定についてのTwitterスペースにて、稀見理都さんほかこのジャンルを長く追われている方々が、基本情報を話してくれており、勉強になります。個人的にマンガ業界の様々な情報ジャンルの中で、表現まわりが一番苦手のため、困ったら稀見さんに質問してます。(アーカイブは6/21までです)

近年、BLの不健全図書指定が続き、実に2021年の4月から東京都の青少年育成審議会に不健全図書に指定されているものは全てBLなのだそうです。男性向けと違い、成人向け指定をあまりしないBLでは、そうしたことが続けておきているわけですが、このあたりはこれから動きがあるのか。このアーカイブ音声の中では、具体的事案というよりは、審議会のことを説明してくれています。
―――

主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

このNewsまとめから数本ピックアップし、深掘り音声解説したのがこちら。

著者個人へのお問い合わせなど、以下までお願いします!


この記事が参加している募集

業界あるある

Twitterもやってます!フォロー、よろしくお願いします! https://twitter.com/t_kikuchi