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【マンガ業界Newsまとめ】めちゃコミがなぜ全国書店でフェア?ピッコマDL数3000万!など|10/09-021

マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。堅い内容だからか反応がなかなかいただけなくて、SNSシェアや感想いただけると、とても嬉しいです!

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電子書店(めちゃコミ)が、リアル書店でフェア開催というニュースです。

現在、多くのマンガアプリや電子書店が自社オリジナル作品の漫画を展開しています。そしてその作品を紙の漫画としても発刊するわけですが、出版社の雑誌編集部から生まれるマンガとの大きな違いとして、リアル書店の現場にいる書店員たちが、単行本販売前に雑誌を通して作品に触れる機会が無いという実情があります。

知らない作品がお店に入荷しても、売ろうにも中身すら知らずPOPひとつもなかなか書けません。そのため、ボーンデジタル作品はなにもしないと書店では販促などの取組がなかなかしてもらえません。(某コンビニ流通専門だった雑誌なども、書店での単行本流通で同じような課題を抱えていました)

また、多くの電子書店、アプリから販売する単行本は、様々な出版社から販売されています。例えばcomicoの場合、自社レーベルの他、アース・スターコミックス、B’s-LOG、KADOKAWA-MFCなどというように、作風や発売当時の事情で、複数の出版社で単行本を販売したりしています。これにより書店の現場では煩雑な対応に迫られたり、そもそも作品の出自を知れないということもままあり、アプリ運営者や書店員の頭を悩ませていました。

そうしたわけで、このめちゃコミの施策に限らず、電子書店やマンガアプリ発の所謂ボーンデジタル作品を紙のリアル書店で販売する場合に、こうしたリアル書店での取り組みに繋がるケースが、実は割と昔からあるわけです。

このまとめnoteを良くシェアしてくださる、TSUTAYAの仕掛け番長こと、栗俣力也さんも、マンガアプリGANMAとのコラボをTSUTAYA書店各所で展開されてきました。最初はもう6年前ということのようですね。

リアル書店員さんたちと、Web/アプリコミック企業との間は、双方にとって良い形で結びついているようです。


ピッコマのダウンロード数が3000万到達、運営開始5年半とのことです。先行するLINEマンガは2020年8月に、国内アプリ累計ダウンロード数が3000万に到達していますが、こちらは2013年のスタート以来約8年かかっているようです。


まんが王国に、韓国のHCコミックが縦カラーマンガの提供を開始したというニュースです。

日本国内には、韓国の2大エンタメ企業グループが以前より進出しています。一方のNAVERからcomico、LINEマンガが、もう一方のカカオからはピッコマが、という具合で、韓国系企業によるマンガアプリのプラットフォーム展開がなされているわけです。これに伴い、両グループが韓国で持つ作品が、それらのプラットフォームを通じて日本国内に展開しています。

このまんが王国とHCコミックの例では、それらのラインとは別の流れとして、韓国の独立系レーベルが、日本の独立系プラットフォームまんが王国に作品を出すという展開のように見えます(ちょっと自信が無いので、詳しい方に確認中です。)

これも、WEBTOON形式の作品が日本で読まれるようになったからという動きと言えましょう。


小学館の週刊少年サンデーとTikTokコラボについての記事です。具体的な作品名とそれに対する施策などについて言及があり、実際の動きが判り易いです。

筆者は以前、マンガのレビューサイト運営をしていく中で、文章だけではなく動画にてマンガを販売する取り組みを試行錯誤した時期がありました。主にYoutubeでの動きでしたが、これがなかなか効果的な手段が見つからず、当時はちょっと懲りたところがありました。

現在、TikTokやインスタなどでは小説などの紹介が実売に繋がるような事例が出始めています。ライブコマースが巨大市場となった本場中国からの流れで、日本のTik TokとECサイト作成サービスの「BASE」が提携を発表し、今後が期待されてるところです。

この辺りは、元々のユーザー層の違いからくるキャンペーンの難しさや、画像を使用しての配信となる場合の版権調整など、課題がまだまだありますが、基本的にはライブコマースなど動画を活用したビジネスが大きくなるのは、日本においてはまだまだこれからということもあり、今後の展開の期待されるところです。


9月のリアル書店のコミック売上が前年比微増とのこと。昨年の今頃と言えば、『鬼滅の刃』ブームが大ブレイク中で、店頭から作品が消えてなくなっていたころと記憶しています。

9月は『ONE PIECE』第100巻が発売され、キャンペーンも多くありました。この好調を受けてか10月には『呪術廻戦』17巻の販売にも良い動きがあるとのこと。いずれにせよ集英社週刊少年ジャンプの作品が、紙の市場においても圧倒的に牽引しているということが実売数字からわかります。


同人マンガのダウンロード販売を行うDLSiteのサービスで「クリエイターが翻訳を予め許可した作品において、作品購入者による英韓中の翻訳を許され、DLSiteの審査基準を満たせば、翻訳作品として販売される」というサービスが始まるようです。

翻訳され販売された作品は、翻訳したユーザーにも収益分配が行われるようです。こうした、主に海外のファンが日本の漫画などを翻訳し、収益を分配するモデル(マンガにおいてのスキャンレーション)は、過去に何度も試行錯誤されほとんど失敗してきました。ただ、今回の施策は、随所にそうした過去の失敗から学び、実現性を高めている形跡が見られます。

海賊版対策として有効そうな施策ですが、説明によるとユニークなのは、翻訳された作品の監修や確認を作家が行わず、プラットフォームであるDLSiteが行うということです。(予めクリエイターが「ユーザーによる翻訳を許可する」という前提で)

商業出版の場合、この確認プロセスは非常に煩雑になり、それがコストやスピード感を損なうことに繋がって、結局のところ手軽な海賊版の展開を許していた経緯がありますが、ステークホルダーの少ない同人作品ならではの、良く考えられた展開と言えます。

売上やクリエイターへの還元も期待できますが、海外のユーザーを巻き込んでの海賊版対策としても今後を期待したいところです。


メディアドゥ社が取り組んでいたVR電子書籍ビューワーが、メディアドゥ社直営の電子コミックストア「コミなび」に導入されたという記事です。先に断っておきますが、私にとってメディアドゥは古巣ですが、今回は特に何もやり取りせずに書いています。

まずこの「コミなび」ですが、これは所謂電子コミックストアで、電子書籍取次であるメディアドゥ社が持つ電子書店になります。今でこそ電子書籍取次として大手のメディアドゥですが、もともとは着メロ配信事業や、レゲェ専門サイトレゲェZIONを運営するなど、C向けサービスがデジタル事業の発祥だったりします。

コミなびは、取次をするメディアドゥが、マーケティング的なテストを行うなど、R&D的な立ち位置で運営する電子コミックサイトです。大手の電子書籍サイトに比べると、少々小ぶりな運営サイズとなります。ちなみに、私が同社内でマンガ新聞というメディアを運営していた際は、この担当部署にいました。

さて、VRで新サービスを導入する場合、スマホ対応に強いアプリやブラウザなど簡単にVR体験が出来るような取組を入り口とし、間口の広い始め方をするケースが多いです。

しかしこの取組は非常にガチで、VRゴーグルとしては普及モデルの「Oculus Quest」「Oculus Quest 2」に対応するテストアプリとして開始しています。普及モデルとは言え、物理的なデバイスを持つユーザーのみを対象とする形ですので、本気でVRに取り組もうとしている気概を感じます。

早速私も自分のアカウントでログインして使ってみましたが、使用イメージは以下の動画が良く表していました。

自分のアカウントでは、プールサイドで波の音を聴きながら、秋田書店のおすすめ作品『酒と恋には酔って然るべき』を読むと言う、何やら確かにバカンス気分な読書体験を味わえて、面白かったです。

作品に合わせた音楽、背景を味わったり、友達や同好の仲間とともに作品を見る、映像配信サービスにおけるパーティ視聴のような、新しい楽しみ方も出来そうに感じました。

今後ですが、多くの取引先に電子書籍を取り次いでいるメディアドゥ社の立場から、各書店に対して、電子書籍ビュワーの新しい形として提案し、導入を進めていくこともできるでしょう。ただ、使用感的には未だβ版の感もあり、実装に向けての改修が、今後されていく段階と読み取りました。


大阪府が出した、ポスターなどへ掲載するイラストのガイドラインの内容が、抽象的過ぎたため、漫画家で日本漫画協会の理事である赤松健さんが「いや無理だから!」と指摘したというツイートです。

先日の、松戸市におけるVTuberにおける議連の指摘もそうですが、行政などでのこうした動きの際に出てくる指摘や規制の内容などが「あまりにざっくりし過ぎていて」ちょっとそれはどうかと思います、と言ったような例が増えてるように思います。

都の青少年育成条例検討時の議事録などをのぞくと、参加されている有識者の中には、作品を制作販売する側、規制を望む声、双方の意見や立場を良く斟酌し、慎重に検討を進めているような形跡も見られました。

最近、こうした形で唐突に出てくる意見や規制の中に、一方の見方や・感情に先走り、非常に解像度の低い状態で、考え無しな結論を出しているであろうケースが散見されます。

こうして、漫画家協会の理事の赤松さんから声が上がるわけで、それはとても良いことなのですが、解像度の低いムヤミな行動を一方が取ってしまうと、単なる対立となってしまい、何も議論が進まない結果に繋がります。

一言でいうと、この大阪の例も松戸の件も、もうちょっとちゃんと考えて行動に移して欲しいなぁという事案でした。

また、これはなにも、規制を主張する側だけではなく、規制に反対する側にも、感情的、非論理的、人格攻撃など、頼むから同じ枠で括らないで欲しいと思うような主張をする人も見かけます。そういうのは、事態を悪化する以外になんの意味もありませんので、ホントやめましょう。


書き出しからして言葉の定義に疑問があり、どうかなぁという記事だったので、毎年JAPAN EXPO(EU最大の日本エンタメイベント)にも渡仏し、フランスのマンガ事情に詳しい西野由季子さんにnoteを書いてもらいました。

マンガはルーブル美術館で9番目の芸術「No9」とされ、日本のマンガの輸入などに携わるフランス人の知人などと話すと、非常に明晰に日本のマンガやアニメについて認識を持っています。

こちらの筆者さんは、エンタメの専門ではない所で、フランス政治のお話を書かれたかったのだと推察しますが、我々にとっては大切なお話でもありまして、西野さんの記事をもってアンサーとさせていただきました。

西野さんのnoteも是非「いいね」「フォロー」をお願いいたします!西野さん、ありがとう!今度お肉おごるね!

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