【マンガ業界Newsまとめ】日テレドラマ制作指針発表、『出版指標』『電子書籍ビジネス調査報告書2024』発刊、紙出版取引形態等は「全面的に見直す段階」 など|7/28-162
マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。
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日本テレビ ドラマ制作の指針発表 漫画や小説映像化の対応など
『セクシー田中さん』の一連の件で、今年5/31に日本テレビが発表した調査報告書の内容を受け「日本テレビドラマ制作における指針」が発表されました。以下、抜粋です。
これは、原文をしっかり一読されることをおすすめします。
しっかり連絡を取ることや対処することについて触れているととともに、今回の一連の報道や各社記事、同業関係者からの指摘などにもあった、
「制作期間が短すぎる」→1年前には基本合意形成へ
「若手Pひとりでは、負担が大きすぎた」→人材育成・ベテランによるサポートで対処
ということで、リリース上では、調査報告したことに対処するという流れになっていると思います。実際この方針が徹底されるとなれば、様々なことが変わっていくとは思いました。
電子コミック関連、2つの統計指標発表
『季刊 出版指標』2024年夏号「2024年上半期(1~6月期累計)の出版市場規模」
2024年上半期の出版市場データが出ています。
電子コミックの伸びは、6.5%ととなり、以下の表のようになります。
(昨年版の同じ表は、こちら。)
昨年の上半期時点で、同じ指標が8.3%でした。前年より伸び率が落ち、かつその後に2023年の前年比がさらにそれを下回っています。
今年の2024年上半期が6.5%となると、2024年全体で更なる落ち込みも考えられます。国内市場はじりじりとしてきましたね。
2023年度の市場規模は6449億円、2028年度には8000億円市場に成長『電子書籍ビジネス調査報告書2024』7月25日発売Webtoon、IPビジネス、海外展開が今後の成長の軸に
インプレスの『電子書籍ビジネス調査報告書2024』が7/25に発刊しました。
こちらでは、今年の電子書籍市場を6449億円(昨対比7.0%増)として、2028年にはこの市場が8000億円市場に成長すると予測しています。
昨年から共著させていただいておりますが、今年も関わっています。ただ今年は、昨年に加えて、飯田一史さん、まつもとあつしさん、真柴涼さんと、更に筆力のある方々に関わってもらいました。最新事情の盛り込み方や、読み物としての充実度がかなり上がったと思います。
特に、飯田さんの書いた、ウェブ小説まわりの動向と、真柴さんの最新のストア、Webtoonの状況辺りは、かなり実態に沿って充実してきているように思いました。業界の方は必読だと思います。
個人的には、第3章「電子コミック・Webtoonの最新動向」で、5. 新人育成の動向、6.今後の展望、の2項を書かせていただきました。本note読者の方には10%の割引が出来る著者割引コードをお渡しできます。お問合せ下さい。
書籍協会・野間流通委員長 取引形態等は「全面的に見直す段階」
日本取次出版協会(取協)主催の説明会で「出版配送の現状と課題~日本の物流を取り巻く環境変化~」にて、講談社代表取締役の野間省伸氏が出版業界全体が苦境にあるなかで取引形態等を「全面的に見直す段階」との認識を示しました。
日本出版取次協会としても「取次会社が出版配送維持のために出版社に協力を求めた際は、善処してほしい」と呼びかけたとのこと。昨年春あたりから全体的に切羽詰まっていた、紙書籍流通が大きく変わる節目に来ているようです。
先週の当まとめでも、一連の報道を受けて、トーハンのコンビニ配送が止まる店舗が出て来るという状況を2024年問題と紹介していしまいましたが、同社はここは直結しないものと考えているとのこと。
国内News
DMM系CLLENN社が、新コミックレーベル「コミックREBEL」を立上げ、第1弾として、シーモアとの協業作品を4作品シーモア上で先行配信とのこと。
この書き方だと、シーモア限定というレーベルということではないようですが、4作品スタートとなると、用意の規模感的には正に新しく媒体を立ち上げた並みの大きさですね。
「GANMA!」を運営するコミックスマートが、映像配信の「Hulu」と協業で、オリジナル漫画3作品を開始とのこと。
近年、映像PFや制作各社が、自社IPを作る代替として、将来の映像化を見据えて媒体と連携するパターンが増えています。
コミックスマートは新興のCPの一角でもありますが、運営10年目にしてこうしたコラボを大手PFと連携して出来て行く地力がついたという見方も出来ると思いました。『山田くんとLv999の恋をする』がヒットして、メジャーアニメ化したことが、このステップアップに繋がっていると感じます。
HykeComicもアニメ製作のWITSTUDIOとのコラボですね。
Webコミックで連載を開始するなり、何故か中南米のスペイン語/ポルトガル語圏で熱狂的な人気を博した同作ですが、そのアニメ化を米国に拠点を置くVIZ Mediaが中心に行い、本格的に直接海外展開するというのが面白いです。
媒体のヒーローズは、もともと小学館クリエイティブ社が出自で、その代表は小学館伝説の編集者白井勝也氏です。ということで、系列的には集英社と小学館の米国出先でもあるVIZMediaとの連携はうなずけるところですが、とにかくこの作品が北中南米に直輸出みたいになってる現象は、大変興味深いです。なんなのでしょうね。
ちなみに、以下から読めます。「超絶トサカに来るぜ!」です。
というお知らせが出ていまして、「『ONE PIECE』公式漫画アプリ」とリ「花より男子・花のち晴れ~神尾葉子作品が毎日読めるアプリ~」の2つの運営が停止したため、10月いっぱいで申請すれば、アプリ内通貨を払い戻ししてくれるとのこと。既に、ユーザーや所有アイテムの「ゼブラック」への移管は発表されてるのですが、ポイントはこうなるのですね。
これちょっと面白かったのが、Android端末で提供しているアプリを横断して、作品をリコメンドしてくれるようです。ならではですね。ちなみに、マンガだけではなく、ゲームやアニメなども対象の様子。
業界ニュースかというと違うやもですが、開発としての斬新さが凄いなと思いました。そうした意味では業界ニュースだなと。さすがのシーモア。
面白い所を切り口にしている記事でした。
ジャンプ+などのWeb媒体は、読切を単なる新人の練習場とはせずに、Web広告に代わる「バズると凄い沢山ユーザーを呼んでくれる宣伝素材」という新しい役割を作ることが出来ました。
そのため、読切が以前よりも増えているわけですが、そんな中で百数十ページの長編読切を任せられるのは、藤本タツキさんのような地力が高い作家さんに限られるかなぁという気もしないでもないです。
それでも、描いてみたいという実績のある漫画家がいれば、第2のチャレンジは来るかもですね。新人だと、短編連載にするかもですね。
今年のAnimeExpoも、約40万人ですね。一説によると、現在のロサンゼルスコンベンションセンターのキャパ一杯だとか。
こちらは、東京吉祥寺の武蔵野商工会議所の主催イベントです。
登壇者がルックバックの押山監督等豪華です。
ジャパンエキスポ、関西万博内で開催とのこと。なるほど。
海外News
*:海外記事も紹介します。自動翻訳など活用ください
8月にニューヨークで行われるAnime NYCでのマンガアワードが発表されました。
最優秀新人マンガ賞『 ダーウィン事変』
最優秀継続マンガシリーズ賞『血の轍』
最優秀古典マンガ新装版賞『南くんの恋人』
と、なかなかの漫画読みな顔ぶれです。面白いですね。
ネイバーウェブトゥーンの北米代表作「ロアオリンパス」が3年連続で漫画界のオスカー賞と呼ばれる米国アイズナー賞を受賞しました。
米国のWebtoonと言えば?ということで、comico当初の『ReLIFE』みたいな存在かなとは思うのですが、3年連続が強固のファンを獲得したからということなのか、代わりがなかなか出てこない問題なのか、どうなんでしょ。
タイトル訳:インドのウェブトゥーンアプリToonsutraがファニメーションの創設者を投資家兼顧問として迎え入れる
タイトル訳:ウェブトゥーン漫画アプリToonsutraがファニメーション創業者福永元氏を投資家として迎え入れる
第3国のプラットフォームも大きくなっていきますね。日本勢がインドのプラットフォームに投資というのは珍しいのでは?
米国で、WEBTOON Entertainment が上場してから少し経ちましたが、上場当初は公募価格を下回るも、それを現在は超えてくるなど株価の動きがあり、現在は複数企業がおすすめ株に、様子見のところもある。みたいな記事が続いていました。なるほど。
タイトル訳:コミコンが完全にサンディエゴに戻ってくる: これが期待されることだ
今週末にかけて開催されていた、コミコンサンディエゴですが、コロナ明けで、完全に人が戻ってきたようですね。途中挟まれてる動画が45分もあるのですが、コミコンの様子がかなりわかります。これはこれで希少かなと。
今週も、ここで紹介する記事とは違う切り口のものが多く、面白いです。
「北米でも子供のころ好きだったものを抱えたまま大人になった「kidult」が玩具メーカーのターゲットになっている」というのはなるほど。
AI・画像生成関連
AIの制作系の記事が、色々出てきていますね。
現状読む限り、基本的には現時点でマンガを作れる人じゃないとちゃんとしたの作れなさそうですが、それでも色々出来るようになってきているようですし、工程も開発されていきますね。
こうした作品も出て来たようです。リンクから無料で1話が読めます。
こちら韓国は、どちらかというと、どうAIを受け容れてもらうか?みたいな話に。
このあたり、日本の現行法だと強くは禁止してないのですが、EUの立法については、かなりAIに厳しい方針になりそうで、さてどうなるかですね。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
日本作品の文脈を持ちながら、明らかに日本作品ではない、良いですね。
記事のみ紹介
以下海外記事
告知関連
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