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【マンガ業界Newsまとめ】俺レベ第2弾8/1から韓国で連載開始、2025年問題で雑誌配送無しのコンビニ1万店、北米コミック市場前年比7%減 など|7/21-161

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。

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『俺レベ』第2弾、小説スピンオフ版『俺だけレベルアップな件:ラグナロク』8/1よりKakaopageで連載開始

*:記事は海外サイトになります。自動翻訳をご活用ください。

俺レベシーズン2の「ラグナロク」は、小説原作のスピンオフをもとに、8/1から韓国Kakaopageで連載開始のようです。現時点で、リリースには日本語版、英語版への展開には触れていません。ので、韓国語版のスタートですかね。

流れ的に、アニメが好調に終わり、Game版「Arise」も好調にダウンロード数や課金を得ているというところなので、シーズン2を海外にどういう手順でどのタイミングで展開するか考えることも多い所なのでしょうね。


トーハン 雑誌配送、1万店で終了

いわゆる書籍流通の2025年問題と言われる問題で、大手コンビニのファミマ1.6万店、ローソン1.4万店に配送する雑誌配送を、日販からトーハンに2025年3月で引き継ぐことになっていました。

この引継ぎについてトーハンより、ファミマ1万店、ローソン1万店の都合2万店までの配送しか引き受けられず、配送対象外となった店舗には、店内の専用端末から書籍を取り寄せるサービスで代替する見通しとのこと。

当のトーハンが、燃料費や人件費増などの運賃向上から、直近の決算で13億円の赤字を出したばかり。

これは端的に言うと、全国のコンビニの一部(約1万店舗)に紙のジャンプやマガジンが配送されなくなるということです。成人向け雑誌で起きたことの、第2波と申しますか。

ちょっと切り口変わりますが、ハルヒのラノベが書店で全然見当たらなくなったので、「すわ絶版?」とファンがSNSで言い出したところ、公式がその絶版を否定して「ハルヒは絶版してない」回答する場面がありました。

絶版はしてないけど、現実的にあまねく書店に流通するのは無理がある流通量だということですね。あのハルヒでも。

紙書籍流通の現状を映しますね。


2023年北米コミック市場、前年比7%減 6年ぶりにマイナス 

米国のポップカルチャービジネスのメディアICv2が、2023年の米国コミック市場をマイナス7%と発表しました。
2023年の米国コミック市場規模は18億7000万ドル、日本円で約2900億円というところです。

まず、この「米国コミック市場」というマーケットは、アメコミ、日本のコミック等が合算されたものです。そして、ICv2のデータからは、日本のコミックだけの市場規模は出てきません。根拠を持って算出するのが非常に難しいようです。

ICv2の元データや記事は以下です。(英語記事です)

また、昨年まで出していた、電子コミックの市場規模試算を2023年は出しておらず、更に言うと、2022年以前に出していた数値もこのタイミングで過去の経年データを削除しています。昨年のデータでは、電子コミック市場は全体の約7%と出していたのですが。

例年ICv2では、Circana BookScan(一般書店中心)、ComicHub(日本で言うと専門店中心)からデータを取得していましたが、このComicHubがBookScanという別のデータレポートに組み込まれた結果、データ取得が不明瞭になっているとのこと。

また、電子コミック市場については、基本は電子コミックのダウンロード購入の市場を報告していましたが、近年米国のオンライン市場は、サブスク販売が大きな部分を占めてきており、その売上は調査データからは把握が難しいということのようです。

米国のコミック市場は、フランスと並んで日本から見ると2大市場となり、このデータが把握出来ないというのは、1丁目1番地の大きな問題です。

そのため、筆者は自身が代表を務めるMANGA総研の取組の中で、こうした海外の市場規模のデータなどを把握していけるように、内外の出版社、プラットフォーム、リサーチ企業と連携し、市場データ把握が出来るように準備を進めています。

上記は、ICv2の有料記事になります。
いくつか重要な要素があったので、箇条書きします。

・「2023年の北米のコミックとグラフィックノベル市場の1桁のパーセンテージの減少は大きな勝利です」とICv2のミルトン・グリープ代表
→パンデミックでの巨大な市場の市場の成長の直後であることを考えると、大きく定着したと考えられる見方
・市場データFormatの断片化。→要はただでさえ断片化していたデータを推測を重ねて試算していたのが、より断片化したため、わかりにくくなっている。
・デジタルについては、先日上場したWEBTOON ENTERTAINMENT の目論見書にあった膨大な有料課金顧客数を見ると、今までの市場規模の把握方法では正確な情報の入手はますます困難になっている。

記事より

ミルトン・グリープさんとは、時期を見てゆっくり話をしてみたいなと思います。

先述のとおり、ICv2のデータからは、日本のコミックだけの市場規模は出てきません。ICv2のアプローチでは根拠を持って算出するのが非常に難しいようです。そうした意味では、先週のまとめでご紹介したJetroによる2023年の米国コミック市場は1500億円というデータは、一つの基準として今後も活きるかなと思います。

ここに書いた通り、元になるデータの所在が違うもののため、あくまで参考にというところですが、2023年の米国全体のコミック市場が約2900億円、日本コミックの市場が約1500億円とみると、アメコミ含めた状態で、米国全コミック市場の半分以上が日本のコミックということになりますね。興味深いところです。


KADOKAWAシステム障害関連

漏洩した情報をもとに、KADOKAWA一般社員宅に取材をしたメディアが出たとのこと。
また、このダークウェブに出た一連の情報などを「祭り」として広めたネット民が、犯罪集団の思うつぼの行動を取っていたという見方も記事になっています。


電子書籍ビジネス調査報告書2024予約開始

*:著者も関わる告知です。

今年も、インプレスの「電子書籍ビジネス調査報告書」の一部、共著させていただきました。7/25発売で、予約フォームが公開されています。今年は、飯田一史さん、まつもとあつしさん、真柴涼さんと、新しい書き手の方に加わっていただいております。

高額なリサーチ書籍です。10%の著者割引コードを持っているのですが、一般公開出来ないもので、最下段の問合せフォームやTwitterDMなどでお問合せいただければ、コードをお渡しできます。TwitterDMは開けております。


【告知】マンガ・アニメ・キャラにおけるプロデュース力と新規IPビジネス〜老舗&スタートアップが語る〜:アーカイブ配信あり

7月23日19時より、ZOOM配信(1500円)にて、プレイベントのIMART+を開催します。(アーカイブも同チケットです)

登壇者に、以下のお3方をお迎えして、司会わたくしで開催します。
・講談社クリエイターズラボ 鈴木綾一 
・東映アニメーション 植野 良太郎 
・Minto 水野 和寛 

IMART2024のこけら落としイベントでもあります。よろしくお願いしますー。


国内News

引き続き行われている海賊版サイト対策ですが、海外に向けての動きが本格的に始まっています。

STOP! 海賊版キャンペーン『ありがとう、君の漫画愛。』」が、アメリカ、イタリア、スペイン、フランスの4カ国の新聞広告に掲載とのこと。

「CODA=コンテンツ海外流通促進機構」は、海賊版サイトについて3年前の2021年に海外の捜査当局と連携した対策を始めてからこれまでの取り組み状況を説明。この3年間の被害額を1.9兆円~2.2兆円とみて、中国やブラジルで22人の摘発を行ったとのこと。


CLLENNのプレスリリースですが、シーモア、まんが王国それぞれにて、先行配信作品を開始とのこと。共同レーベルでは無くて、PF側のレーベルに提供する形ですね。


トゥーヴァージンズのWebマンガサイト・路草が、新サービス「複製原画オーダーメイド」を開始。媒体掲載作家の複製原画を購入できるサービスとのこと。単行本以外にも、推しのグッズ(複製原画)を手に入れて媒体経由で課金できる仕組みですね。ありそうで、あまりなかったですね。


エディアの1Q決算ですが、コミックでは『オルクセン王国史』の1巻が好調だったとのこと。


文脈としては、クールジャパンの施策とはパラレルで、外務省の文化外交が中東はじめ様々な国への文化振興を後押ししたとのこと。2015年に亡くなられた櫻井さんのお名前もありますね。確かに、いま櫻井さんが活躍され続けていれば、色々と違ったことになっていたこともあるように思います。


改めて、5期目の『鬼滅の刃』の人気が海外で上がってきているとのこと。


渡辺由美子さんは、私としても推しの超ベテランアニメライターさんなのですが、90年代からアニメライティングに関与されていたというのですから、すごいです。尊敬します。


今週各所で話題になったこのリサーチ資料、一読の価値ありです。こうした課題を、どのように解決していくかは、これからですね。


9月の京まふのステージ情報や取組が色々と出始めていますが、VtuberにTiktok連携にと、良い感じですね。


外国人の漫画家志望者さんを支援する仕組みは、求められているところかなと思います。ただ「トキワ荘」に関係する名称を事業名に使う際は、商標の件など慎重を期する必要があると考えるところであります。


長きに渡ってきたこちらの裁判の件、高裁で控訴差し戻しの有罪となり、弁護側は上告とのこと。なんともいえません。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

米国WEBTOONにて、SORAJIMAの『かたわれ令嬢が男装する理由』が月間販売金額で全体2位とのこと。日本のWebtoon界にとっては明るいニュースですね。AnimeExpoにもSORAJIMAの方が見えてましたが、そういうタイミングだったのですね。


Renta!も海外展開を注力する中で、英語圏、台湾、中国などに向けて直営電子書店や電子取次を展開。取次は、アムタスとの合同での動きなのですね。


海外News

*:海外記事が続きます。自動翻訳など活用ください。

タイトル訳:世界的なウェブトゥーンのリーダーである LINE WEBTOON は、ローカルのオリジナル作品をサポートし、グローバルに展開し、コンテンツ作成エンジンを加速し、「グローバル IP インキュベーター」になることを目指して 10 周年を祝い、最も没入型の漫画の饗宴「MantoON² サマー パーティー」で 10 周年を祝います 7/ 20~7/21限定登場

とのことで、LINE WEBTOON(台湾などに展開するLINEマンガの海外ブランド)も、10周年のようですね。


『ムービング』の実写が、韓国の配信系のアワード受賞とのこと。


libroさんの北米エンタメニュースまとめ、AnimeExpo系のニュースがまとまっています。

タイトル訳:「ファンタジーで育った人々」軍隊帝国からポップカルチャーまで、いかに日本のグローバルイメージは形作られたか

オーストラリアのテレビ局による、日本カルチャーのまとめです。オーストラリアから見た日本のまとめですが、良くまとまっていて視点が面白いです。


タイトル訳:サンディエゴ コミコン(CCSD) 2024 スケジュール: マーベル、DC などのパネル

7/25から週末にかけて行われるサンディエゴ-コミコンの話題がまとまって出てきています。

タイトル訳:ウェブトゥーン サンディエゴ コミコン 2024 パネル&サイン会

タイトル訳:ケヴィン・ファイギがマーベルのサンディエゴ・コミコン計画の詳細を語る

タイトル訳:サンディエゴ コミコン バッグ 2024 が登場

このショルダーのバッグかわいいですね。

Comic-Con reboot rumors resurface(サムネイル無しの記事)

タイトル訳:コミコンのリブートの噂が再浮上

サンディエゴのコミコンが、地域の夏のバケーションのオンシーズンと重なるいうこともあり、ホテルの部屋が高くて取れないそうです。ロスのAnimeExpoでも感じましたが、ホントに高いんですよね。ただまぁ、場所を変えるとかになるとどうなんでしょう?シーズンずらすとかはありそうですね。


AI・画像生成関連

「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」を公表しました(経産省)

良く出来た資料ではあるのですが、法制化に向けての論点などは文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」のほうがそのイメージかなと。あくまで、ガイドラインですね。


マンガのコマを生成するということで、興味深くはあるのですが、まだまだというところでしょうか。


クリエイターの立場で、AIを受容することについて、かなりドラスティックに考えられている方のnoteです。

「自分だけの絵を描く仕事」は奪われてない。消えたのは「クライアントの要望通りの画像を用意する仕事」だ。

noteより

この一言に尽きるのですが、それにしても自らへの客観視と、市場の状況に対する冷静な見方が凄いなと思いました。結句、現実に起きてることへの洞察も的確なのかなと思いました。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

夏ですね。


記事のみ紹介


告知関連

日時:8/9 14時~
場所:youtube 申し込み不要

7月17日(水)~23日(火)@ジェイアール名古屋タカシマヤ


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