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【北米エンタメニュースまとめ】MAN WITH A MISSIONが北米ツアー、AnimeExpo開催、テレビ朝日が米コミック出版社をグループ化

日々の北米エンタメ市場のニュースなどのまとめです。拾い切れていないものもあるのでぜひリクエストお待ちしております。感想も歓迎です。


MAN WITH A MISSIONが北米ツアー

日本のアニメ人気の追い風を受けているジャンルのひとつが日本の音楽でしょう。YOASOBIの躍進は記憶に新しいですが、「鬼滅の刃」の主題歌を歌ったMAN WITH A MISSIONも北米ツアーを成功させています。北米4都市での講演とのことで、人気を集めたもよう、8月には欧州ツアーも控えています。日本は音楽の輸入国ですが、日本の音楽もどんどん輸出されてほしいです。

AnimeExpo2024開催、日本アニメの告知も

7月4~7日に、米国・ロサンゼルスでAnimeExpo2024が開催されました。今年は日本から声優やアニメプロデューサーらの参加も多く、日本のアニメの制作に関する告知も多く行われました。KADOKAWAグループのAnimeNewsNetworkがしっかりカバーしてくれているのがうれしいです。来年は、7月3日~6日開催です。

こちらはANNがカバーしたニュースの一覧です。アニメの新作トレーラーの公表や出版社の新作発表が中心です。個人的には新選組がテーマの「青のミブロ」がトレーラーの公表をAnime Expoに選んだので、英語圏で新選組ブームがこないなかと期待しています。

劇場版映画開催を控えている「僕のヒーローアカデミア」は声優が参加するパネルディスカッションを実施しました。パネル中、北米上映も発表されました。

興味深かったのは講談社の編集者によるラウンドテーブルです。Anime Expoの参加者の中には漫画を描きたい人が多いのだなと実感しました。


こちらは北米に住むジャーナリストのDeb AokiさんがAnimeExpoにあわせて投稿されたコミコンで漫画を作ることとグッズを売ることについての投稿をまとめた記事です。コミコンはいま、アーティストの出展料などが上昇しているため、参加するアーティストはどうしても採算をとるために会場ではイラストやグッズを売ることが中心になり、日本のコミケのように漫画や小説といった冊子を売ることは少ない。一方で漫画家としてデビューし編集者に見つけてほしいのであれば、漫画作品を完成させて人目にさらすことが必要だとDeb Aokiさんは忠告しています。

こうした流れの中で現地の出版社VizMediaも仕掛けに動いています。

これまでVizMediaは日本の漫画の翻訳出版を中心に手掛けていましたが、主に北米の漫画家から短編集を募集し、単行本として販売するプログラムを始めました。現地のコンテンツをインプットしてアウトプットするクリエイターを助けようとするものです。ざっとみてみると、絵柄もアメコミ風から日本の漫画風までいろいろです。ぜひ日本語翻訳版を出してほしいです。

VTuberはいかにドジャーズが日本人のファンに近づくのを助けたか

AnimeExpoが行われている時期、同じロサンゼルスで日本のVTuberが大々的なプロモーションを行いました。舞台は米国で人気を誇る野球チーム、ドジャーズ。このLATIMESの記事は、ドジャーズと日本人のファンをつなぐ役割としてVtuberがどのような仕事をしたかをまとめています。もちろんドジャーズにとってのアピールですが、Vtuber側としては北米での存在感アピールもあったとのことです。

こんな感じで当日のチケットが発売されたようです。


テレビ朝日、米国の新興コミック出版社をグループ化

これは日本のテレビ会社としては積極的かつ前向きな動きだなと思いました。グループ化したのは、米国のコミック出版社Cincinnati Kidです。狙いはグローバル市場向けのIP創出とのこと。今後どのようなIPが出てくるのか、日本で放映されるのか期待したいです。


Peach Momokoが、マーベル・コミックで日本文化を描く理由

日本の漫画・アニメが北米で人気を集める中で、根強い人気を維持しているのがマーベル・コミックです。もちろん主なクリエイターは現地の方々ですが、そのマーベルコミックで日本を舞台にした作品を連載しているのがPeach Momoko先生です。あまり日本メディアのインタビューは少ないのですが、そんな中で貴重なインタビュー記事です。日本のホラー漫画の影響を受けているそうで、伊藤潤二先生が北米で受け入れられたのも納得です。しかもマーベル・コミックデビューのきっかけは北米のコミコン参加だそうです。

米国Z世代の4割、毎週アニメを視聴 中身は「日本」に限らず

「日本の漫画・アニメが人気」という言説に流されすぎないようにしたいと思えた記事です。もちろん北米のエンタメ市場で日本の漫画・アニメが急速に浸透していることは事実なのですが、日本で韓国や中国発の音楽やゲームがエンタメとして楽しまれているように北米の消費者にとっては受け取るコンテンツが日本発なのかどうかはそこまで意識されていないもよう。もはや韓国発、中国発のエンタメも自然に混ざってきているのです。

たとえば前述のAnimeExpoについて。以前はこのAnimeExpoには韓国Webtoonがブースなどを出しスポンサーをしていましたが、いまはその影響は少し後退しています。それは決して韓国Webtoonが北米エンタメ市場から存在感を落としているというわけではなく、むしろ存在感を高め独立のイベントを開催するようになっているからです。

例えば上述のKCON USAは、同じロサンゼルスで開催されるKpop中心のイベントです。


ドバイの漫画喫茶で「ワンピース」カードゲーム大会が開催される

ニュースそのものも面白いし広がってほしいのですがそもそもドバイに漫画喫茶があることが驚きで、すごくいってみたいです。日本の出版社、ぜひ画集とか寄付してほしい。すごくいい漫画を広める拠点ですよね。


「ファンタジーで育った人々」軍隊帝国からポップカルチャーまで、いかに日本のグローバルイメージは形作られたか

オーストリアのテレビ局、ABCによる日本のポップカルチャー特集です。グローバルのとくにZ世代がもはや日本のポップカルチャーを通じて育ちつつあることを指定しています。第二次世界大戦中にアニメがプロパガンダに使われたことにも触れつつ、手塚治虫先生の「鉄腕アトム」など、戦争の影響で生まれた漫画やアニメを解説しています。「スーパーマリオブラザーズ」など貴重なビジュアルとあわせて記事がまとまっているので、眺めているだけでも楽しいです。「これから」を考えるために「これまで」を振り返るには非常にいい記事であるのと、足元で日本の漫画やアニメが急速に広がっているのは、日本同様「日本の漫画・アニメ・ゲームで育った人」が社会の中で大きな存在感を持つようになっているという側面があることがわかります。

追加
この企画を始めるきっかけになった菊池健さんのマンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。

JETROの米国漫画市場のリポートは興味深いです。いろいろな議論のベースになっていくのだろうなと思います。個人的には早川書房のSFのコミカライズに期待しております。別プラットフォームなど通じて翻訳版も出て行ってほしいです。

菊池さんの記事でも紹介されていましたが、「hentai」はひそかに(?)グローバルな言葉になっていると思います。前面には押し出さなくても、常に読者の欲望として「hentai」があることは意識したほうがいいと思います。

今週はここまでー。引き続きよろしくお願い申し上げます。




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