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【マンガ業界Newsまとめ】『どろろ』Webtoon化は日本漫画の本気展開第1弾?など|5/29-053

マンガ業界の週1ニュースまとめです。昨今動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、忙しい皆さんがなるべく短時間で情報を得られることを目指しています。

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メディアドゥ、手塚プロダクション、コピンコミュニケーションズ、手塚治虫の傑作マンガ『どろろ』を縦スクロールコミックで現代を舞台にリメイク決定

国内電子書籍取次最大手の「メディアドゥ」
言わずと知れた老舗IPホルダー「手塚プロダクション」
大型調達間もない韓国のスタジオ大手「コピンコミュニケーションズ」
この3社が組んで、NetFlixにおける世界展開でも好調であった「どろろ」をWebtoon化、世界展開を目指すというものです。

書き出しに「メディアドゥは満を持して縦スクロールコミック業界に参入します」とあり、主体がメディアドゥであり、気合が入っていることも見て取れます。

より詳しく陣容を見ると、Webtoon制作において最も重要なポジションである脚本・絵コンテに、イ・ドギョン氏を据え、大手実力派スタジオコピンC(本国の韓国法人)によるキャラアートは、完全に現在のグローバルWebtoon市場における勝ちを取りに行っている作りになっています。

「どろろ」を知ってるはずの私でも、かろうじてこの画像のキャラの誰が誰なのか、なんとか類推できるかどうというところですね(琵琶法師キャラのグローカライズは難題でしょう)

ポイントになるのは、レジェンド手塚作品とは言え、最近2019年のアニメ化以降、NetFlix、AmazonPrimeでも高評価され、同じメディアドゥのサービス、MyAnimeList上でも、100万人を超えるファンの支持を集めている、グローバルでの現役作品がWebtoonに投入されたことです。

現在、グローバルでも通用する強力なIPを持つ国内大手出版社は、Webtoon事業においては、まだウォームアップを開始したばかりという状況です。既存の横漫画市場が未曽有の好調を維持する現在、国内のWebtoon市場が確かな成長を数字で見せない限り、本当の意味でのS級作品・S級作家のWebtoon投入はまだ先となるでしょう。という意味で、日本はまだ本気を出してない状況ともいえます。

そんな中での、グローバル現役作品「どろろ」のWebtoon展開は、海外への流通網、IPの力、制作陣と、現状最大火力水準が期待できる陣容となっています。これは、色々と環境を良く判っている人が、現状最適な座組をプロデュースした形跡が見て取れます。頼もしい。

ある意味、日本エンタメのWebtoon参入が本気で始まった第1弾とも言えそうなこの作品の動向は、今後を占う指標とも、大きな一歩となるマイルストンとも期待できるかと思います。


『少年ジャンプ+』、『ルックバック』など「読み切り」強化の理由

少年ジャンプ+が年間300本以上の読切を掲載、その目的を、新人作家の育成、ベテラン作家の試行錯誤の場とし、「新しいヒット作を作るため」と、編集長の細野氏が説明しています。

他媒体で考えた場合、そもそも年間に300本の読切を作るほどの、作家数や編集者の労力を確保するのが難しいです。ジャンプ編集部は伝統的に同規模の週刊誌編集部に比べて少ない人数で運営されているのですが、少ないのにこれは本当に凄いことです。作家にも編集者にも才能が集まっているといえるのでしょう。

また、筆者はマンガのデジタル販売の現場にいるため、別の見方もしています。例えば今日現在、ジャンプ+に掲載している読切作品トップ10本の平均ページ数は60ページ弱でした。平均60ページとして、原稿料平均1.5万円、年間300本を制作とすると、原稿料だけで年間2億7千万円の支出となります。

そして、マンガアプリは数あれど、アプリと並行して「はてな」社のWebビューアーを入れ、SNSなどでバズった作品が多くの人に目に触れる体制を構築しているのは、ジャンプ+が第1人者です。ここが他誌との大きな違いです。(単にアプリだけやってても、SNSのバズや、その後話題になった検索へ対応ができないのですね。ここ、非常に重要です。正直、業界の中でもこの重要性を理解されてない方、とても多いです。全員に説明させてほしい位です)

つまり、他のアプリは新しい読者を獲得するためにはWeb広告に多額の費用を毎月かけるか、諦めるかしかない中で、ジャンプ+は沢山の良質な読切や連載を「創る」ことに集中することにより、Web広告費戦争に参加せずに新たな読者を獲得するという独自の道を行っていると言えます。一時期のジャンプ1誌が600万部を超えて大変な力を持ってた時に近い力を、改めて持ったと言えるかもしれません。

個人的にデジタルコミック販売の現場にいる身としては、この読切攻勢は上記のような新しい読者の獲得への貢献もかなり強いと感じています。現在わたしもWeb雑誌構築の新しい取組をしています。それはまた文末に。


『HUNTER×HUNTER』作者・冨樫義博氏のツイッターは本物 開設を集英社広報に事実確認

今週の話題としてはこれですね。1週待たずに本日現在237万人以上のフォロワーがついてます。アカウントが本物かどうかでニュースになるというのが、念能力戦の駆け引きのような爆発力を感じましたね。


今週のWebtoon新規参入

大手出版社にマンガアプリを導入するベンダーLink-U社が、海外市場向けマンガプラットフォームComikey(コミッキー)に掲載するマンガ/Webtoonの募集ということで、Webtoonプラットフォームとしての募集開始ということで、プラットフォームとしての参入ですね。


こちらも単純なWebtoonスタジオ参入ではなく「Webtoonの制作をサポートするサービス」とのことです。

クリエイターのポートフォリオサービスとして4.4万人に利用されているforiioから、Webtoon制作スタジオなどにサポートを行うということですね。クリエイター募集に力を発揮してくれるということでしょうか。


国内News

ピッコマアワードで個人的に注目したいのは横マンガの部門です。今回は『東京卍リベンジャーズ』『にぶんのいち夫婦』『静かなるドン』が選ばれています。

ピッコマは、いわゆるマンガ好きではなく、ソーシャルゲーム好きなど既存のマンガファンでは無いユーザーが多いアプリと説明されます。そんな中で、マンガを読んでくれるように育ったユーザー、つまりマンガにそれほど親しんでなかったユーザーが評価した作品がこれらということなのだと理解しています。

そう考えると、ここに『静かなるドン』が入っているのは、色々と可能性を感じさせる結果ですね。


taskey社のWebtoon参入宣言後、初のWebtoon作品投入になります。この『監禁区域レベルX』は、taskey社の発端となったサービスpeepの中でも、最も話題になった作品として紹介されてきたと思いますが、それを一番最初に持ってきてリリースしており、作画面などでもかなり力を入れていることが見て取れます。

また、peepでe-Storyと言われている、いわゆるチャットノベルは、Webtoonの原作として相性が良いのではという声もあります。一般的な小説作品や漫画などは、Webtoon化する際にかなりのカスタマイズを必要とします。その点でも、この作品の今後は楽しみですね。


今週クリエイターの中でも話題になったクリスタのアップデートですが、沢山の動画やコメントがTwitterに溢れました。従前から作家にとって最適なツールは何なのかという論争が良く起こっていた「片手デバイス」にスマホを使うアップデートや、Webtoonのスマホ上でのプレビューを、直接手元のスマで行える機能など、喜びの声が沢山聞けます


この調査については一点、「気になる漫画・読みたい漫画の見つけ方」という点において「本屋で見かけて」というのが最多になっているのですが、「本屋」の中に「電子書店」が入っているのでしょうか。マンガアプリのリコメンドが別の回答になってるので、違うような気もしますが、質問の聞き方次第で変わるような気もしました。本屋に電子書店が入るなら、こんな感じですかねぇ。

いわゆる従業員マネジメントツールとして、社員同士がお互いを評価し、☆やポイントをつけて、優秀な人材を讃えるみたいなツールは昔からありますが、その評価がポイントになって、BOOK☆WALKERで本が買えるというのは非常に面白いですね。一番褒められた社員さんで、どれくらいマンガ買えるんでしょうか。


海外News

KAKAOエンターの作品『ナビレラ』が、北米漫画界のオスカー賞と呼ばれる「2022Will EisnerComicIndustryAwards)(以下EisnerAwards)」を受賞したと発表しています。

この作品が、同社が北米で買収したTAPASを通じて選ばれていることから、KAKAOも着々と北米展開を進めていることがわかります。


最近あまりなかった、いわゆるパクリ案件ですね。個人的に昔々、昭和中頃の日本のマンガ黎明期でも、他ジャンルからの模倣で漫画を作ることは多くあったかなと思います。マンガが定着することで、そうした模倣も減っていったと思うのですが、これはその市場が成熟するほど減っていくものじゃないかなと思います。


記事のみ紹介


告知関連

シニアのリアル、マンガで実感 人生への希望や悲哀

日経新聞「NIKKEIプラス1」の「何でもランキング」のコーナーにて、シニアのリアルをマンガで実感できる作品の選書をさせていただきました。

割と新しい作品が上位に来てますが、谷口ジローさんの読み切りシリーズや、『黄昏流星群』『ルームメイツ』のような、割と昔の良作も選書候補にありまして、久々に読みました。やっぱりよかったです。

新しい作品だと、コミックゼノン系の『ミカコ72歳』『さんさん録』などが個人的に良かったので、推させていただきました。


『俺だけレベルアップ』RED7代表、李ヒョンソクさん
6/1 21:50~ Twitterスペース実施

日本Webtoon界の大物、イ・ヒョンソクさんがTwitterスペースに登場されます。現代ビジネスの飯田一史さんの記事でも、かなり赤裸々にいろんなことを話されている李さんは、この過熱するWebtoon界隈の中でも、数少ない「本物」の一人です。業界関係者の方は必聴だと思います。

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現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。ヤンマガWebでコミチが開発・運営・デジタルマーケティング支援させていただいているものを、他社にも展開できるようにした仕組みです。

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