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【マンガ業界Newsまとめ】 2023年もっとも読まれたマンガ業界Newsは?各媒体も今年を振り返る記事多数 など|12/31-134

マンガ業界ニュースの週1まとめです。マンガ・アニメ業界向けイベントIMART(https://imart.tokyo/) を運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、マンガ業界の方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。

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2023年のマンガ業界News、最も読まれたのは?

今年一番読まれたのはこちらの記事。

「コンビニ雑誌棚にマンガが置かれなくなる?」という記事で、PVもSNS上でのリアクションも一番多かったです。業界外の方にも気になるお話だったからと言えるかもしれませんね。

PV数では集英社の話題の回、Webtoonの話題の回と続きます。
この辺りは、書いている私の実感とも合っていまして、今年は集英社・ジャンプの記事と、Webtoonの記事を紹介した回数が本当に多かったなと実感しています。

今週は、記事最後の告知でも紹介してる年末まとめ配信に2回出ましたが、ほぼ同じことを説明しました。おおよそ以下のようなですね。

1に、今年春ごろの紙雑誌流通の環境にトドメを刺した、コンビニ配送や取次の配送料高騰&配送量の厳しい制限の話題。それから、Web漫画雑誌の台頭へ。

2に、Webtoonの話題。「ジャンプTOON始動」「国産作品台頭」「新たな取組多数」「とはいえ、そんなに売れてる?」みたいな話から「これからどうなる?」というところですね。ここは「告知」にある配信アーカイブでしっかり話しています。

3に、集英社とジャンプの話題。決算好調や作品が結果を出していることもありますが、業界のリーダーとしてAI導入や新しい取組など沢山に挑戦し続けていることが、ニュースにも現れていました。

この辺りが、大きなトレンドだったのかなぁと2023年の業界を振り返りました。さて、来年はどうなりましょうね。まずは、1/6の「俺だけレベルアップな件」のアニメの成否辺りから始まりそうです。

年末に出させていただいた配信のアーカイブは以下です。


2023年のマンガを振り返る各種記事

さすが年末最終週ということで、今年のマンガをランキングなどで振り返る記事が沢山出ました。プラットフォームの出稿記事などもあり、それぞれの立場で色々と発信しているケースがあり、記事内容にバラエティがあります。というか、立場によって言ってることが全然違って面白いです。


国内News

コミックナタリーの15周年マンガ総選挙、1位は『金カム』!でした。
渋いですね。話題を振りまいたというか、売上以上に玄人な読み手にインパクトを与えたというか、ナタリーらしさがあるなと思います。
続くのが『モブサイコ』『銀魂』と来て「おぬしも好きよのぅ」と悪代官が出て来そうな感じですね。なるほど15周年おめでとうございます。


今回は本当に振り返るものを紹介する機会が多いですが、LINEマンガ利用者にその年を振り返れるツールです。私はトレンドを追いかけるタイプだそうで、一番課金したのは『コミュ障異世界へ行く』でした。面白いですよ。

筆者のLINEマンガ購読レポートより



pixivのガイドラインに「閲覧地域による作品の公開範囲について」の項目が追加されたというニュースです。

具体的には以下のような一文が加えられています。

Pixivガイドラインより

これを理解するには、2つの意味での「越境」を知る必要があります。

ひとつが「版権の越境」で、これは例えば、シンプルに言うとアメリカでAという作品を販売する権利を持つ会社や個人がいる場合に、これを国境を越えてWebなどで販売することには問題があるケースがある。ということです。あくまでシンプルに言うと、ですね。

もう一つが「法律的な越境」です。
例えば、学生服を着ている=十代の女の子、の胸元が見えたり、スカートが短かったり下着が見えた場合、これを「未成年者の性的な表現」と定義し、単純にそれを所持すること(=自分のスマホ・PCで見ること)を禁じる国があります。

その国に住む人が、自国外のサービスにネットでアクセスして画像を見た場合、解釈によりますが、見た本人は罰せられますが、見せた国外の企業側が罰せられることはあまりありません。現行法では、ですが。

見た人は、見たくて見たわけではないかもしれませんが、ネットに置いてあったら見てしまうかもしれません。SNSのTLとかでは、ほぼ事故ですね。
見せた側は罰せられることは少ないかもしれませんが、だから良かったという話だけでもありません。道着的に責任はあるような無いような。

この辺り、越境サービスが増えて行くとこれから課題になって行くと思います。特に、国際的な様々な経緯から、越境ユーザーが多く訪れるであろうPixivに関しては、他に先んじて考えなければならないことだったのだろうとは思います。大変ですよね、これは。

リリースでは特にそうしたことに触れてはいませんが、業界イベントのIMARTを運営する身としては、今強い関心を持っている一分野の動きでした。


「WEBオンリー」というものから説明すると、これはつまり赤ブーなどで開催される、特定のジャンルに絞り込んだ同人即売会を、Webをベースに開催するということです。

Webをベースというのは、物理的な会場は無いという意味ですが同時に例えば、以下のような制約を設けることも主催者次第で可能です。

・Web上でブースを回ったり買い物したりする時間に、開場時間・閉場時間を設け、ホントにその時間しか作品を買えないようにサイトで制限する。(物理会場と一緒)
・紙の同人誌をとらのあなに納める時間に締切を設け、その日時までに作品を納品しなければ、作品がオチたことになって特設サイト上で販売できない(物理会場と一緒)
など

この辺りは、もともと、コロナ禍でイベント開催が困難だった時期に開始したサービスというところからの踏襲ですが、同人即売会をやるからには、そうやってイベントの臨場感をだしていくということがあるのでしょう。

また、Web開催にすれば全国・全世界どこからでも、主催も来場も思いのままというのもあるでしょうね。新しい文化ですねぇ。


ちょうど、このリリースがされた日に年納めの麻雀に行ったのですが、すごいことになってますよねこれ。作品見てみたいですね。


飯田一史さんによる、文字物を中心とした年末総決算的記事です。

文字物を原作として輩出するには、長い時間と手間がかかることを、理解というか、最初から見込んでない新規参入はもたなかったというのは、本当にそうでしたね。

また、個人的に武侠ものが日本でうけないというは、これはもうしょうがないんだろうなと私も思って見てました。

エルフは耳が長くて長命で見目麗しい。ドワーフは短躯で酒好きで手先が器用、など、北欧神話→指輪物語(米国Fantasy)→ロードス島戦記・DQ・FF、と脈々と語り継がれてきた世界観が、日本のエンタメにはかなり強固に流れています。

一方、武侠に頻発する「サークル」「位階」「〇〇派」といった、判らなくもないけど、馴染みの無い概念は、やはり少し日本でこうした作品の普及を留めてしまうのだろうなと思うのですね。

それにしても『Retry』は、導入作品として独特の存在感があるので、是非読むべきとは思ったりはします。あの長い繰り返し作業を見続けていると、なんとなくかの国のエンタメにプリミティブに求められているものと世界観がわかるような気がします。あまり極端に信じないでほしいですが。


IGが「スパイファミリー」のヒットが長期化したことにより、IP収入拡大も含めて株価への好影響が長く続いているとのこと。そのうえで、キャラクターに(ビジネス的な意味での)信頼感が強い企業ほど、株式市場での評価が高くなっている現状を説明しています。

IGは衣付きの製作会社ですが、同グループ内に、WITという優秀な制作会社と、マッグガーデンというIPの根源たる出版社がおり、出版に滞留する資金を、アニメ制作にもっと回しても良いのでは?という声が出ていることも後半記事になっています。このあたりは、投資家の短期的な目線と、エンタメに関わる人間の長期的な作品を育てる視点がぶつかっているのだろうと推測されますね。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

新生なったDMMグループのCLLENNから提供されるWebtoon『レッドピルブルーゲイザー』ですが、「今際の国のアリス」の脚本で知られる渡部辰城氏が原作、映画「すずめの戸締まり」「天気の子」などを製作したSTORY inc.が企画を担当するなど、かなりの大座組で、プレスリリースや周辺記事もかなり気合が入っています。


taskeyとしては、初の海外配信とのこと。シーモア系の北米PF「MangaPlaza」で配信開始とのこと。


東北新社が、NFTとWebtoonとのこと


ビジュアルノベル『今、私たちの学校は…』Nintendo Switch版が初セールとのこと。


このMVの動き、気持ちいいというか悪いというか、面白いクリエイティブです。


コミックガンマ編集部のWebtooスタジオ「スタジオGANMA!FUKUOKA」の紹介記事です。拠点ごと綺麗に整備しているのは、RouteMのコミックスマートらしいところですね。


海外News

*:海外記事の紹介が入ります。自動翻訳などご利用ください。

タイトル訳:「非常に高い基準がある」: ソロ レベリング プロデューサーが、ソース素材から逸脱することなく創造的自由の苦労について明かす

ついに来週1/6スタートという俺レベアニメですが、プロデューサーも美麗な原作がある中で、この作品がどうなるかですねぇ。


タイトル訳:インタビュー: Wattpad WEBTOON Studios グローバル アニメーション共同責任者、シドニー ブライト氏

アニメ制作畑の人が、WattpadのWebtoonスタジオを率いて行くんですね。IP展開を考えるとわからなくもないですね。


タイトル訳:2024年に放送予定のウェブトゥーン原作の韓国ドラマ20本

良くある記事のしつらえですが、映像化の話で20本も予定が明確になってるというのは多いですねぇ。


タイトル訳:特集:東京コミコン2023グランドフィナーレ出演セレブ10名

こういう表現って、コミコン独特ですね。


タイトル訳:中東映画&映画コミコン 2024

2024年2月の中東コミコンの情報です。


タイトル訳:キリ: 「ウェブ漫画を制作するために、毎週 60 ~ 80 時間の作業を積み上げています」

ありそうな記事&動画ですが、これがフランスというのがすごいなと。


AI・画像生成関連

AIも2023年振り返りですね。一位は意外と実務的です。


電子コミックにとって、Web広告は非常に重要ですが、マンガのWeb出稿にAIが活かされたりすると、すごいことになりそうですね。


AIは有償化に向かいつつ、価格競争もこれから起こるのですね。


AIは、「人間」とか「創造」とか「クリエイター」とか、割と哲学的なところにも影響を及ぼしますね。


AIと著作権の現在地、弁護士さんのお話ですね。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

セール・キャンペーンなど

新人賞・コンテストなど

「社会人少年」って言葉を切り取りたくなりましたw


記事のみ紹介


告知関連

既に配信済みのもののアーカイブチケット販売です。
マンガ業界、出版業界、Webtoonまわりの他に、xの行く末など、かなり濃密な話が出来たと思います。
個人的には、ニュースまとめしている皆さんのニュースの集め方を聞いて議論できたのが楽しいかったです。
2024年はAIにとってかわられる前に、こっちからAIを使い倒してやるのです。


こちらもアーカイブですが、まつもとあつしさんと1対1で話したので、より深めに話しています。これはこれで、アニメの専門家の方とマンガの話をするという意味で非常に楽しかったです。


2024年1月10日(水) 16:00〜17:30
鷹野 凌 氏: 新春講演会「2024年の電子出版はどうなる?」
ZOOMによるオンライン無料イベント

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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

今年2023年11月24日~26日に、第4回IMARTというマンガ・アニメの国際カンファレンスを開催しました。
基調講演に鳥嶋和彦さんを迎え、マンガ・アニメの現場から22のセッションやピッチが行われました。

アーカイブ配信のチケット購入がこちらになります。

インプレス社『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

筆者個人へのお問い合わせなど、以下まで。


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菊池健
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