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【マンガ業界Newsまとめ】集英社増収減益と重要人事/次くる発表!/KADOKAWA統合報告書2023 など|9/3-117

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ業界向けイベントIMARTを運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、多くの方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。

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集英社、増収減益の決算と人事

集英社が決算発表、
売上高:売上高2096億8400万円(前年比7.4%増)
当期純利益は159億1900万円(同40.7%減)
とのこと。

減益とはなっていますが、本業とは別の、不動産事業による減損処理で135億円を計上しており、営業利益ベースで300億円程と言うことを考えると、本業が好調であることは間違いなさそうです。

今年から、電子コミックの売上を事業収益(IP的扱い)から、出版事業に組み入れたとのことで、その出版売上が「1274億円」とのこと。この記事だけだと、マンガの割合はわかりませんが、好調ではあるようです。

役員人事の中で、常務3人が退任と同時に3人が新任しました。集英社のマンガ部門を長年率いてきた茨木政彦氏が退任し、前週刊少年ジャンプ編集長の瓶子吉久氏が常務に就任しています。今後の集英社漫画事業の中心を担って行くのでしょう。

瓶子氏は、編集者としては『遊☆戯☆王』『忍空』『幕張』などを担当、編集長時代に『鬼滅の刃』『暗殺教室』『ヒロアカ』『ハイキュー!!』などを立ち上げるなど、編集者としても辣腕です。
『バクマン』では、当時の佐々木編集長同様、副編集長として描かれるなど、マンガ的な意味での露出も多々ありました。


『KADOKAWA統合報告書2023』公開のお知らせ

KADOKAWAが統合報告書2023を公開しました。
全体に、ガバナンス強化、組織面での話題が多くのぼっています。

海外事業について誌面が割かれており、マンガにおいては「海外拠点の拡大」、「グローバルサイマル流通」「海外初のオリジナルIP創出と世界展開」といったことに触れられています。なかなか骨太です。


「次にくるマンガ大賞2023」第1位は『生徒会にも穴はある!』『気になってる人が男じゃなかった』

今年の次来るが発表されました。
第1位はコミックス部門が『生徒会にも穴はある!』週刊少年マガジン
Web部門『気になってる人が男じゃなかった』KADOKAWAコミックエッセイ
とのこと。

Webで読者からのダイレクトな反応から順位を決める同賞は、実質的にネット上での読者の話題が大きいものが上位に入ります。そうした意味では選書担当者がいる賞に比べてネット上の世論が反映されやすく、実売にも影響が大きいイメージです。

向こう1年、受賞作品を中心に話題が広がっていくことでしょう。


国内News

コミックナタリーの15周年記念にマンガ総選挙実施とのことで、これはインパクトがありそうですね。創業者の唐木さん時代から、au系となった現在まで、その記事12万を毎日に渡って更新してきたとのこと。

このまとめでも、沢山記事を紹介させていただきましたが、やっぱり書きぶりや画像の使い方など、内容面で安定していてマンガに関しては信頼できるメディアだなと思っています。いつもお世話になっております。

連載中の作品から、過去作品まで、エントリーされた作品には広く影響があるのではないでしょうか。


林士平氏の編集論をほぼ日で聞いている形なのですが、近年出てきた漫画編集者のインタビューの中でも、随一と言えるくらい良い内容ではないでしょうか。

林さん自身がヒット編集者であることもありますが、素朴でシンプルな問いに、はっきりと即答していることで、通しで読むと編集論的にとても良い内容になってると思います。


DMM系のマンガ版元4社のうち、コミックストック、フューチャーコミックス、GIGATOON Studioの3社が統合。社名をCLLENN(シレン)と改めるとのこと。もう一社のGOT社は現状を維持するようです。

統合の目的は、各社が培ってきたノウハウや技術の集中・強化を図り、より一層読者や業界・関係者に喜んでもらえる存在を目指すとのこと。それぞれの会社にあった編集部が、統合企業内でそれぞれ別々の編集部的になっていくイメージでしょうか。

以前DMMグループで、上記企業を中心に編集者を100人採用という打ち出しをしておりました。この100人はCLLENN社に採用されていく形になるようです。


スターツ出版は恋愛電子コミックレーベル『Comic Lueur(コミックリュール)』を創刊とのこと。自社サイトBerry‘s Cafeで、試し読みと電子書店を案内しています。『Lueur』はフランス語で「きらめき」を表すとのこと。


メディアドゥ取締役副社長 COO新名新さんの手記です。

ビジネスモデル改革の成功と失敗が、電子コミックとその他紙出版の明暗を分けたとする俯瞰視。さすがの視座です。


コミケ初代代表の霜月たかなか氏、鳥嶋和彦氏、現在のコミケ準備会共同代表筆谷芳行氏の鼎談になっています。

コミケや同人誌・同人作家と、昭和平成にかけての少年ジャンプの関係性的な話題もあり、筆谷氏が少年画報社の取締役でもあることから、同人誌作家と編集者の関係性の話題にもなっています。ここはなかなか読み応えのあるところです。


記事が出たことから今週特に話題になりました。
原作小説があり、それが横漫画化によってヒット、Webtoon化を原作側が別ラインで進めたところでトラブルになったという経緯のようです。

過去、一つの原作に複数のマンガ作品が出来る例は多々ありますが、記事によるとそうしたケースとも違う認識があるようです。訴状が出ている状況とのことなので、その結果を待つところかと思うのですが、かなり複雑な経緯のようですね。


これも話題になりましたが、ちょっと現時点ではなんとも言えないですね。

例えば、現在までに作られたドラゴンボールのアニメ作品のうち、集英社の原作と関連しない映画などの映像作品はいくつかあります。ただ、そうしたものを集英社を通さず制作するというのは、これまでの経緯やステークホルダーの関係からかなり無理筋かなというのが実務的な目線かとも思います。

これ、どうなるんでしょうか。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

バンダイナムコフィルムワークスによるエコーズの完全子会社化とのこと。
エコーズ社は先日、バンダイナムコによるWebtoon制作のスタジオ機能を持ち、作品を制作していると発表しました。その次のステップとして、現経営陣を残しながらの吸収合併ですね。

お話そのものは、バンナムによるWebtoon事業強化と言う意味で、そうしたこともあるかなと思うのですが、このエコーズという社名はJoJoのスタンドから取ったと聞いておりまして、そういえばJoJoのゲームはバンナム製だったなと思ったりしました。


アニメイト系ロケットスタッフ社が運営するユーザー参加型WEBTOON新サービス「PLAYTOONS」において、WEB小説の投稿機能を追加とのこと。


スマートゲート社は、地塗りやレイヤー分けなどの単純作業や、クオリティチェック作業の効率化を実現するWebtoon制作作業効率化のツール開発に着手するとのこと。


 アミューズら3社が『英雄代理忍』というWebtoonをスタート。LINEマンガでの掲載を確認しました。


サムネのタイトル英語ですが日本語の記事です。
タイトル:「日本のマンガのほうが優れている」では絶対に失敗する。『神血の救世主』原作の江藤俊司がWEBTOON挑戦で気をつけたこと

LINEマンガで総合ランキング1位を獲得するなどしたNo9社のWEBTOON作品『神血の救世主~0.00000001%を引き当て最強へ~』の原作とネームを担当する江藤俊司氏のインタビューです。

ちょっとタイトルは強めの論調ですが、先の林さんの記事同様、実際の画像を織り交ぜてしっかり書かれているインタビューですので、関心のある方は読んでいただくと良いと思います。


最近、界隈ではすっかりこの石橋さんのツイートをみんなで追いかけている感じですが、ジュブナイル的編集者手記が始まったと思いきや、なかなかのハードコアに読ませる内容で、この編集者編は今日現在小学館に転職した後まで続いています。具体的な仕事の内容や年収など生々しいです。

個人的には、この(11)がいわゆる「スクエニ騒動」を中の人の目線で書いており、史料レベルのツイート(Post)だなと思っております。


海外News

*:英語などの記事があります。自動翻訳など活用ください。

タイトル:韓国のウェブトゥーンは日本の漫画の人気を超えるでしょうか?

タイトル:韓国のウェブトゥーンのアニメ化で視聴者数と収益が急増

ここのところ数が減ってきていた、日本漫画と韓国Webtoon比較記事なのですが、この記事は比較的落ち着いた感じで書いています。内容的な比較と言う意味ではだいぶ常識的な範囲のことを書いてると思います。

実際に日本国内である程度売れるWebtoonが出始め、先日はその市場規模も発表され、落ち着いて見回したとき、やはり国内においては横漫画が強く、Webtoonは横漫画と正面から戦うのは厳しい現状なのは、現実的なところになってきました。

一方、NAVERやカカオの動きとしては、そうした日本の状況を横目に見ながら、日本とは違うモデルや作品内容で、グローバルに市場規模を拡大していっています。2本目の記事にあるように、Webtoon原作のアニメ・実写の作品数は純増が続きます。

作品単体としてのWebtoon収益化はまだユーザー数が足りないところですが、IP展開が先に来てることから着実に市場は広がっているでしょう。

これが非常に大きくなったころ、2020年代後半くらいですかね。その頃、マンガとWentoonの関係がどうなっているかですね。この辺りは、内外の関係者みんな割と先が見えてきているので、冷静にそこに備えている感はあります。


これ、面白い話題なんですが、有料記事なのですぐ終わっちゃいます。またこうした記事があったときに書きます。


昔から誰が言ったか「新しいジャンルはまずエロから」ということが言われています。コロンビアともなるとほぼ日本から地球の裏側みたいな場所ですが、こちらの方は手堅くその戦術を取っているというお話ですね。地に足がついていて好感が持てます。


これはタイトルの通りなのですが、面白いですね。日本だと差し詰めBL専門店とかそういう感じでしょうか。


タイトル:Refrainbow のボーイフレンドがウェブトゥーンでスクロール解除 2023 年 11 月に募集

ちょっと翻訳崩れますが、要はWebtoon作品をページマンガに変えて出すとのことのようです。紙書籍化の前ステップで、そのバージョンも売るってことですかねぇ。


タイトル:『ネバーランダーズ』がコミック本で初めて権威あるCBCA賞を受賞

ピーターパンの続編的Webtoonがオーストラリアで、比較的年齢の高い人向けの賞を受賞したとのこと。Webtoonは内容次第で誰にでも読みやすいというのは確かなようですね。内容もちょっと気になります。


タイトル:NAVER Webtoon、ソウル汝矣島に300平方メートルのポップアップストアをオープン

NAVERもWebtoonでリアルショップ展開ですねー。


タイトル:韓国のスタートアップ
AI ウェブトゥーン ジェネレーター Realdraw が D.Day で最も多くの票を獲得

韓国では、AIとWebtoonを組み合わせたスタートアップが評価されてるようです。そうなりますねぇ。


AI・画像生成関連

集英社の「Comic-Copilot」が日経でも記事になっております。現在利用者は3万6千人とのこと。


一つの背景を書いたのち、その時間や季節ごとのイラストを出すみたいな機能ですね。マンガでは有効そうです。


2大画像生成系AIの比較記事です。


AI透かしですねー。


この読んでいただいているnoteですが、AI機能実装に積極的ですね。


露悪的なのは対立を生みますからねぇ。悪手ですよねぇ。
賢い人は黙ってやってそうですが。


今週のセール・キャンペーン・新人賞

↑これはとても思い切ったものでした。8/31に終了済みです

素敵なカップルや、これからカップルになりそうな素敵な出会いが描かれたBLコミックスを、みんなで“推し”ていくフェアです。とのこと。


記事のみ紹介


告知関連

インプレス社が『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

本書発刊にあたり、私からの紹介で本書を著者割引10%で販売できます。本noteご覧の皆様にはコードをお送りいたしますので、私の連絡先をご存じの方はご連絡ください。または、こちらの私の個人会社問合せフォームか、Twitter(X)のDMも解放しましたので、ご都合の良い方法でご連絡ください。

購入時に送付先など入力していただくことになりますので、私へのお問合せの際は匿名でも構いません。クローズでメッセージさえいただければOKです。主に法人向けの高価な本とはなりますが、よろしくお願いいたします。



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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。

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