【マンガ業界Newsまとめ】 2022年コミック市場0.2%増に、講談社減収減益も、Webtoonカオスマップ最後(?)の更新 など|2/26-91
マンガ業界ニュースの週1まとめです。動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、業界の方が短時間で情報を得られることを目指しています。今の気分は「ラーメン食いてぇ!」です。
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2022年コミック市場は6770億円前年比0.2%増で微増ながら4年連続成長で過去最大を更新 ~ 出版科学研究所調べ
毎年2月25日に発表される出版科学研究所の「出版月報2月号コミック市場」ですが、今年は1日ずれて2月24日(金)に発表されました。
2021年は10%の伸びであったコミック全体の市場は2022年0.7%の伸びとなりました。
近年20%超の伸びを続け、全体をけん引していた電子コミック市場は8.9%の伸びとなり、巣篭り需要やヒット作品の連発、新たな電子書店・アプリの出現などで続いていた成長が一息ついた形です。
その中心にいる出版社は、各社ともに海外展開、映像やゲームなどへのライセンス展開にかかる新部署設立など、マンガをIPとした新しい取組をスタートしており、新たな産業であるWebtoonについては新規参入企業も多く、その推計取得は困難と思われます。
また、今回のまとめの後半でも紹介する海外のWebtoon市場推計では、もとよりその市場を、映像化などのライセンス収入が前提としたものとして計上しています。このあたりの把握や基準合せは、今後の課題になると思います。
講談社、22年11月の税引き益4%減 漫画ヒットの反動
講談社減収減益というニュースですが、新たな会計基準の適用の影響もあったという記事です。新文化の記事によると、旧基準では売上は前期比増であったが、アニメなどの製作委員会に関わる会計処理に影響があり、その数値の見方が大きかったとのこと。
デジタル関連は10%増と先のニュースの電子コミック市場と同水準の増、新会計基準の影響を受けたのであろう版権収入が13.6%減、社としてリブランディングをするなどして注力している海外版権は35.2%増とのこと。前期には『進撃の巨人』『東京卍リベンジャーズ』などの連載終了があり、影響は大きかったようです。
人事としては、週刊少年マガジン元編集長の栗田宏俊氏が取締役就任と言うニュースもありました。
ウェブトゥーン業界カオスマップ2023年2月更新
コミチ社が、昨年1月から四半期ごとに4回更新したウェブトゥーンカオスマップですが、5回目の2023年2月更新版を出しました。
カオスマップの大きな画像データも取れる本サイトのほうに少し書きましたが、2022年から振り返ると、特に22年の前半は、純粋な「ウェブトゥーンスタジオ」とプラットフォームの増加がとんでもない勢いでした。後半は参入爆発も落ち着き、その参入各社から作品提供開始が増えるタイミングでした。
WebtoonといえばLINEマンガ、ピッコマ、comicoといったところが強いプラットフォームでしたが、今年1月時点で国内勢も含めた各プラットフォーム上でのWebtoon/タテスクコミックの提供状況を調べたところ、多いところで概算100ほどの出版社編集部/スタジオ/編集プロダクションなどからの作品提供が行われていることがわかりました。これが、各社どこに何が出てるのかバラバラな状態になっています。
現在、カオスマップ上で捕捉しているスタジオは69スタジオとなっているのですが、これはプレスリリースするなど自社でスタジオとして活動していることを謡っている企業や、存在が自明なところのみのカウントです。実際は、優にその2~3倍以上以上の企業/レーベルが国内で作っていそうです。
出版社編集部が様々な作品作りの中の一つとしてWebtoonを作っていたり、編プロや、場合によっては同人誌制作企業からきわめて個人に近いレーベルなど、少ないと1‐2作品で展開するケースなど多々あります。
また、この文脈で既存の横マンガをWebtoon化するケースや、同じくアダルト作品を作るなど、Webtoon展開のかたちは多岐に渡っていました。
もちろん、そうしたものをカオスマップにすることも考えたのですが、複数のプラットフォームの情報を調べ、それぞれの出方を調査した結果、既に全体的な捕捉はほぼ不可能な水準まで来ていると感じました。
そのため、恐らくこのカオスマップの更新はこれで最後か、または新たなきっかけ(何らかの方法で網羅的に調査する方法が確立するか、一人の作業ではなく、組織的に調査できる体制ができるなど)ができるまでは打ち止めになるかなぁというところです。
早速マップ公開翌日に、バンダイ/エコーズ社の大きなリリースがあって、泣きそうになりましたw
一先ず、このマップは「スタジオが乱立する2022年と言う年があった」ということの変遷の記録として、一つの資料として残してくものかなと考えております。次回版は、きっかけがあれば更新あるやもです。乞うご期待です。
国内News
電子出版制作・流通協議会、いわゆる電流協が『海賊版対策に関わる業界団体俯瞰図』を公開しました。
海賊版対策ということで、法制化や海賊版サイトへの対処、キャンペーンなどが目立ちがちですが、地域を回っての講演活動や書店まわりなどによる啓蒙活動やガイドライン作り、ABJマークの普及など地道な取り組みも含めて図解されています。すごい地道に活動されてるんですよ、皆さん。
KADOKAWAのタイ市場本格参入ということで「ブックウォーカー タイランド」をアプリとブラウザで提供開始し、数年内の単体黒字を目指すとのこと。
BOOK☆WALKERは、2015年に英語圏向け「BOOK☆WALKER Global」を、2016年に繁体字圏向け「BOOK☆WALKER台湾」の展開を行い、直近では年間流通売上が20億円超とのこと。タイは日本作品原作のアニメ配信が伸びており、有望な市場と捉えたようです。
KADOKAWAは、グループ企業でもある専門学校のバンタンと連携し、2024年4月に「KADOKAWAマンガアカデミー」および「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」を東京、大阪に開校します。
既に、台湾をはじめとしたアジアなどに「KADOKAWA Contents Academy」で教育事業を展開する同社ですが、国内にも展開と言うことになります。名誉アカデミー長に、同社元代表の井上伸一郎氏を据えたようです。
個人的に国内最強の専門学校は、TOYOTAが運営するトヨタ自動車大学校が将来の就職先への予定航路が盤石過ぎると思っているのですが、そういう感じでしょうか。
マイクロマガジン社が女性向け作品を同社サイトの「コミックライド」から移籍する形で、WEBコミック誌『コミックライドivy』を創刊。それに先立って、2/20より創刊準備号の無料配信を開始とのこと。
レジンエンターテイメント社が女性向けWeb漫画プラットフォーム『BeLTOON(ベルトゥーン)』のアプリ版提供開始とのこと。
もともとレジン社は成人向けを中心とした作品の制作・販売を行っていましたが、同レーベルは非成人の女性向けで、作品がある程度溜まってきてのアプリ展開と想像されます。
これは特にリリースなどが見当たらず、気づいていなかったのですが、ヤングマガジンでLINEを通じた新人持込、新人賞の取組が始まっており、持込数が増えているそうです。まだ、マンナビのほうにも出てないみたいですね。
日本の広告費総額が2007年以来15年ぶりに7兆円を超えたとのこと。
中身を見ると、15年前は10%を割っていたネット広告が、昨年は43.5%と5倍弱に成長、テレビ・新聞などオールドメディアの広告が漸減する中、ネット広告は変らず伸びています。
マンガ業界に引き寄せると、マンガアプリ・電子書店のネット広告がコスト増、競争激化という状況で、総体でマンガ以外との面取り合戦そのものは、未だ競争が厳しくなり続ける方針という見通しに読み取れます。
今週のWebtoonニュース
カオスマップの記事にも書きましたが、バンダイがWebtoon参入です。
その名も「バンダナコミック」とのことで、3年間で10億円投資とのこと。大きいですね。
制作を担うエコーズ社は、近年はマンガ動画制作に注力していましたが、同社のマンガ閲覧プラットフォーム「マンガハック」は、アニメ化した『王様ランキング』がバズって日の目を見る際の連載サイトでした。(同作は後にKADOKAWAから出版)
また、NHKクローズアップ現代では、自社出版のマンガが海賊版サイトにアップされたことをきっかけに、海外法務に強い弁護士さんとCloudFlare社に開示請求を行い、漫画村のサーバーがウクライナにあることまで突き止めるなど、ユニークな動きをしています。
ちなみに「エコーズ/echoes」という社名はJoJoのスタンドが由来とのこと。
昨年、親会社だったDMM社より全株式を買収して独立したテラーノベル社ですが、グロービス・キャピタル・パートナーズ社、Tikitok運営会社のリード投資家であるSIG Asia Investment, LLPなどから、6.5億円の資金調達をおこないました。
小説原作ヒットの多いWebtoon市場を引き合いに、グローバル展開を掲げています。
米国のReportOcean社調査によると、Webtoon市場規模は7年後の2030年には、620億ドルとのこと、2/26現在のドル円レート136.48円で計算すると、約8.5兆円ということになります。2010年代前半のグローバルのゲーム市場と同じくらいの規模です。超巨大ですね。というかここまでくると、眉につばが、、、
もともと、Webtoonの市場調査は、作品売上以外にライセンス収入などの関連収入もいれる傾向です。経産省によるマンガを含めたメディア産業推計で国内10兆円規模というデータがあるのですが、これは旅行や飲食など周辺の波及が期待される産業も含めてのものになります。恐らく、この調査もそうした波及効果含みのものなのかなと。
この、日本語の説明と全く同じ説明書きが英語で入ったレポート販売サイトは、こちらのようです。販売開始は2023/2/15、最低販売金額は4300ドルとのこと。わぉ。
プレスリリースを見る限り、トゥーヴァージン社のPOPTOON STUDIOとしては初出しの作品になるかと思います。台湾ホラー映画なんですね。
GIGATOON Studioの今月の新作2本は、taskey社原作とのこと。
GANMAのコミックスマート社が福岡にWebtoon制作拠点をつくるとのこと。
もともと福岡は、レベルファイブ、サイバーコネクトツーなどゲーム企業が集まる、国内ゲーム制作現場として有数の集積地で、クリエイターも集まっています。
WebtoonStudioを見回すと、このクリエイターの親和性が高いということで、ゲーム業界からの参入が相次ぎました。逆にマンガ側からゲーム業界のクリエイターにアプローチするという狙いかなと思いました。
あとは、九州の若者は進学や就職のために、福岡か大阪か東京か、どこに行くかで選んで福岡を取るケースも多いとか。『進撃の巨人』の諌山さんの専門学校もそんな形でしたね。
Webtoon制作の作業で縦長ディスプレイを使うという人は多いと聞いてるのですが、ちょっと思ってたのと違った、凄い迫力の縦長です。こういうこと?ですかね。
Pixiv社による、ウェブトゥーン制作の初心者向けコンテンツです。
セルシス社が欧州のクリエイター6000人を調査、クリエイターの中では4割がWebtoonを読んでいるとのこと。なるほど。
コミチ代表萬田のツイートなのですが、界隈で話題になっていました。
マネー現代に掲載する飯田一史さんの記事が元ネタで、それを図解したものです。色々使いやすそうなグラフです。
海外News
韓国でも映画需要でスラムダンクのマンガが人気のようです。
とのことで、中東、欧米に力をいれるとのこと。
日本も同じですが、韓国も運送費厳しい時代にはいったみたいです。
AIイラスト・画像生成関連
AIお絵描きアプリ「AIピカソ」と「面白法人カヤック」が資本業務提携です。カヤックで漫画と言うと、最近では集英社のネーム制作サービス「WorldMaker」が記憶に新しいですが、これは踏み込んだサービス提供が期待されますね。
AIイラスト作成では、モデルになる画像をAIにインプットなどしますが、そのモデルになる画像を探すために、強化版画像検索みたいな仕組みのようです。画像を上手く抜き取る仕組みもあるみたいです。ちょっと「うっ」ってなりますね。
とのこと。最早2次創作とかフェアユースといった、既存の価値観の枠に収まる問題ではないなと言う感じですね。
記事のみ紹介
告知関連
『ラーメン食いてぇ!』という、2015年講談社イブニングのマンガがありまして、2018年には映像化もしています。
個人的に、漫画読んでも映像見ても、さめざめ涙しながらお腹が空いてしまう大好きな作品なのですが、この作品のモデルでもあり、作家さんの実家(?)でもあるらしい、群馬は高崎のラーメン屋さん[清華軒]の復活プロジェクトのクラファンが、2/28までです!
そう、締切は2/28です!!
作中でも物凄い美味しそうなラーメンなので、是非復活していただいて食べに行きたいところです。皆様是非!テイストは佐野ラーメンに近いですかね。作品の内容とも深くかかわる塩ラーメンは是非食べたいと塩好きの奥さんと話しています。醤油と両方頼もうという話です。
個人的には、コジマとおばあちゃんが好きです。食欲繋がりで。
重要な役柄である放浪の料理研究家(ラーメン評論家?)役を、ラーメンズの片桐仁でキャスティングしたのはクリティカルヒットでしたね。
是非、一緒に叫びながらラーメンを食べに行きましょう。叫ばなくても良いですけども。
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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンかTwitterのフォロー、よろしくお願いします!
現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。
コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。
コミチに関するお問い合わせは、こちらまで。
著者個人へのお問い合わせなど、以下まで。
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