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【マンガ業界Newsまとめ】めちゃコミM&A確定、集英社ジャンプ人事、KADOKAWAシステム障害と株主総会 など|6/23-158

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。

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「めちゃコミ」運営会社、米投資会社のTOBに賛同

「めちゃコミ」を運営するアムタス社をグループ傘下に収めるインフォコム社の買収が、米国投資ファンドのブラックストーン社で確定しました。

帝人の持分約57%の株式を約、2757億円でブラックストーンがが買収、残りの株式を一株当たり6060円のTOBで買い付けするようです。

ブラックストーン、インフォコムからそれぞれ公式リリースが出ています。

インフォコムの親会社、帝人発表の直接リンクは、こちら。(PDF)

インフォコムの発表資料の直接リンクは、こちら。(PDF)

帝人サイドからは、ビー・エックス・ジェイ・シー・ツー・ホールディング株式会社(以降BX)による公開買い付け(TOB)という情報が出ていますが、みずほ銀行が公開する公開買い付け情報によると、同社が、ブラックストーンの買収に紐づいてTOBを行っていることが説明されていました。資料の直接リンクは、こちら。

ブラックストーンの公式発表では、同社日本法人の坂本代表が「成長可能性のある企業に投資し、市場リーダーへ成長させる(抜粋)」とあります。
また、インフォコムの黒田代表は「ブラックストーンの投資実績、データ分析力、多様なアライアンス実績に期待する(抜粋)」とコメントしています。

まずこの辺りの解釈が重要そうで、現時点で細かいことは出てはこないと思いますが、こうしたところが買収後の「めちゃコミ」の大方針となるかと思います。

要約すると、「大きな投資・アライアンスを通じ、めちゃコミを市場リーダーへ成長させる」ということですね。これはまた新しい動きになりそうです。


集英社人事、第3編集部ジャンプ関係の異動

・「週刊少年ジャンプ」の編集長は齋藤優氏(現中野博之氏と交代)
・ワンピースメディア担当の編集長に中野博之氏

この「メディア担当」というところは、元々作品担当編集者だった人がスライドして同作のメディア周りの担当をしたり等するのですが、今回は元編集長の中野氏が、作品単体のメディア担当編集長を担うということで、より積極的にメディア施策・作家との取組を強固にしていく狙いかと思います。

2017年に、当時のトキワ荘プロジェクト最後の仕事として、週刊少年ジャンプ編集長に就任したての中野博之さんのインタビューをさせていただきました。あれからもう7年ですかぁ。早いですねぇ。中野さん重責だったと思うのですが、本当にお疲れ様でした。

ジャンプ+も大きな異動がありました。

このxのポストのツリーに、細野さん、中路さん、籾山さんの異動表明ポストがぶら下がってます。皆さん軒並み7年以上の在任で、コメントも味わい深いです。

ジャンプ+で特筆すべきは、細野さんがMANGA Plus by SHUEISHAの海外専門の編集長になるというところでしょうか。今までは、ジャンプ+/MANGA Plus運営を兼ねるような形だったかと思いますが、海外向けにより注力していく体制が見て取れます。

斉藤さん、中路さんは地力のある編集者で、納得ですね。籾山さんは、引き続きジャンプ+のデジタル周りをけん引していくということなのかなと思います。皆さん、お疲れ様です!今後のご活躍を祈念しております!


KADOKAWAサイバー攻撃関連

KADOKAWA社長、総会で陳謝 サイバー攻撃の影響続く

ちょうどこのサイバー攻撃対処中に株主総会が入っていました。攻撃者の悪意を感じますね。多くの作家さんに、大きな影響を与えています。

KADOKAWA株下落 システム障害が出版事業にも影響

株価にも影響が出ているとのこと。痛いですね。

このタイミングで、Newspicks社が、内部リークとしてKADOKAWAサイバー攻撃に関する発信をしています。記事は有料なので、私も課金して一通り見たのですが、COOのメール本文がここにリークされているというのが内部から出るというのは、ちょっと理解しがたかったです。

基本的な考え方として、犯罪を犯したのはハッカーで、そのハッカー以外には知り得ないメールの情報が出ていて、これがなんらかの犯罪者側の思惑のうえに出ているものだとしたら、どうするつもりなんでしょうか。そして問題対処中の企業に対して、この記事を出すことが誰を利するのか考えて欲しいです。

この総会のタイミングで、KADOKAWAも人事が出ているようです。アニメ側でいくつか新しい動きがあったようです。気になったので調べてみたのですが、CAOの菊池剛氏は、漢字違いの同姓同名でした。すいません、凄くどうでも良いです。

ちょっと気になったのが、コミックシーモアも同じタイミングでシステム障害が起きていたのですね。電子コミック全般が狙われているようなことがあったとすると、悪寒のする時世ではあります。


国内News

ファンギルド社の新レーベル、電子書籍形態の雑誌で各電子書店で販売開始しているようです。


次に来るマンガ大賞の2024のノミネート作品が決まりました。
エントリー総数8121作品からノミネート100作品とのこと。

早速各社からも、ノミネートのリリースが複数出始めていますね。


米国時間で7/4からロサンゼルスで開催されるAnimeExpoの情報が出始めています。JETROがブース出す&調査レポート出すみたいですね。シーモアのMangaPlazaも自社IPのゲームで出展とのこと。

わたしも4日間回っている予定です。現地でお会いできる方、よろしくお願いします。


8/28-30のジャカルタクリエイティブカンファレンスへの帯同ツアーとのこと。申し込んでみようかなと思いました。


先週チェックが漏れていた記事なのですが、FANZA同人、及びU-NEXTでもVisaなどの決済が止まっているとのこと。ズルズルと進みますね、厳しい。


仮に、漫画原作ドラマを丁寧につくると「1000万円以上のコストアップ」という記事です。もうこうなると、現場でどう受け止めるかという難しいトレードオフですね。


現在のSNSや個人作品販売環境がある状態で、漫画家の収入にはどんな種類があるかというお話しなのですが、逆に言うと、出版社や各レーベルは、作家と接する場合に、ここにある選択肢と比べれらるという状況になっていると言えるのかなとも思えます。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

Link-U系のWebtoonを扱うStudio Moon6社ですが、シーモア向けに作品提供を開始とのこと。こういう流れもあるのですね。


海外News

*:海外ニュースを紹介します。自動翻訳などご利用ください。

NAEVER WEBTOON(Webtoon Entertainment)北米上場関連

タイトル訳:ネイバーのウェブトゥーンがナスダックに上場、ネイバー系列会社としては初の米国上場

まず、WEBTOONを運営するWebtoon Entertainmentの北米市場NASDAQ上場が、6/27ということで進んでいます。

時価総額で26.7億ドル(約4266億円)、調達金額で3億ドル前後(約500億円弱)くらいというところですね。色々な記事の中では、成長鈍化の話や今後の市場の話などが出ています。

タイトル訳:ネイバーウェブトゥーンが広告を見れば有料ウェブトゥーンを無料で見られる「広告報告無料」という新しいサービスを導入

この施策は先祖返りしているような気もしますが、様々な施策が出て来るところでしょうね。特に、日韓で有効だった「待てば無料」に匹敵するキラーサービスの開発が必要ですね。

タイトル訳:タパス、6,500万ドルの売上で米国ウェブトゥーンアプリ市場をリード

タパスは、直近2年で100億円程の売上があったとのこと。北米での最初の一歩を進めているところなんでしょうね。


タイトル訳:米ナスダックに上場しているネイバーウェブトゥーン(ウェブトゥーンエンターテインメント)のキム・ジュング代表取締役が、現金ボーナスとして3千万ドル(約415億ウォン)を受け取る。

とのこと。日本円で50億円くらいですね。株式そのものではなく報酬なので、そんなものかなぁと思います。


タイトル訳:ソロ レベルアップ: Arise の新ハンターが公式ウェブトゥーンでリリース

ゲーム版俺レベのAriseの新キャラがスピンオフしてWebtoon化するようですね。


タイトル訳:ウェブトゥーン展、東南アジア、ヨーロッパ6カ国を巡回

Webtoonの展示会を海外に展開するんですね。読者開拓もそうですけど、商談会みたいなことに向けて、現地出版社と顔合わせするには有効そうですよね。


タイトル訳:読書への興味を高めるインドネシアのウェブトゥーンのおすすめ

インドネシアは、Webtoonが動いている感がありますね。


タイトル訳:Netflix の新しい第 1 位番組は、最終シーズンのデビューで「史上最高のコミック本の翻案」の 1 つと評される

これ、DC原作の映像みたいですね。人気とのことで見てみたいですね。


タイトル訳:集英社、ウェブトゥーン専用の独自プラットフォーム「ジャンプトゥーン」を開始

イタリアの「ジャンプTOON」に関する記事なのですが、全体的に独特の内容で面白いです。イタリア感なのでしょうか。


韓国の「世界4大コンテンツ」国への戦略発表とあるのですが、エンタメということだと伸びてる国も多いですし、これどこで4大なんでしょう?日米は堅そうですが、他は色々ありえますよね。


いくつか参考にさせてもらいました。日本アニメの中国展開は気になりますよねー。


コミコン、北米・サンディエゴとドイツ・ライプツィヒ、それからメキシコのAniMOLEというコンベンションのページです。サンディエゴの本家コミコンもそろそろですね。


AI・画像生成関連

韓国はWebtoon中心で、職務著作物(著作権を日本の様な作家では無く、企業が持つ作品)が多いので、ある種AIは導入しやすいようにも思いますが、労働問題などからそういうわけにもいない。というあたりがやはり、落としどころが難しい所ですよね。


図書館司書さんのAI化というか、本のリコメンドですね。こういうのはよさそうですね。これはこれでAIがマンガ読んでるようですが。


ラフを線画にしてくれるとのことで、純粋にツールですね。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

ユニークなセール

今伸び出している「ショートドラマ」の原作シナリオ賞。早い!


記事のみ紹介


告知関連

日程:2024年6月22日(土)、6月23日(日)
場所:2024年6月22日(土)京都精華大学
   2024年6月23日(日)京都国際マンガミュージアム

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完全に私の趣味嗜好ですが、投票しました。
もちづきさんの感想は「ヤバい」の一言ですw

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