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長い長ーい昔話

高1の時の恋。

学校祭のクラスの仕事分担で、行灯(おみこしみたいな大きなもので、点灯させる)制作班になった私。
けっこうバラバラなその班を、見事に仕切るYくんに恋をしました。
ちょうどその頃、席替えで席が近くなった縁もあって、プリプリのCDを貸したり、好きなアーティストやテレビの話をしたりして、距離が近くなっていったんですよ。

Yくんは、イケメンと言うにはちょっと····という感じの醤油顔で、背が高く、とにかく私みたいなブサイクブー子にも優しかったな。その優しさに、勝手にドキドキして、どんどん好きになってしまったのだけど。

最初はね、グループでボーリングに行ったりしてました。私の出身高校は、琴似が近くて、その辺りで遊ぼうってなることが多かったんだけど、私は、東区に住んでいたから、遠いわけですよ。帰りとか心配してくれたり、とにかく、優しかった。

ところが、いつからか覚えていないけど、すごく大人しくて声の小さいSちゃんという女の子が、その遊ぶグループに加わるようになっていた。声が小さいから、『え、なに?』って、男子も女子も聞き返すわけ。その度に、カノジョの口元にみんな耳を近づけるから、顔が至近距離になるんだよね。あのとき、なんか、YくんとSちゃんの顔が近すぎて、複雑な思いになった気がする。それでも、Sちゃんをハブることをしようとは思わなくて、少しずつ仲良くなっていったんだけどね。

グループで遊んでいたはずが、気がついたら、YくんとSちゃんと私、っていう3人で一緒に過ごすことが増えていた。

なんで3人になったのか?
それは、私とSちゃんが仲良くなったのを見て、Yくんが、私たち女子二人がいるところに、何気なく入ってきてたんだと思う。
なぜなら、Yくんは、Sちゃんを好きだから。

グループにいた他の子に、後で言われたんだけど、私がYくんを好きなことは態度でわかってたし、YくんがSちゃんを気に入ってたのもなんとなくわかって、なんか一緒にいたくないって思わせる雰囲気だったみたい。

そして、気がついたら、クラスで話せるのは、YくんとSちゃんだけになっていた。

私も、鈍いながらも、段々一緒にいる時間が長くなると、Yくんの好きな子がSちゃんだなってわかってくる。

どうしよう。
私は思いを伝えないままでいいのかな?

明らかに、Yくんの気持ちはSちゃんに向いているとわかっているのに、おバカな私は、そんなことを考えていた。

告白しないで後悔するなら、きちんと思いを伝えて玉砕!のほうがいい、と思い、告白しました。

もちろん、玉砕。

その時のYくん。
「やっぱりね、って感じだよね。おかっちょさんの気持ち、気づいてたけど、オレはSさんが好きだしさ。オレのこと好きなら、協力してくれるよね?」

今だったら、「えーっ! 何言ってんの! 私、あなたにフラレたんですけど(その私にどの面下げて協力しろって言うのよ!)」って言うけど、その頃、恋に恋する乙女(笑)だった私は、思い違いをする。

好きだという気持ちを持っていてもいいなら、協力してあげてもいいのかもしれない。
→好きでいてもいいとは一言も言われてません。(まぁ好きでいるのも個人の自由っちゃ自由)

好きな人の幸せ、きっとそれが私の幸せにもなるだろう。
→そんな単純なモノではないことは、すぐに気づきますけどね。

というわけで、翌日、私は、ロングだった髪をバッサリ切ってボブスタイルに。いかにも『失恋しました』っぽい見かけ。
そして、Sちゃんに、「私、Yくんのことを好きだったんだけど、ふられちゃった」と告げます。
ただ、「YくんはSちゃんを好きみたいだけど、あなたはどう?」とまでは言えなかった。
フラレた女なりの私の意地でした。
まぁそんなこと言わなくても、SちゃんはYくんのこと好きそうだったし、負け戦なのはわかってました。

程なくして、二人は付き合うことになるのですが、そこからが地獄でした。

Sちゃんは、私以上に恋愛経験がなく、純粋で、イケてる女子の対極にいるような子でした。良くも悪くも素直で、擦れてなく、友達である私を大切にしてくれる、いい子でした。

だから、というべきなのか。
Yくんと二人で行くべきデートも、私も一緒に、と誘ってくるのです。私も、イロイロ言って断ろうとするんだけど、私に彼らしかクラスで仲のいい子がいないのと同様に、彼女にも他に仲のいい子がいなくて、「おかっちょちゃんも」ってやたらと言ってくれる。

仕方なくついていくと、結局は、YくんとSちゃんの仲の良いところを見せつけられて、ずっと過ごす感じ。イチャイチャしてる気はないだろうし、仲間外れにもしない。何でも3人で!ってしてくれればくれるほど、私は惨めになっていくばかり。

一番最悪だったのは、16歳の誕生日。
二人がお祝いしてあげると言って、1日中3人でいました。

かなわない片思いの相手とその彼女。
なぜ、切ない思いでこの人たちといなくちゃいけないんだろう。そう思いながら見た、あの日のプラネタリウムは世界一悲しい星空だった。

それでも、あと少しで学年があがる、クラス替えになる、みんなバラバラになれば、もうこんな思いはしないはず。その思いだけで、3月は乗り切った感じでした。

でも、神様は意地悪い。
と、その時は思ってしまったんだけど。

Yくんは、理系志望だし別のクラスになる自信があった。ただ、まさか、Sちゃんとまた同じクラスになるとは思っていなかった。また一緒だね、と純粋に喜んでくれるSちゃんの横で、私は、この地獄は終わらないのだと愕然としていた。

クラスが変わったら、Sちゃん以外にも仲のいい友達はできた。1年生の時ほど、四六時中一緒でもなくなったので、乗り切れるかもと思いかけた。

甘かった。Yくんは、毎日、放課後、Sちゃんを迎えに来るようになった。一緒に帰るため。
もう、無理だと思った。もういいと思った。

私は、Yくんに「もう十分協力したから、二人とは距離を置きたい」と言った。離れたかったのだ。

「別にわざわざ離れる必要ないでしょ。アイツもさびしがるし。」
いや。そういうところがイヤなのよ。
「おかっちょさんも、オレといられて嬉しいでしょ?」
みたいなことまで言われた。

やっと気づく。
私、この人といても、全然幸せじゃない。
絶対に!

ただ心の中で、Sちゃんとは友達でいたいな、とは思っていた。恋敵でも、それ以外の場面では、結構気が合うので、友達ではいたかった。

結果、私が選んだのは、Yくんとだけ絶交する、という道だった。

Sちゃんは、最初、すごく困っていた。「どうしても絶交なの? もう三人でどこか行ったりしないの?」とか言ってた。

でも今度は、正直に話した。
実は、Yくんをずっと好きでいたこと。
3人一緒、が、とにかくしんどかったこと。
でも、Sちゃんとはずっと友達でいたいこと。

Sちゃんは、悩んだけど、言ってくれた。
「おかっちょちゃんは、Yくんより、私を選んでくれたってことだよね」
そう思ってくれるから、きっとSちゃんが好きなんだよね。

Yくんは、しばらく文句を言ってたし、何度も話し合おうとか言われたけど、別に私、あんたの彼女じゃないし、と突き放しているうちに、諦めたのか、何も言ってこなくなった。

何年も経ってから、Sちゃんが言ってた。
「あの人、おかっちょちゃんに絶交された時にすごいへこんでてさ。その理由が『今まで人気者だったり中心にいたから、人から絶交なんてされたことない。オレがこんな目にあうなんて』とかさ。なんか、いちいち上から目線だったよね」
(Sちゃんも高校卒業前に別れてます)

結果的に、絶交してよかったというか、そんなヤツ、こっちからお断りや!

というのが、前回の苦い思い出で、ちょっと触れた、悲しい恋でした。




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