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ラノベ「お世話になっております。陰陽課です」 身固という儀式に感じてほしいのだよ~(ネタバレです)

峰守ひろかず著のラノベ「お世話になっております。陰陽課です」。4巻の4話と5話は「設定を考えた時からやりたかったストーリーでした。」と先生自身があとがきに書いていらっしゃるように、とっても面白くて何度も読んでいます。とくに、敵を倒したあと、春明が祈理に「身固」を申し出る場面がきゅんときちゃったのでご紹介します。 


ラブコメじゃないんですけど、多分

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このお話は、主人公・火乃宮祈理が京都の公務員として陰陽課に入職して、京都を1200年守り続けている陰陽師・五行春明とバディを組んで、妖怪事件に取り組む話です。京都の春夏秋冬および名所旧跡も織り交ぜながら話は進み、4巻で完結です。

各話ごといろんな妖怪が出てくる面白さだけでなく、初々しい新人公務員・祈理の成長物語にもなっています。多分、ラブコメではないのです。でも、妄想、いやいや、予感させるのですよ~。※させるのですよ~はキリンの発酵レモンサワーのCMで松たか子が「飲んでほしいのだよ~」と言う感じです


職場では上司と新人職員の関係だけど、実は祈理は春明の主!

春明は表向きは陰陽師だけど、本当は式神です。

式神というのは陰陽師が使役する鬼神で、春明は京の都を守るよう安倍晴明に呼ばれ、以来1200年守り続けているのです。

童顔、色白、180cm強、細身。多分イケメン。口と態度は悪いけど、根は真面目。なにせ主なきあとも彼の言いつけに従い、京都を1200年守り続けているんだから。

一方、祈理は千葉県出身で、短大卒で今年社会人デビューを果たしたフレッシャーズ。仕事ではいつも紺のスーツ、白いブラウス、青いふちの角張ったメガネ、セミロングの髪をアップにした(引っ詰め?)真面目な真面目な子。千葉県というところ、親近感わいちゃうな。

職場では上司と新人職員の関係の2人。でも実は、祈理は新人ながらもしっかり者で、1巻の最後のところで、春明の主になるのです。

「表向きは先生と生徒だけど、実は夫婦」とか「ごく普通の主婦だけど実は魔女」とか場面で変わる関係性、ラブコメの王道です。


身固を申し出る春明、かわいい~っ

4巻の終わり、祈理と春明はついに強敵安倍清明と藤原朝成を倒し、職員寮に戻りました。

でも、「怨念の残滓の残滓が残っている可能性があって、それから祈理を守るためには、身固を行う必要がある」と春明が言います。しどろもどろというか、つっけんどんな感じで。照れちゃって、かわいい~っ!

なんてきゅんきゅんなんだ!!!

でも、なんで照れるのか?


身固は護衛対象を呪いから守る儀式

身固は「みかため」と読みます。

陰陽師が護衛対象を強く抱きかかえ、朝まで耳もとで朝まで語り続けるという儀式です。

スプーンポジションで? 覆い被さる感じで?

(いや、それは特に書かれていなかったようだ)

いずれにせよ、守られてる感MAXです。

そして、どんな呪文を唱えるのかは分かりませんが、小さい声でつふつふと、ささやくように唱える。

端から見たらただのラブシーンじゃん!

そんなことを祈理の部屋で、2人きりで、一晩中……春明が言い出すのに照れるのもわかるような。


身固された祈理はどんな気持ちだったかな

春明は人間じゃなくて式神だから、身固で抱かれても心臓の鼓動とかは聞こえない。静かで不思議な感じがするのでは。

そして体温もない。

でも彼の周りには清浄な空気が漂っているとあったので、暑からず寒からずの心地よさがあることでしょう。

強く抱かれているから拘束感はあるでしょうが、清らかな気持ちになったのではないでしょうか。

祈理は疲れているだろうから、春明に守られているという安心感もあってぐっすり眠れちゃいそうだと思います。でも、彼女は真面目だから、春明に悪いと思って、一生懸命起きているかもなあ。

一緒に呪文唱えようとして「ちっ、調子狂う、お前は黙って休んでろ」って春明に怒られちゃったりして? うふふ


「宇治拾遺物語」に出てきます

身固は「宇治拾遺物語」の「晴明、蔵人の少将封ずる事」に出てきます。蔵人の少将に式神の呪いがかかっているので、安倍晴明が身固をして命を救ってあげる話です。蔵人の少将は若くてイケメンです! 恐怖におののく美青年に身固する安倍晴明の図。耽美的にも読めると思うので、お好みの方はぜひご一読くださいね。


多様性&1200年の年の差恋愛に発展するか?

この小説では、入所2年目となった祈理が春明やほかの仲間と花見をするのが最後の場面です。祈理と春明の息はぴったり。まだまだ未熟だけど頑張ろう、と決意を新たにしたところで、物語は終わります。

祈理は若くて、真面目でまっすぐだからみんな応援したくなる、いい子です。もっと成長を見たいです。

春明は式神として意思を通したりせず京都をただただ守ってきたけれど、4巻の終わりで、自分の気持ちを祈理に伝えたり、照れたりしていたよね。

もしかしてこの2人、恋愛に発展するんじゃあないかな。

いま恋愛も多様性の時代。人間と式神の恋愛、ぜひ読みたいところです。

年の差なんか1200歳だもんね。わくわく。


もしもドラマ化されるなら春明は古川雄輝くん

晴明は童顔、色白、180cm強のイケメン。銀髪の短髪でピンピンにハネてる。くせ毛なの?

服装は真っ赤なシャツにストライプ柄のスーツ、ネクタイは白。チンピラのような感じです。

でも、肝心なときには、黒の単衣に、金の縞の織り込まれた白の袍を重ね、腰には紅の平緒、そして豪華な飾太刀。深い黒の大口の袴もはいてます。正式な服装は凛々しい。

なので、もしもドラマ化されるなら、春明はぜひ古川雄輝くんに演じてもらいたいです。

1200年生きてるのに20歳くらいに見える。ツンだけど、ぶっきらぼうにお礼を言うときなんか、中2みたいなかわいさ。雄輝くんは30歳超えてるけど、ドラマ「ハラスメントゲーム」のとき、広瀬アリスちゃんに「赤ちゃん」とからかわれていたぐらい若いので適任だと思います。

平安装束に身を包んだ古川くん、見たいです!

身固めのシーンも彼ならば、きゅんきゅんの素敵なシーンを作り出してくれるでしょう。


夏休み、古典を読むきっかけになるぞ

「お世話になっております。陰陽課です」は、各話の扉に、関係する文献が紹介されています。

「今昔物語」や「宇治拾遺物語」、「大鏡」……、教科書に出てくるような古典がいろいろ。昔の人もこんな不思議な話とか好きだったんだ~。読んでみたいなと思いました。まずは図書館で借りてみようと思います。


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