5.6 バンコク、予防接種

今日の目標はなんと言っても予防接種。

何か情報が手に入るだけで御の字。
打てればなおよし、スケジュールも
立てれれば最高。

世界一周に行くバックパッカーが
最初に安く予防接種に行くのに
定評のあるスネークファーム。

敷地が大きく別の場所に迷い込み、
今日は休みだから明日来てねと言われ
危うく丸腰で帰るところだった。

調べた開館時間と違うなと、
もう一度探して本当のところにあり着く。

初めにドクターと相談。
世界一周、アフリカや南米にも行く。
タイには予防接種のために1ヶ月いる予定で、
なるべく早く終わらせたく、
スケジュールも相談したい。

そんなことを事前に紙に書いて
見せながら伝えると
こちらの意図を1000%理解してくれる。

手際よく、安心するように説明しながら
ワクチンごとのスケジュールを
組んでくれる。

あの京都での無意味な
トラベルワクチンの相談と
捨てワクチンで打った副反応の熱と
計6,600円は一体なんだったのか。

今日は6本打つことに。

部屋に入ると別の先生が、
ワオ、メニメニ(笑)と
たくさん打つのを笑っている。

カジュアルで楽しく、
大量注射の緊張が和らぐ。

2人で談笑しながらワクチンを
箱からどんどん出して準備していく。

「これ、黄熱病だっけ?」
「ん、こっちか!」

とか、1本打ったあとに

「利き手はどっち?」
と聞かれ、やや不安にもなる。

あと何本よ、大丈夫かい?と
励ましながら打ってくれる。

少し日本語が話せる先生の
「チョットイタイネ〜、ダイジョウブ〜」
という掛け声が可愛らしい。

6本終えて待合室に戻ると
目をつぶった妹が待っている。

注射が嫌すぎて、これからに備えて
瞑想しているのかと思いきや、
もう打ち終わってたらしい。

血の気が引き、顔面蒼白。

周りの看護師さんも心配している。

唇は小梅太夫の白塗りくらい真っ白。
気持ち悪すぎてベンチに横になろうとした瞬間、

倒れたのかと思ったのか、
担当したドクターが

「あの子助けてあげて〜!」
とひと声。

一斉に看護師さんやドクターが3.4人駆けつけ
デカい枕と血圧計を持ってきたりと大騒ぎ。

目の前にいた優しい日本人の方が
妹の体調を通訳してくれている。

あまりの顔の白さと
状況の面白さに笑いをこらえる。
日本人の方と2人で大爆笑。

院内撮影禁止なのが惜しいねぇ〜
記念に撮っておきたいね、と笑う。

看護師さんが経口補水液のような
ドリンクも持ってきてくれ、
ストローで飲ませる。

朝ごはんは食べた?と聞かれ、
「しっかり食べたし、しっかり寝た。
なのに注射が苦手すぎてこれ」
というと、看護師さんも笑っている。

真っピンクのドリンクは
甘くて吸収がよく、
脳みそに直接ストローを刺されたかのような
脳天直撃の美味しさだったらしい。

看護師さんに、妹に飲ませてあげてね、
とドリンクを渡される。

飲みたくなったら言ってねと伝え、
わたしも貧血にならないようにと
ひと口飲むと、看護師さんに、

「ちがうちがう!あなたじゃないわよ!
妹に飲ませて看病して!」

と笑いながら怒られる。

まだ顔色が悪く唇が白い。
注射が苦手という気力の問題で
貧血を起こしているのが面白く、

別の看護師さんがチラっと見に来ては
クスっと笑って帰る。
アットホームな病院。

少し横になって良くなってきた妹。
ベッドで寝たいか聞かれ、
回復はしたも、少し横になりたいと答えたら

キャスター付きの
黒いガラガラの椅子がやってきて、
ベンチをどかして妹を座らせる。
「スローリー、スローリー」
と掛け声つき。

ちょっと寝させてもらえるなら、
と軽い気持ちで寝たいと言ったら
大層に運ばれてしまう。

あまりの面白さに
日本人の女性と大爆笑。
心のシャッターに記録しておかなきゃ、と
息を殺して笑う。

待合室のみんなも心配しつつも
大袈裟さに笑っている。

妹は市中引き回しの見世物のように
椅子をみんな側に向けて20歩先のベッドへ。

しんどいけど恥ずかしい表情の
妹の顔を見てまたもや大爆笑。

少し休んでよくなると、
昼休憩もあり患者さんはいなくなっていて
助けてくれた日本人の女性も帰っていた。

彼女にしっかりお礼を伝えたかったな。
また再開したら、この光景を思い出して
1杯やりたいところ。
久しぶりに腹の底から笑った。

先生達も、心配しつつも笑っている。
みんな優しくて、アットホームで
愉快なこの病院が大好きになった。

きっとこの日のお昼の話題に
持ち切りなことだろう。

・・・

夜はずっと気になっていたレストランへ。
徒歩1分、大きい道に出て前を通る度に
美味しそうと目を付けていた。

ショーケースにずらりと並ぶ
大きな鍋に入った色とりどりの種類のカレーが
どうにも美味しそうなのである。

メニューを見てこれとこれ、と頼むも
それは売り切れ、と言われる。

また考えて頼むと
それも売り切れという。

頼めるのはどれか聞くと
2種類しか残っていなかった。

なら初めから教えてくれれば、
と思いつつもその2種類を注文。

そのうちの1つが
マッサマンカレー。

これがなんと絶品なのだ。

甘辛く、色んな香辛料と
クリーミーさのあるカレーで、
ホロホロのチキンと
ホクホクのジャガイモがごろんと入っている。

タイは1食が小さく、
特に麺はお腹に全然たまらない。

妹と2人でごはんをシェアして食べる時、
麺1つと米系にして
米は×2で各自お抱えするのを覚えた。

麺の方もカレーのスープに
生麺、その上にパリパリした麺が
トッピングされていて美味しい。

けど、こっちはあっさり味で
もう少し甘みがあってもいいかも。

なによりマッサマンカレーが絶品すぎる。

食べている間も閉め作業は
どんどん進む。

18時を過ぎた瞬間に
ぐるぐる巻いて畳んだエプロンを抱えて
お疲れした〜とお兄ちゃんが即効であがる。
他のおばちゃんが残ってようが関係ない。

ホワイトな職場。
海外の人は退勤が一瞬。

食べ終わるのに少し18時をすぎてしまって
申し訳なく思う。

残っていた従業員さんの彼らにとって
久しぶりの残業になってしまったに違いない。

そう思うと、日本の日々の
給料の発生しない15-30分の残業も
なんだったのかと思えてくる。

彼らの退勤はそのくらい清々しい帰り際なのだ。



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