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火星人星矢くんとの別れから20年……届いたカードで知る真実

20年で変わった わたしとわたしの住む地球ほしの今

あれから20年
私は38歳になった
独身生活を謳歌している


あれから……と、言うのは私の初モテ期のこと

高校3年の夏から秋にかけて
私は初めてのモテ期を体験した

何が起きたか 先輩後輩問わず
あちこちから「お誘い」がかかる時期があった
でも 私は恋愛にはまるで興味がなく
そんなお誘いもどこ吹く風
男女関係なく 高校生活を楽しく過ごしてた

ただ1人「違和感」を感じた転校生
それは違和感ではなく「恋心」だったようで……

私が自分の本当の気持ちに気がついたとき
それはすでに別れのときだった

そしてもう一点 最大の違和感とは!
そう 恋の相手は火星人だったのだ……

名前は火野原 星矢くん

彼が転校してきたのは 
地球と火星が最も接近するころだった

体育祭でのクネクネした走り方
 カラダはタコみたいなんだもんね
文化祭でのスモーク担当
 火星にはドライアイスの氷があるからね
おまけに勉強も出来るし
メールのやり取りも返信が早い!
 頭はでかいし手足は8本もあるからね

クラスに馴染むのが早く
みんなといつも一緒だったのに
私は星矢くんの気持ちにも
自分の気持ちにも気づかないでいた
星矢くんが火星人ということにいたっては
別れの日まで気づかなかった……

夏に転校してきた星矢くんは
冬にはもう いなくなってしまった
どうしてあんなに急だったのか
いまだに分からない

星矢くんの影響で
私は天文学や科学、地学が好きになり
高校を卒業すると大学に進学
理科の教員免許をとり
教師として高校に戻ってきた

専門は環境学
地球環境 そして火星環境をテーマに
研究をしている

高校生のころの私はまだ子どもで
世の中が いや 地球が直面する
危機を考えもしていなかった

だけど 確実に地球は危機に向かっていた

このままだと
地球は温暖化が進み
北極や南極の氷が溶け
この日本も沈没してしまうという噂

全世界が近隣の星への移住を模索しはじめてた

そして選ばれたのが火星だった


30代で取締役に! 火星で活躍する星矢くんの今

高校最後の文化祭で星矢くんは
スモーク担当に名乗りを上げてくれた

星矢くんの家は
ガスボンベ製造業を営む中小企業と聞いてたけど
火星人と知って納得した
火星の北極と南極はドライアイスの氷
そこから採掘し 
二酸化炭素のガスボンベを製造していた

その会社が のちに開発チームを発足
地球からの移住計画受入れのため 新事業として
新たな動力で運転可能な宇宙船を開発
この20年で一躍大企業になった!
地球と火星との宇宙旅行をサポートする子会社も立ち上げた

風の便りで聞く星矢くんの現在は
若くして取締役となり
順風満帆そのものだ
結婚をしたという話は聞かない

最近ではプラネットニュース番組で
見かけるようになった
火星人の若きエンジニアとして注目を浴びている
まだ通信が整わないのか 火星との中継映像では
たびたび画面が乱れ モザイクがかかったみたい
懐かしの 日に焼けた顔が見られないのが
ちょっぴり残念

38歳なんて男盛りじゃん?
かつての淡い恋心を思い出す
お互い いまだ独身ゆえの妙な気持ち
私 オバサンになったな 
な〜んて自虐するしかない
そういえば 今年は……そうか 
もうすぐ 地球と火星が最接近するね


仕事から帰宅してポストを見ると
見慣れないカードが入ってた

封を開けてみると 
なにこれ? ホログラム?
カードの上に浮かび上がるのは……!?


星矢くんが語る驚きの真実

そのホログラムは なんと星矢くんだった
変わらない明るさと爽やかな声で語りだす

「20年ぶり!
 元気にしていましたか?

 俺さ 高校のころキミに
 とっておきのマシーンを
 見せてあげるって言ったよね

 色々話せないこともあったけど
 俺の家の工場は火星にあってね

 あのころから俺 実は宇宙船を作ってたんだ
 当時の地球のロケットだと 
 火星まで片道300日近くかかってた

 でも 俺があのとき乗ってたマシーンは
 そうだな…… 
 火星から地球まで5〜6時間ってとこだったかな
 まだちょっと遠かったから
 月に下宿して毎日高校通ってたんだ!
 片道2分 だから俺 遅刻したことなかったろ?

 でもね ついに出来たんだよ
 もっと早く走るマシーン
 光の速さで走行可能なマシーンがね!
 火星から地球までなんと4分半!!」


「あのさ……
 20年前 俺がキミと出逢ったのは
 偶然じゃなかったんだ

 外部には出せない情報なのだけど……
 世界中から優先順位が高い順に
 地球から火星への移住計画が進んでる

 それは地球人の移住計画チームが選別して……
 20年前から優先移住は秘密裏に始まってたんだ

 地球人はキミの能力を知らないから
 キミはこの先選ばれない

 だけど キミにはキミ自身が気づいていない
 特殊な能力があるんだよ

 だから俺はキミを迎えに行ったんだけど……
 キミに避けられちゃったんだ

 はははっ 俺が急ぎ過ぎたんだ
 火星に連れて戻るという使命より
 キミのことが好きになっちゃって

 ……おっと
 こんなことを話すつもりじゃなくて!

 今のキミなら地球の危機も分かるよね?
 火星にくれば キミの能力も
 キミ自身が知ることになるはず

 来月
 地球と火星が最も近づく日に
 キミを迎えに行く

 俺と一緒に火星にきて欲しい」


えっ! えええええー!!?

ちょっと待って?
家族で工場を営んでたことは知ってたけど
あの頃から火星に工場があったってこと??
宇宙船作ってたって……
18歳からエンジニアだったの?
月に下宿?? 何を言ってるの?
光速で飛ぶ宇宙船!?
地球に来た目的は何だったの??

曲がりなりにも理科の教員となった私
だけど全然理解が追い付かない……
なんなの? 私の特殊能力って?
なんで星矢くんに分かるの?

それよりなにより

星矢くんが……

来月 私を迎えにくる!!!?





お読みいただきありがとうございました🕊
いつの日かまた出せたら良いなと思っています✨
次回作は思案中😌


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