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【ショートショート】詐欺グループの美女

静寂を破る放屁の音が部屋中に響き渡った。
月明かりが照らす部屋の中には男が一人倒れていた。


俺の名は「スカンク」
闇の組織FARTの殺し屋だ。

誰も俺の素顔を知らない。
常にガスマスクをつけているのだ。
なぜなら俺の屁は一瞬で人をあの世へ送れるからだ。

俺の親はあまりの俺の屁の臭さに
産まれたての俺をマフィアに売って逃げたと聞く。

俺は殺され臓器を売られる予定だったが
毒ガスマニアのボスにより腸内改造され
致命的な屁を放出できる人体兵器となった。


闇の組織と言っても
善良な市民を無差別に殺戮などしない。

ターゲットは
人の弱みに漬け込む詐欺グループだ。

新たな指令が入り
とある詐欺グループのアジトに潜入した。


天井裏に忍び込み
部屋を覗き驚いた。

詐欺グループをまとめているのは
とてつもない美女であった。

俺は戸惑った。

あんな美女を毒ガス並みの俺の屁で
殺せない。
いや、緊張して屁が出ない……。
力ずくでやるしかないか……。


ピーンポーン
ピーンポーン

「キャー⁉︎ なんなんですか?」
「夜分遅くにこんな出立ちで突然すみません。この辺りで有毒ガスが発生した様子で調査をしています。お宅の中のガス濃度を測定させていただきたいのですが」
「そ、そうですか。どうぞ中へ」


「一通り測定しましたがお宅は大丈夫そうですね」
「安心しました。ずっとマスクを付けているのですか?」
「ええ、まぁ」
「大変でしたでしょう。お茶でも淹れますので、一休みなさって行かれてはいかがです?」

(なんというチャンスだ)

「それではありがたく」


「どうぞ、紅茶ですが。あら、マスクをお外しになって。こんな夜に、そのようなマスクを付けたままでは私も少し怖いです」
「これは失敬。それでは、ありがたく頂戴します。はぁ。この仕事をしていると年中マスクをしたままなのでとても楽です」
「あら、お声も素敵でしたけれど、お顔もとてもハンサムね、ふふっ」


「お茶菓子でも持ってきますわね」

女がそう背を向けた瞬間
俺は背後から女の首に手をかけた。



ぷぅ〜

静寂を破る放屁の音が部屋中に響き渡った。

俺のガスマスクを奪い
女はニヤリと笑って部屋を後にした。



シリアスが条件って難しかったです😅
ありきたりすぎたかなぁ😂
厨二病発動(笑)

#青ブラ文学部

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